映画『国宝』で好きな演目は? 3位「二人道成寺」、2位「鷺娘」、1位は「曽根崎心中」
シネマカフェでは現在公開中の映画『国宝』の読者アンケートを実施。8月19日から8月24日までのアンケート期間中に1587人からの回答が集まり、読者が選ぶ“心震えた演目”ランキングが決定した。
興行収入110億円を突破し、邦画実写映画歴代2位まで上りつめた本作は、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げる主人公・喜久雄の50年を描いた壮大な一代記を描く。壮絶で胸が熱くなると観る者を圧倒し、公開から絶えず話題を呼んでいる。
※以下からは、ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
第1位「曽根崎心中」
恋仲にある徳兵衛と遊女・お初。徳兵衛は、友人・九平次に金を騙し取られ、徳兵衛が九平次に金を貸した証文は偽物であると罵られ、面目を潰されてしまう。行き場のない徳兵衛がお初のもとを訪ねると、そこへ九平次が。徳兵衛の悪口を言う九平次に、お初は抗議し、独り言と見せかけ、縁の下の徳兵衛に「死ぬ覚悟はあるのか」と問う。
しばらくして、徳兵衛の無実が明らかになるも、徳兵衛とお初は曽根崎の森へと向かい、心中を果たす――。
今回、アンケートで最も人気だった演目は、喜久雄(吉沢亮)と俊介(横浜流星)の2人が演じた演目のひとつ「曽根崎心中」。当主・花井半二郎(渡辺謙)の当たり役である名作「曽根崎心中」の代役に喜久雄が選ばれたことが、2人の運命を揺るがすことに。
読者からは、「本当に二人で心中してしまうのではないかと思うほどの気迫でした。喜久雄と俊ぼんが命を賭して演じていることが最も強く伝わってきた」、「俊介を生き抜いた横浜流星さんの歌舞伎役者としての俊介の人生を生きる覚悟と歌舞伎役者として舞台に上がる責任を目の当たりにし胸が締め付けられ、俊介の心の叫びが聴こえたような気がしました」。
「喜久雄と俊介の人生そのものが投影されているよう。これが最後かもしれないと俊介の中では思ったのだろう覚悟やボロボロになりながらも徳兵衛と一緒になれる、喜久雄が徳兵衛であることの喜びも感じさせる。心中間際のお初を最後かもしれない俊介への哀しみを感じさせる喜久雄の涙。どこをとっても震え止まらなかったです。何度観ても涙が止まらない」。
「(2度目の曽根崎心中)喜久雄と俊介の関係の集大成として完璧な演目だから家族・友人・ライバルとして強く深い結び付きで見るものを圧倒する化粧が崩れたままの俊介は歌舞伎としてのリアリティはないということだが、映画ではその美しくなさが圧倒的リアリティで2人の心情を象徴するまた見つめる竹野の『こんな風には生きられないな』は最大の賞賛であり、私たち見るものの心の声でもある『歌舞伎なんて世襲だろ?』からの言葉としては感動せずにいられない」などと熱量の高いコメントが多く寄せられた。
第2位「鷺娘」

