「まずかろうではない」「目論見通り」江藤農水相、備蓄米の試食会開催 記者は区別できず

記者向けに備蓄米の試食会を開き、味をアピールする江藤拓農林水産相(中央)=24日、東京都千代田区
江藤拓農林水産相は24日、報道機関向けに備蓄米の試食会を開いた。今後放出される令和5年産や4年産のコメの食味が劣っていないことをアピールするのが目的。味の違いが分からなかった記者に対し「目論見通り」と笑いを誘い「安かろうまずかろうではないことを分かっていただければ」と話した。
試食会では4~6年産の備蓄米でつくったおにぎりが、産年を伏せられて振る舞われ、新聞記者やニュース番組のキャスターが味比べをした。江藤農水相は「以前食べたときには全く差が分からなかった」と雑談。試食風景の撮影で笑顔を求められた際には「『何をにこにこしているんだ』とお叱りを受けるから」と苦笑するなど、会は和やかな雰囲気で進んだ。
試食会で提供されたのは茨城県産の多収米。十数人の記者の中で6年産米を「一番おいしかった」と区別できたのは2人だけだった。江藤農水相は「(味に)差がないことを知ってもらいたい。3回目の放出は5年産米。おいしくないと広まるのは本意ではない」と話した。
ただ、一般消費者が備蓄米に期待するのは店頭価格の引き下げ効果だ。安い備蓄米が小売店に並ぶことで価格競争が起こるかが重要になる。
江藤農水相は「東京にも沖縄にも店頭にある状態をつくるのがベスト」とし「調査で6年産が18万トン多く生産され余計にコメがあることがわかっている」と強調した。「卸業者は(新米が出始める)7月までに在庫が尽きるという不安感がある。(備蓄米の放出継続で)品切れにはならない。ストックも出していただきたい」とし、流通段階での停滞が価格の高止まりにつながっていることを認めた。
一方で「備蓄米をどんどん出した方がいいというのは違う」とし「(大凶作や災害時に備えるという)あるべき責任に、ビクビクしながら出している」と放出に慎重な姿勢は崩さなかった。(高木克聡)