角田裕毅、ハンガリーGPでも最新スペックのマシンは得られず「現状でフェルスタッペンと比較するのはアンフェア」

 レッドブルの角田裕毅は、F1ハンガリーGPでもマックス・フェルスタッペンと同等のスペックのマシンを与えられていないことから、単純に比較するのは”アンフェア”だと語った。

 レッドブルはここ数年、フェルスタッペン1台で戦うチームとなっていた。2台目のシートは解雇または降格される前に、ごくわずかな期間しか自分の実力を証明する機会が与えられない、交代で入れ替わるドライバーたちが座ることが多かったからだ。

 フェルスタッペンは明らかに世代随一の才能を持つドライバーだが、同等のスペックではないマシンを走らせているドライバーと彼を比較するのは難しい。特に今季のレッドブルRB21のように扱いが難しいマシンならなおさらだ。

 前戦ベルギーGPでは、それまで苦しんでいた角田に新しいフロアが投入されたことで一気にパフォーマンスが上がり、マイアミGP以来の予選Q3進出を果たしたことからも、それは明白だろう。決勝レースではポイント獲得は逃した角田だが、これは重要なタイミングでチームのピットインの指示が遅れたことが主な要因だった。

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 クリスチャン・ホーナーに代わって新たにチーム代表に就任したローレン・メキーズはミスの責任を認めたが、いくつかの疑問はまだ残っている。ハンガリーGPで角田が乗るRB21の多くのパーツは依然として最新のものではなく、フロントウィングもそのひとつだ。また、ベルギーGPの”新フロア”もフェルスタッペンが使用していたモノと完全に同一のスペックではなかった。

「ポイントを獲得できなかったことは、全く理想的ではありません」と角田はハンガロリンクでメディアに語った。

「ですが、少なくとも僕の方のガレージでは、明確な進歩とペースがあることがエンジニアリングの面で分かっているのは、僕の助けになります」

 角田とフェルスタッペンの差は依然として顕著だ。レッドブルはフェルスタッペンを”特別”だと認識しているため、セカンドドライバーのペースは対フェルスタッペンで1周あたり0.3秒遅れまでは許容しているが、それ以上になるとその未来は不確実になる。

 興味深いのは、角田がシミュレータでの経験に基づいて、不安定なRB21をドライブする難しさを過小評価していたところから、グリッド上で最も厳しい競争相手の一人と肩を並べるという現実と向き合わなければならない状況へと移行している点だ。それでも、角田は同等のマシンがあれば近づけるという希望をまだ手放していない。

「彼(フェルスタッペン)が、毎セッション、毎グランプリで一貫してパフォーマンスを引き出すのは非常に印象的です」と角田は述べた。

「それは簡単にできるようなことではありません。しかし、彼はそれを非常に簡単にやっているように見えます」

「ですが同時に、(自分と単純に)比較するのは公平ではないと思います。なぜなら、彼は9年間ここにいるのに対し、僕はそのクルマに乗り込んだばかりだからです」

「また僕は……同じクルマを手に入れられるどうか見てみましょう。その時点まで、直接比較することはできません」

「それまでは、僕はただ自分自身のことに集中しています。自分が改善すべき点を明確に理解していて、自分のペースで一歩ずつ進んでいるからです」

 メキーズ代表は、レーシングブルズ時代の関係から、ホーナーよりも角田に理解を示していると考えられている。その分、角田の望みが叶うのも早くなるかもしれない。マーケティングなどの責任から解放された、堅実なエンジニアリング背景を持つメキーズのようなチーム代表がいることで、角田が必要としている支援を得られるはずだ。

 しかし、角田が同じ装備でフェルスタッペンに匹敵するパフォーマンスを見せたり、打ち負かしたりすることができるか……それが最も困難なチャレンジになるのは間違いない。

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