増える“墓じまい”…どんな問題が? 58%の自治体「無縁のお墓ある」 広がる「期限付き墓地」の仕組み【#みんなのギモン】

多くの人が頭を悩ませているお墓の問題。全国各地で今、縁故者がいない「無縁墳墓」の問題が広がっています。縁故者の情報を把握する自治体は少数にとどまり、自治体による墓じまいには多くの問題もあります。お盆に、墓じまいについて考えてみませんか?

そこで今回の#みんなのギモンでは、「増える『墓じまい』どうする?」をテーマに解説します。

■「遠いと大変」…墓参り事情は?

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山崎誠アナウンサー

「厚生労働省の調査班がこの夏に公表した資料で、新たなお墓の問題が明らかとなりました。お盆を迎えた京都市・東山区にある東本願寺の『大谷祖廟』には、13日朝から多くの人がお墓参りに訪れていました。皆さんはお墓参りには行かれていますか?」

忽滑谷こころアナウンサー

「私は家のすぐ近くに親族のお墓があるので、よく行きますね。ただ、遠い方は大変ですよね」

森圭介アナウンサー

「私は遠いので、なかなかこの時期は難しいかなという感じですね」

桐谷美玲キャスター

「このお盆は行けませんが、法事がある時などは家族でお墓まで行きますね」

山崎アナウンサー

「場所もありますし、タイミングを探りながらという方も多いと思います。先祖代々のお墓をこれからどうしていくのか、そういったことをご家族と話し合ったことがあるという方はいますか?」

鈴江奈々アナウンサー

「去年祖母が他界したので、その時に現状どうするかという話はしたんですが、先々のことまではなかなか決められていません」

桐谷キャスター

「軽く話したことはあるんですけど、結局どうするという結論までには至ってないですね」

森アナウンサー

「私の父は、私が行きやすいところに(お墓を)買うと言っていました。ただ、今あるお墓をどうするのかという話まではしていないですね。なかなかしづらい、タイミングも難しいですよね」

■全国各地で「無縁墳墓」の問題が

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山崎アナウンサー

「お墓のことはなかなか話しづらいですが、実は今、全国各地のお墓で『無縁墳墓』の問題が広がってきています」

「無縁墳墓とは、亡くなった方の縁故者つまり家族や親族がいない、いたとしてもどこにいるのか分からない、連絡がつかないといったお墓などのことです」

「市町村などが運営する公営墓地や納骨堂のある765の自治体に無縁墳墓(疑いを含む)があるのかどうか総務省が調査したところ、58.2%の445自治体であるということです」

■「無縁墳墓」にしないために…

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忽滑谷アナウンサー

「お墓は無縁になってしまうと、人の手がかからないとどうなってしまうんですか?」

山崎アナウンサー

「定期的に人が訪れていれば、綺麗さを保つことができますが、無縁墓になってしまうと雑草が生えてしまったり、墓石が倒れてしまったり、さらには痛ましいことですが不法投棄の温床になったりといった問題があります」

「ほかにもハチが巣を作って、そこからハチが利用者のところに行って被害が出たという例もあるそうです」

森アナウンサー

「手入れする人がいないからといって、勝手に片付けようというわけにもいかないですもんね」

山崎アナウンサー

「無縁墓の発生を防ぐには、家族や親族の連絡先などをあらかじめ自治体が把握しておくことが大事になります。ただ、厚労省の研究班が7月に公表した調査によると、親族などの縁故者の情報を把握している自治体は12.3%にとどまっていると分かりました」

「お墓を無縁にしないための取り組みは、なかなか進んでいないという問題が明らかになったと言えます。では、無縁になってしまったお墓をどうしていくのでしょうか」

■「墓じまい」含む改葬も増加

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山崎アナウンサー

「最近よく耳にするようになったのが墓じまいです。墓を撤去して更地にすることですが、墓じまいを含めてお墓を撤去したり、合同墓などに移動したりなどする『改葬』の手続きは、厚労省の衛生行政報告例によると最新の数字(2023年度)で16万6886件でした」

「2013年度が8万8397件なので、この10年で8万件増え、ほぼ2倍になっている状況です。この墓じまいを自治体などが進めるケースもありますが、どうしても扱いに悩むことも多いそうです」

「というのも、墓じまいの問題というのは非常に多いです。厚労省の調査を行った全日本墓園協会の横田睦さんによると、例えばまず、使用契約関係の解除という問題があります」

「無縁状態になった場合、自治体はお墓の使用許可を取り消す手続きが必要になります。民間の場合は契約の解除自体も難しい場合も多いといいます。契約があることが1つのネックになっています」

「そして2つ目が、周りの柵なども含めた墓などの撤去。そして3つ目は、遺骨を安置する場所が課題として挙がってきます」

森アナウンサー

「(どうすべきか)答えが出ないですよね」

桐谷キャスター

「(私たちの場合は)今管理できているからいいんですけど、できなくなってきたら、ゆくゆくは墓じまいかなという話も出てはいるんですよ」

■新しいお墓のかたち「期限付き墓地」

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山崎アナウンサー

「受け継ぐ人が出てこず、無縁になる前にどうやって防いでいけばいいのでしょうか。今、広がりを見せているのが期限付き墓地です」

「兵庫・神戸市では新しいお墓のかたちとして、市立鵯越(ひよどりごえ)墓園に市として初めてとなる期限付き墓地の整備が現在進められ、使用者の募集が行われています。子や孫に承継しない、つまり受け継がないことが前提で使用期間は15年です」

「15年の期間が満了すると、神戸市が墓石の撤去と遺骨の改葬(合同墓に遺骨を移すなど)までしてくれるということです。申し込みができるのは神戸市民の方に限られています」

「使用料は初期費用として、15年分の使用料30万円と、さらに15年後に合同墓へ移す費用として、1体あたり5万円がかかります。お1人の場合は35万円です」

森アナウンサー

「追加で何かこれ以上かかることはあるんですか?」

山崎アナウンサー

「基本的に追加費用はかかりません。15年の期間に対する延長は不可。15年の期限を超えて使い続けることはできません」

「ご家族も含めてお盆の時期は多くの人が集まって話す機会にもなると思います。悩むお墓の問題はぜひ自分のこととして、このお盆で皆さんが集まったことをきっかけに話し合ってみるのもいいかもしれません」

(2025年8月14日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

【みんなのギモン】身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、 日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)