【国家公務員の退職金】平均で「2000万円」超え説は本当なのか?勤続年数ごとの一覧表で詳しくチェック
勤続年数30年以上から退職金の平均額は2000万円超えに
【国家公務員の退職金】平均で「2000万円」超え説は本当なのか?勤続年数ごとの一覧表で詳しくチェック
人事院が平成30年8月に国会と内閣に対して行った意見申出を受けて、2021年6月に「国家公務員法等の一部を改正する法律」が成立しました。
この法律により、2023年度からは国家公務員の定年年齢が、これまでの60歳から段階的に65歳へと引き上げられることになりました。
定年の段階的な引上げ期間中及び定年引上げ完成時の定年年齢
では、国家公務員の退職金はどのくらい支給されているのでしょうか?「2000万円を超える」という話を耳にしたことがある方もいるかもしれません。今回は、その真相に迫ってみたいと思います。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
国家公務員の「退職金」は平均でいくら?
国家公務員の平均的な退職金額は、退職理由ごとに以下の結果となっています。
【勤続年数別】退職手当受給者数と退職手当平均支給額
常勤職員の退職金(退職理由別)はいくら?
・定年:2147万3000円
・応募認定:2492万7000円
・自己都合:303万9000円
うち行政職俸給表(一)適用者の退職金(退職理由別)はいくら?
・定年:2122万1000円
・応募認定:2249万円
・自己都合:316万6000円
「応募認定」による支給額が高くなっているのは、早期退職募集制度に基づいて退職した場合のケースであり、一部の民間企業でも採用されています。
一方で、「定年退職」に限定した場合は、平均支給額が2000万円を超えているようです。
ただし、この金額は勤続年数によって変動するため、すべてのケースに当てはまるわけではありません。
【国家公務員の平均的な退職金額】「勤続年数別」に見るとどうなる?
続いて、同じく内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」を参考に、勤続年数別の平均支給額も見ていきましょう。
【勤続年数別】常勤職員の定年退職時の退職金はいくら?
【勤続年数別】退職手当受給者数と退職手当平均支給額
・5年未満:246万6000円
・5年~9年:492万6000円
・10年~14年:854万9000円
・15年~19年:1184万7000円
・20年~24年:1257万5000円
・25年~29年:1599万3000円
・30年~34年:2001万7000円
・35年~39年:2389万3000円
・40年以上:2311万6000円
【勤続年数別】うち行政職俸給表(一)適用者の定年退職時の退職金はいくら?
【勤続年数別】退職手当受給者数と退職手当平均支給額
・5年未満:143万2000円
・5年~9年:366万5000円
・10年~14年:675万4000円
・15年~19年:x
・20年~24年:1504万8000円
・25年~29年:x
・30年~34年:2075万円
・35年~39年:2209万9000円
・40年以上:2167万4000円
※「x」は、当該数字を秘匿したことを示す。
勤続年数が30年以上となる場合、退職金の平均額が2000万円を超えていることが確認できます。
2023年度より「国家公務員の退職」が徐々に引上げへ
2023年度以降、国家公務員の退職金が段階的に引き上げられる方向での見直しが行われています。
引き上げに関する要点は以下のとおりです。
・引上げ速度:2年に1歳ずつ引上げ(2023年度:61歳 ⇒ 2031年度:65歳)
・役職定年制:60歳に達した管理監督職の職員は非管理監督職ポストに降任等(役降り)
・60歳に達した職員の給与:61歳に達する年度から基本給は7割支給
・退職手当:60歳以後定年前に退職した人は、定年退職と同様に退職手当を算定
・定年前再任用短時間勤務制:60歳に達した日以後、定年前退職人を短時間勤務ポストに再任用
60歳以降の勤務選択フローチャート
退職金を守りながら増やすためにできること
ここまで、公務員の退職金について詳しく見てきました。
退職金を受け取ると、一時的に手元の資金は増えますが、現役時代に比べて収入は大きく減るため、将来に不安を感じるという声も少なくありません。
そのため、退職金を活用して老後の生活に少しでもゆとりを持たせたいと、資産運用を考える方も増えています。
ただし、ひと口に運用といっても、商品によってリスクやリターンはさまざまです。
大切な退職金を守りながら上手に活用するためにも、まずは資産運用の基本や選択肢について、自分自身でしっかり調べてみることをおすすめします。
参考資料
・内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」
・人事院「国家公務員の60歳以降の働き方について(概要)」
・人事院「第1章 定年後を考える」