【注目2歳馬】キズナ産駒ドリームコアが逃げ切りV 母はGⅠ・2勝馬ノームコア、時計平凡も見どころあり
【注目2歳馬】キズナ産駒ドリームコアが逃げ切りV 母はGⅠ・2勝馬ノームコア、時計平凡も見どころあり
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
能力の違い感じさせるパフォーマンス
6月14日、15日に撮影した2歳戦から注目したいのは、14日の東京5Rに組まれた牝馬限定の芝1600m新馬戦。D.レーンを背に単勝1.5倍の人気に応え、勝利したのはドリームコアだった。
父キズナ、母ノームコアという血統で、母は現役時代にヴィクトリアマイルと香港Cを制したGⅠ・2勝馬。ちなみに、2019年ヴィクトリアマイルの勝利はレーン騎手とのコンビによるものだった。
ドリームコアは2番仔で、エピファネイア産駒の兄シルバーレインは新馬戦こそ敗れたものの、2戦目の芝1800m戦を楽勝で勝ち上がり、今年2月には芝1400mの3歳1勝クラスを勝利。ここまで2勝を記録している。
ドリームコアは馬体重488kgでデビュー。まだまだ緩さも感じさせながら、バランスの良い馬体が目をひいた。
レースは11頭立てで行われ、スタートはやや出遅れ気味だったが、最初の200mが13.2と遅く、スピードの違いで楽に先頭に立つ形に。その後も11.6-12.3-12.7で、800m通過は49.8と落ち着いたペースとなったが、折り合い面での不安は全く感じさせることはなかった。
2番人気オラヴィンリンナが外から並びかけて直線に向いたが、同馬に騎乗した菅原明良騎手の手が動き始めたのに対し、レーン騎手の手綱は全く動かず。残り400mで一度軽く手綱が動くと、残り300mあたりでようやく追い出された。
最後は押さえる余裕もあり、2着に伸びてきたシックスリングスとは2馬身半差。ただし、開催終盤に差しかかって少しずつ時計のかかる馬場状態になっているということもあったが、勝ちタイムは1:36.7。ラスト11.2-11.6と時計やラップに関しては平凡な結果となった。
数字だけでは強調することはできないが、それでも追い出されてから楽々と後続を突き放した脚は目を見張るものがある。ここでは能力が違ったと感じさせる走りで、このまま順調に成長していけば、さらに上の舞台でも活躍が期待できそうだ。前進気勢が強すぎるということもなく、母のようにマイルから中距離までこなすことは可能だろう。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
おじにサリオスがいる良血
宝塚記念当日の15日、阪神5Rに組まれた芝1800m新馬戦は毎年好メンバーが集結する一戦としても知られる。今年は8頭立てとなったが、C.ルメール騎乗の1番人気サレジオが勝利した。
父エピファネイア、母は府中牝馬Sを制し、GⅠでもエリザベス女王杯と有馬記念で2着に好走した実績のあるサラキア。おじには朝日杯FSを制したサリオスがいるというお馴染みの血統だ。美浦の田中博康厩舎所属ながら、僚馬とともに早めに栗東入り。調教でも好タイムを記録するなど注目を集めていた。
デビュー戦の馬体重は486kg。まずまずのスタートから2番手をキープしたが、13.0-12.0-11.9と遅いペースになり、外回りコースに入った3角手前では我慢できず先頭に立つ形となる。
そこからは12.6-13.1-12.7と息が入り、そのまま単独先頭で直線へ。残り400mを切ったところでもルメール騎手は抜群の手応えで、残り300mで追い出された。左ムチが入ったところで右にヨレる場面もあり、ゴール前は2着ローベルクランツにクビ差まで迫られたが、そのまま押し切った。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
勝ちタイムは1:49.3。レースの時間には雨は止んでいたものの、前日に38.5mm、レース当日の朝までに3.0mmの雨が降った影響で馬場状態は重。レース後には稍重へと回復しており、「稍重に近い重」という状態だったと言える。
そうしたなかでラスト2Fは10.9-11.5を記録。特に10.9を記録した区間はほぼ馬なりで、最後は減速しているが、ヨレてからソラを使う面も覗かせていたことを考慮すると、評判どおりの能力の高さは十分証明した。
ただし、パドックでも馬っ気を出すなど全体を通じて若さを露呈。気性面で改善していかなければならない点も多くあったことは覚えておきたい。
《ライタープロフィール》
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。
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