雪が降る水辺に佇んでいる白無垢姿の娘は、人間に恋をしてしまった白鷺の精。人間へと姿を変え、一途な恋心を伝える。しかし、最後には元の姿に戻り、恋心に苦しみながら、息絶える…。
続く第2位は、「鷺娘」。万菊(田中泯)、人間国宝・喜久雄がそれぞれ鷺の精を演じるシーンが登場する。読者からは、「この映画の集大成だったことで、これまでの映画で見た人生が背景に見えたこと。併せて、孤独に打ちのめされていたことも感じ取れて、人生の成功とは、豊かさとは何なのか、喜びと悲しみ、成功と孤独、など、そんな簡単な言葉では表せないが、表裏一体だというおそれを感じた」。
「喜久雄の鷺娘はただただ美しい。睫毛に留まった紙吹雪が落ちる瞬間も奇跡的。最後に喜久雄が追い求めていた景色を見れて、それまでの色々な感情が浄化されたようだった歌舞伎の劇場と一体化して思わず拍手したくなった。集大成の舞いに圧倒され、エンドロールでは放心状態に。撮影では最初から最後までを通しで数回踊っただけとのことなので集中力が凄まじいと思う。稽古も大変だったはずなので各演目フルバージョンも見てみたいです」。
「地獄の責苦に喘ぎつつ恋に殉じる鷺の精の壮絶な舞が、愛憎、清濁、栄光と挫折、全てを飲み込み、苦しみ悶えながら芸に昇華してきた喜久雄の人生とリンクして嗚咽を抑えられなかった」、「流れていた壮大な音楽が喜久雄のこれまでを振り返ってくれるような気がして、走馬灯のような体験ができた。喜久雄が人間じゃない領域にまで足を踏み入れている気がして、寂しさと美しさのダブルパンチだった。最後の台詞とエンドロールに行くまでの全てが芸術だった。圧巻!」、「人間国宝となった喜久雄の美しすぎる佇まいと舞に、訳もなく流れ出した涙が止まらなくなった」と多くの感想が届いた。
第3位「二人道成寺」

道成寺には、逃げていく男を追いかけるうちに大蛇になってしまった女が、鐘に隠れた男を鐘ごと焼き殺してしまったという伝説があり、道成寺には長らく鐘がなかったが、再興されることに。この鐘を供養するため、芸を見せる女芸人である白拍子が訪れるが、実はこの白拍子は、男を焼き殺した女の霊で――。
第3位は、喜久雄と俊介の2人で舞う「二人道成寺」。読者からは、「あの重い衣装を着て踊るのは大変だったと思う、まして2人で息を合わせる!美しく感動し、息もできないほどでした」、「喜久雄と俊介の芸と血が合わさり成功していく時と俊介の病が分かる人生の下り坂の部分と両極端の部分を同じ演目で演じ分けたのはすごいと思いました」、「舞台が上がり、喜久雄と俊介が向かい合ったシーンは涙が止まらなかったですね。2人が楽しげに、かつての半々コンビで踊る姿は、幼き日々に辛い稽古を笑いながら乗り越えていた姿に重なります」と涙する読者が多数。

4位以降はこちら。
第4位「二人藤娘」

松の大木に絡みつく藤の花。そこに二人の娘が現れるが、実は藤の精。思い通りにならない男心と切ない女心を語り合い、男の浮気性をなじって拗ねたり、もどかしい恋心を切々と踊り出す。
第5位「関の扉」(積恋雪関扉)
雪に閉ざされた逢坂山では、なぜか小町桜が満開。亡くなった帝の忠臣・宗貞は、この地で侘しく暮らしている。宗貞と関守の男・関兵衛が関を守っていると、恋人・小町姫が通りかかり、やりとりを交わす中で関兵衛の素性を怪しむ。実は、関兵衛は天下を狙う大悪人の大伴黒主。そんな中、今宵桜を伐りたおし護摩木にして焚けば、大願成就との吉相が。桜の木を切ろうとした関兵衛の前に、遊女・墨染(実は小町桜の精)が現れ…。
第6位「連獅子」

獅子頭を持った狂言師の右近と左近は、清涼山にかかる神仏の力によって、出現した石橋を舞で表現。そこでは、獅子が牡丹に戯れている。獅子には試練として我が子を谷底に落とし、駆け上がってきた強い子だけを育てるという伝説がある。親獅子は何度も何度も深い谷に子獅子を突き落とす。やがて清涼山の麓に、法華宗と浄土宗の僧が現れ、どちらの宗派が優れているか言い争いに…。
『国宝』は全国東宝系にて公開中。
【更新】8月29日 14:40 記事本文の表現を一部修正しました。