岩佐歩夢、雨中のレース制しSF初優勝。逆転王座に向けランキング2位に浮上|スーパーフォーミュラ第8戦SUGO決勝レポート

 8月10日、スポーツランドSUGOでスーパーフォーミュラ第8戦の決勝レースが行なわれた。優勝を飾ったのは岩佐歩夢(TEAM MUGEN)だった。

 昨年は雨の中アクシデントが多発して途中終了となった宮城県・SUGOでの“東北大会”。今年は開催時期が6月から8月に移動となったが、またしても決勝日は雨に見舞われた。ただ昨年と違って路面は再舗装されており、横浜ゴムが供給するウエットタイヤも改良によりウォームアップ性能が高められているとのこと。午前のフリー走行もウエットコンディションだったが、アクシデントもなく順調に進行した。

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 14時20分からの決勝レースに向けては、雨が止んだり、また降り始めたり、少し雨足が強くなってまた収まったり……と不安定な天候。レース直前のグリッド上はごく弱い小雨が降る中、上空から霧が降りてきている感もあった。

 51周or75分の決勝レースはセーフティカー先導の下でスタート。ウエット宣言が出されていた時点でタイヤ交換の義務はないが、雨量が少なくウエットタイヤが発熱しすぎてしまう場合には、タイヤが最後まで持たないのではと予想する声も多かった。

 セーフティカー先導は5周続き、6周目から戦いが始まっていった。ポールシッターの岩佐は、並びかける2番手スタートのサッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)を抑え込んでトップで1コーナーを抜けた。一方で3番手スタートの阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)はポイントリーダー坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)に交わされ、トムスの2-3となった。

 難しい路面コンディションの中、中団〜下位の大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、オリバー・ラスムッセン(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)がコースオフでポジションを落とし、10周目には入賞圏内を走っていた佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)が2コーナーでスピンしグラベルトラップにハマってしまった。佐藤はグラベルから引っ張り出され周回遅れでレースに合流したが、その後ギヤトラブルに見舞われてリタイアした。

 これが波乱の幕開けだった。佐藤のマシンを処理するため出されたSCが解除された後、Jujuのマシンがスピンしてストップ(その後再発進)。馬の背では三宅淳詞(ThreeBond Racing)と大嶋和也(docomo business ROOKIE)が接触して共にコースオフし、フロントウイングを壊したまま走っていた三宅は最終コーナーでバリアにクラッシュしてしまった。これで再びSC出動となった。

 このSCラン中に、下位を走るマシンを中心に数台がピットインして新しいウエットタイヤに交換した。その中で、驚きの選択をしたのが8番手を走っていた小林可夢偉(Kids com Team KCMG)。路面がまだ濡れているように見える中、ドライバーコールでスリックタイヤへと交換したのだ。

 時間レースとなることが濃厚となる中、29周目にレース再開。岩佐は首位をキープするも、フェネストラズ、坪井、阪口、福住仁嶺(Kids com Team KCMG)ら後続も離されることなく接近していた。またギャンブルに打って出た小林のペースは上がらず、前を走るマシンにギャップを広げられる展開となった。

 岩佐はオーバーテイクシステムの残量もたっぷりと残した状態で落ち着いてレースを進め、そのままトップチェッカー。ここまでの16戦で2位5回、3位3回と何度も勝利に近付いてきた男が、悲願のシリーズ初勝利を手にした。

 2位はフェネストラズで、スーパーフォーミュラ復帰後初表彰台。3位はレース終盤に坪井をオーバーテイクした福住で、こちらも今季初表彰台となった。

 タイトル争いは、4位に入った坪井が95点でポイントリーダーの座を守った一方、優勝の岩佐が90点に伸ばしてランキング2番手に浮上した。ダンディライアン勢は苦戦し、太田格之進が8位(87点/ランキング3番手)、牧野任祐が10位(74点/ランキング4番手)で選手権争いの順位を下げた。

 今季残すは2大会4レース。10月に富士スピードウェイで第9戦・第10戦、11月に鈴鹿サーキットで第11戦・第12戦が行なわれる。

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