【日本ダービー】サンデーレーシング・吉田俊介代表、単独最多5勝へ決意4頭出し「ダービーは一番勝ちたいレース」

取材に応じる吉田俊介氏。ミュージアムマイルにもクロワデュノールにも期待は十分だ(撮影・塩浦孝明)
今年のダービーに所有馬4頭を出走させるサンデーレーシングは、歴代単独最多となる5勝目を狙う。吉田俊介代表(51)に、皐月賞馬ミュージアムマイル、同2着クロワデュノールについて、ダービーへの意気込み、そして今後のことなどを聞いた。(取材構成・千葉智春)

ミュージアム〝マイル〟という名前でも、距離はもちそう
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ミュージアムマイル 名前に「マイル」とあるけど(笑)血統&実績から「距離こなせる」 新コンビ・レーン騎手に「全幅の信頼」
――皐月賞はミュージアムマイルが快勝。レースを振り返って
「どちらかというと(1番人気の)クロワデュノールを中心に見てしまいましたけど、いい位置で進めていたと思います。主に見返してからになりますが、向こう正面で2頭ともぶつけられてぶつかって。そのなかでモレイラさんが冷静に対処してくれていました。受け流して、それほど不利にならず、バランス、リズムを崩さず乗ってくれたことが最後の伸びにつながったのかなと思います」
――今回は400メートルの距離延長。見通しは
「私が付けたわけではないですけど、ミュージアム『マイル』という名前で(笑)。血統的にもスピードがあるイメージだったのなと。C・デムーロ騎手が継続して騎乗できたために朝日杯(FS2着)に行きましたが、(ホープフルSに)クロワデュノールがいたという側面もありました。その前に2000メートル(黄菊賞)を勝っていたのでホープフルSでも、というのはありましたし、距離はこなしてくれるのではと思います」

クロワデュノールは血統背景から距離延長は向きそう
――マイル路線の可能性もあったのか
「揺らいでいるところではありました。朝日杯も力が必要で後ろからとらえるには難しい馬場のなかで2着。ただ、トライしていくなかでの結果を評価していかないといけない。皐月賞を勝ったんですから、ダービーへ自信を持っていける馬だと思っています」
――今回はレーン騎手へ乗り替わり
「ダービーではモレイラさんがいない状況で、(高柳大輔)調教師さんとも相談して、まずはレーンさんにお声がけしましょうかと。日本で毎年結果を出してくれているジョッキーですし、全幅の信頼を置いています」
クロワデュノール 府中は2戦2勝!!2400メートルは「力を発揮しやすい舞台かな」 凱旋門賞は「キタサンの子、期待」
――クロワデュノールは皐月賞で2着。正攻法の競馬で厳しい場面もあった
「最近は皐月賞で初顔合わせの馬が多く、人気がそんなにかぶることもないなかで、あの人気(単勝1・5倍)ですからね。GⅠではなかなかないくらい出入りが激しく、不利も受けていました。早めに手が動いているように見えましたが、ぶつけられたところでちょっと引っ張り、バランスを崩してハミを取ってくれなくなったそうです。クロワデュノールの関係者にとっては負けたことが当然悔しいと思いますが、それほど悲観することなくダービーで巻き返そうという強い意気込みを持ってくれています」
――英オークス2着の母ライジングクロスからようやく出た大物。デビュー前の印象は
「19歳の時に産んだ子。他にもきらびやかな血統の子がいるなかで、生まれたときは特別目立つ感じではなかったと思いますが、調教が進むにつれて、いい馬だ、と。キタサンブラック産駒らしく背が高くて薄く、すごくいい成長をしてくれていました。新馬を勝ってから5カ月あいたなかで幅が出てきて、今後に期待できるような順調さでした。走りとか成長の仕方の評価はずっと高かったです」
――東京は2戦2勝。舞台に関しては
「どの競馬場でも気にしていないのかなと思いますが、東京の方が広いぶん、2400メートルが初めてという馬も多いなかで力を発揮しやすい舞台かなと。血統背景を見ても距離は延びて良さそうだと思っています。持っている素質、現時点での成長度を考えても素晴らしい馬だと思うので、当然期待しています」
――クロワデュノールは凱旋門賞に登録済み
「キタサンブラックはもう一年現役を続行して凱旋門賞を目指したら、という話もありました。ロンシャンの馬場で見てみたかったキタサンブラックの子どもですし、こなせる可能性もあるかなと期待しています。皐月賞の後に(斉藤崇史調教師から)『登録させてください』と言われました」
――ダービーの結果次第で挑戦か
「勝たなきゃだめだよとは言っています」
――まだ先の話になるが、ミュージアムマイルの秋の見通しは
「こちらはまだ距離の適性が探り切れていないですから…そういうと2400メートルが不安というふうに聞こえるかもしれませんが、まずは走ってみてですね」
――サンデーレーシングの皐月賞1、2着馬が日本ダービーに出走するのは2015年ドゥラメンテ(1着)、リアルスティール(4着)以来。当時とシチュエーションは近い
「(皐月賞で)ドゥラメンテは粗削りながらすごい勝ち方をして、これは抜けているかなと思っていました。(共同通信杯で)1回リアルスティールが勝っていましたが、みんな距離が延びたらドゥラメンテという評価だったように覚えています。皐月賞でワンツーになること自体すごいことですけどね」
――日本ダービーでは12年のディープブリランテ、フェノーメノでワンツー
「あの年もまたすごかったですね。たまにある、すごく時計が速くて前が残るレースでした。今回も順調に2頭ともダービーという舞台に臨めるので、楽しみにしています」
――やはりダービーは特別なレースか
「当日の雰囲気も全然違いますし、月並みに言って一番勝ちたいレースです。それは僕だけじゃなく、みんなそうだと思います。いまだに子馬が生まれてきたら『この馬はダービー馬になるかな?』という会話になりますからね。短距離やダート、各路線が確立されてきた今でもですね」
■吉田 俊介(よしだ・しゅんすけ) 1974(昭和49)年4月13日生まれ、51歳。北海道出身。慶応大経済学部を卒業後、ノーザンファームに入社。米国研修から帰国後、ノーザンファーム空港牧場場長に就任。2007年から一口馬主法人サンデーレーシング代表。15年からノーザンファーム副代表を兼任。ノーザンファーム代表・吉田勝己氏の長男。