中田翔、島内宏明、長野久義、川端慎吾、美馬学… 前半戦で結果出せず「背水の陣」を迎えたベテランたち

■今季はまだ無安打の楽天・島内, ■代打で結果が出せない巨人・長野, ■出番がないロッテのベテラン投手陣, ■若手の台頭で厳しい広島・田中

 プロ野球の世界は厳しい。30代半ばになるとベテランと呼ばれ、ベテランなりの結果を出せないと実績がある選手でも若手に出場機会を奪われる。今季の前半戦で思うような活躍ができなかったベテランたちが、来年の現役続行へ正念場を迎えている。

 打点王に3度輝いた実績を持つ中日の中田翔(36)は、今季が2年契約の最終年。開幕戦には6番・一塁でスタメン出場したが、腰痛が再発して5月13日に登録抹消され、その後は1軍出場がない。今季は22試合出場で打率.169、2本塁打、4打点。リハビリを経て6月下旬にファームで実戦復帰し、1軍復帰が待たれている。

「中田はコンディションを取り戻せるかにすべてがかかっていると思います。昨年も腰痛に悩まされ、62試合出場で打率.217、4本塁打と不本意な成績に終わりました。腰の負担を軽減するためオフに体重を15キロ落とす大幅な減量を敢行し、体のキレを取り戻したかに見えましたが、今年も腰痛で離脱してしまった。走者を還す打撃技術は一級品ですし、一塁の守備は球界トップクラスです。中田が1軍復帰すれば一塁を守り、ボスラーを三塁に回して強力打線ができる。復活すれば、中日がCS進出するためのキーマンの一人になるでしょう」(スポーツ紙デスク)

■今季はまだ無安打の楽天・島内

 打点王や最多安打のタイトルを持つ楽天の島内宏明(35)も厳しい立場に置かれている。昨年は40試合出場で打率.214、0本塁打と打撃不振に苦しんだ。コンディション不良で出遅れた今年は5月20日に1軍昇格したが、10打数無安打と結果を残せず登録抹消。その後はファーム暮らしが続いている。

「4年契約最終年を終えた昨オフに大幅減俸で契約を結びましたが、今年の成績だと難しい状況になる。左翼と指名打者で起用されることが多いですが、楽天は今季途中にゴンザレス、ボイトを獲得し、島内の優先順位が下がってしまった。ただ、ファームでの打席を見るとバットが振れているんですよね。もう一花咲かせてほしいです」(楽天を取材するスポーツ紙記者)

■今季はまだ無安打の楽天・島内, ■代打で結果が出せない巨人・長野, ■出番がないロッテのベテラン投手陣, ■若手の台頭で厳しい広島・田中

■代打で結果が出せない巨人・長野

 首位打者と最多安打のタイトルを持つ巧打者2人も背水の陣を迎えている。巨人・長野久義(40)は今季、主に代打で17試合出場のみ。22打数3安打で打率.136、0本塁打、0打点。チームの精神的支柱だが出場機会が減少している。ヤクルト・川端慎吾(37)は今季1軍出場なし。天才的なバットコントロールに定評があったが、若返りを図るチーム方針もあり、開幕からファームで調整している。

「長野はフリー打撃を見ると力強い打球を飛ばしていて、今もパンチ力が健在ですが、代打で結果を残すのはなかなか難しい。長野や川端は選手たちの人望が厚く、現役引退後も将来の幹部候補と目されています。自分たちで引き際を決めるレベルの選手なので、チーム内の置かれた立場を見てどう判断するか。代打の切り札として活躍すれば、まだまだ必要な存在でしょう」(スポーツ紙遊軍記者)

■出番がないロッテのベテラン投手陣

 最下位に低迷しているロッテでは、大幅に戦力を刷新するなかで、ベテラン投手陣の出番がなくなっている。美馬学(38)は2ケタ勝利を3度マークし、通算80勝を挙げている右腕だが、今季は1軍登板なし。昨年は4試合登板のみで自身初のプロ未勝利に終わった。巻き返しを誓った今年も1軍から声がかからない。かつてのエース・石川歩(37)も、今年は1軍のマウンドに立っていない。2023年10月に右肩の手術を受け、育成契約を経て昨年6月に支配下復帰。オリックス戦で669日ぶりの白星を挙げるなど昨年は3勝をマークしている。今年は後半戦に復活劇が見られるか。ロッテ一筋18年目の唐川侑己(36)は今季の1軍登板は1試合のみ。6月11日の広島戦で救援し、2回7安打4失点と打ち込まれて、登録を抹消された。田中晴也(21)、木村優人(20)など若手投手たちが先発で頭角を現してきた投手陣で、ベテランたちは意地を見せられるか。

■今季はまだ無安打の楽天・島内, ■代打で結果が出せない巨人・長野, ■出番がないロッテのベテラン投手陣, ■若手の台頭で厳しい広島・田中

■若手の台頭で厳しい広島・田中

 広島が2016年から球団史上初のリーグ3連覇に貢献した当時の功労者たちも、前半戦は存在感を発揮できなかった。田中広輔(36)は、かつて二塁手の菊池涼介(35)と「タナキク」コンビと称され、不動の遊撃手として活躍していたが、近年は小園海斗(25)や矢野雅哉(26)の台頭で出場機会が減少し、今年は14試合出場のみで打率.167。少ない打席で10四死球、出塁率.375は評価できるが、7月14日に登録抹消された。かつてクリーンアップを張ったチーム最年長の松山竜平(39)は今季1軍出場なし。後輩たちに愛される性格で、打撃で何度もチームを救ってきたが、正念場を迎えている。

 2000安打を記録して名球会入りを決めている現役選手、楽天・浅村栄斗(34)、巨人・坂本勇人(36)、中日・大島洋平(39)、西武・栗山巧(41)は、いずれも前半戦に打撃の状態が上がらなかった。

「夏場からシーズン終盤は経験豊富なベテランの活躍がカギを握ります。球界を代表するベテランたちには本来の姿を取り戻してほしいですね」(球界OB)

 年齢を重ねながら結果を重ねている選手たちもいる。楽天・岸孝之(40)は先発ローテーションで11試合登板して64イニングを投げ、4勝をマーク。日本ハムのセットアッパー・宮西尚生(40)も24試合登板で11ホールド、防御率1.72の好成績で健在ぶりを発揮している。他のベテランたちも後半戦で、「限界」の声を吹き飛ばす活躍を見せてほしい。

(ライター・今川秀悟)