【梨】食べ過ぎると起こる不調とは?注意したいのはどんな体質の人?管理栄養士が解説

梨の栄養素

梨にはカリウムが豊富に含まれているので、食塩の主成分であるナトリウムを体外に排泄する作用があります。高血圧の予防・改善、塩分の摂りすぎからくるむくみの改善に役立ちます。また、水溶性食物繊維不溶性食物繊維の両方が含まれていて、腸内環境を整える作用があります。それほど多くありませんがビタミンCも含まれているので、抗酸化作用によって老化を防いだり、鉄分の吸収率をアップさせる効果が期待できます。アルブチンクロロゲン酸といったポリフェノールも含まれていて、体内に増えすぎると老化の原因になる活性酸素を除去する作用があります。梨には健康と美容の両方に役立つ栄養素がたくさん入っているのですね。

by写真AC

梨の食べ過ぎによって起こる不調

様々な栄養素の他、梨には糖アルコールの一種である『ソルビトール』が含まれています。砂糖と比べてカロリーが低く、虫歯にもなりにくいという特徴があり、便秘の改善や整腸作用があるとされています。また、シャリシャリとした食感は食物繊維によるものですので、ソルビトール同様に腸内環境を整える効果が期待できます。しかし、食べ過ぎることによる下痢には注意が必要です。その理由として、ソルビトールは腸で消化されにくく、大量に摂取すると消化不良を引き起こしたり、お腹がゆるくなりやすいといわれています。とくに冷え性やもともとお腹が弱い体質の人は、症状がでやすいといえるでしょう。また、食物繊維を摂りすぎることによって、便が柔らかくなりすぎることがあるため、結果として下痢になってしまうといった症状が現れやすくなります。

by写真AC

梨の一日の適切な摂取量

厚生労働省と農林水産省が『なにを』『どれだけ』食べたらよいかを定めた《食事バランスガイド》では、1日に摂る果物の量は可食部で200g程度としています。みかんなら1日2個、りんごなら1/2個、ぶどうなら半房程度です。これに従うと、梨の場合は1日に1/2個程度が適量といえるでしょう。

by写真AC

お腹を下しにくくするためには

梨には様々な栄養素が含まれ、適量を食べれば腸内環境を整えたり老化防止にも役立つことがわかりました。もともと下痢をしやすい体質の人や、冷え性を抱えている人は梨を食べる量を少なめに調整して、普段の食事では体を冷やす夏野菜や冷たい飲み物を控えるようにしましょう。朝起きてすぐの体温が低い状態や、夜寝る前には食べないようにし、体温が上がった状態の食後や、一日の中で一番体温の高い午後15時頃の間食で取り入れることで、梨をより楽しむことができそうです。

《参考文献》

食事バランスガイドについて/農林水産省

日本ナシ(梨)|とれたて大百科|食や農を学ぶ/JA

《ライター》

特別養護老人ホームにて介護食の大量調理や栄養士業務を経験。働きながら管理栄養士の資格を取得。その後、中学校給食センターにて献立作成、給食管理、食育授業に携わる。結婚、出産を経て、ヘルスケア栄養指導士の資格を取得。子育てをしながら栄養に関する記事執筆を行っている。

NS Labo(栄養サポート研究所)

全国の栄養士、管理栄養士をサービスパートナーとして、健康やダイエット、美容関連の商品開発や監修、講演やコラム執筆、メディア出演などウェルネス分野を中心に幅広く事業を行っている。また、2020年に「ウェルネスライフコーチ協会」を立ち上げコミュニティを通して健康貢献活動を行っている。