レッドブル、トラブル脱出にレーシングブルズは”活用”できない?「マシンの起源が違うから不可能だ」

 レッドブルのローラン・メキーズ代表は、チームの苦境はより安定したレーシングブルズのマシンの要素を単純にコピーするだけでは解決できないと述べた。

 レーシングブルズのドライバーは2025年シーズン現在、2人目のレッドブルドライバー(リアム・ローソンか角田裕毅かに関わらず)よりもはるかに良い成績を残している。ローソンが2戦でノーポイント、角田が12戦で7ポイント獲得に留まっているのに対し、アイザック・ハジャーは22ポイントを獲得。ローソンもレッドブルを離れた後に20ポイントを稼いでいる。角田もレーシングブルズで走った開幕2戦で3ポイントを手にし、戦略ミスがなければこれを20ポイント近く上積みしていた可能性がある。

 予選でもレーシングブルズは”レッドブルの2台目”を上回ることが多く、オーストリアGP予選ではマックス・フェルスタッペンでさえも、0.003秒差でローソンの後塵を拝している。

 そして夏休み前最後の一戦となったハンガリーGPは、レッドブルにとって近年で最悪な週末のひとつとなってしまった。フェルスタッペンは予選で8番手に沈み、レーシングブルズ2台のすぐ前からスタート。レースではローソンの後ろ9位に終わった。角田はグリップ不足に苦しみ予選16番手、決勝でも挽回できず17位に終わっている。

 土曜日の予選後、スカイスポーツF1はメキーズ代表にレッドブルがレーシングブルズのマシンVCARB 02からレッドブルRB21の性能向上に役立つ要素を”借用”できるかどうか尋ねたが、彼はそのアイデアを否定した。

「いいや。その質問はフェアだと思うが、クルマにはそれぞれ起源があるんだ」

 そうメキーズ代表は説明した。

「クルマの出自があまりにも異なるため、誰かが1台のクルマから別のクルマに何かを転用することは不可能だ。これが現在のF1の現実だ」

「ご存知のように、10の独立したチームがそれぞれ独自のアイデアでクルマの開発を進め、その過程で直面した困難や、その結果たどり着いた開発の道筋を持っている。クルマから別のクルマに移すことができるものは何もない。それは本当に、初期の段階からどのように開発されたかにかかっている」

Laurent Mekies, Red Bull Racing Team Principal

 メキーズ代表は、こうした厳しい状況においては4度の世界チャンピオンであり、過去9年間レッドブルでレースを続けてきたフェルスタッペンの豊富な経験が「不可欠」であると述べた。

「彼がクルマがいつ機能しているかを把握していることは、大きな利点だ。彼はクルマがどんな時に機能していないかも把握している」

「特に今回はバランスの問題というより、適切なグリップレベルを見つけるのに本当に苦労している状態だ。彼はこのような状況で非常に大きな助けになってくれている」

 メキーズ代表は、ハンガリーGPにおいてRB21 のグリップ不足の解決策を見つけることができず、「実験」に失敗したことをレース後に認めた。

「私に言えるのは、FP1の最初のラップからその問題があったということだ」

「我々は互いを見合って、『何が起こっているんだ?』と言い合った」

「低速コーナーや中速コーナーで我々は単純に非常に遅かったんだ。それはバランスに関する問題ではなかったと言える」

「我々はクルマを適切なウインドウに置けず、タイヤを適切に機能させることができなかった。そういったことはFP1では時々起こることもあるが、あれだけの規模では起こらない。最初から何かがおかしいと感じ、多くのことを試したんだ」

「ポジティブな点は、チームが両方のクルマで様々な試みを積極的に行なったことだ。しかし、それは何の差も生まなかったんだ。タイヤを適切に機能させることができなかった。ロングランもショートランも……時には運や実力で適切なウインドウに入れたこともあったが、今回はそうならなかった。予選でも同じような状況だった」

「今年は”ウインドウが狭い”というテーマが繰り返されてきた。時にはそれが非常に狭い場合もあった。しかし今回はそれ以上に深刻だった。本当にクルマを走らせることができなかった」

Additional reporting by Ronald Vording

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