野沢雅子、丸の内TOEI最後の“かめはめ波” 閉館に惜別「ぜんぜん納得しておりません!」

野沢雅子、丸の内TOEI最後の“かめはめ波” 閉館に惜別「ぜんぜん納得しておりません!」
声優の野沢雅子が9日、27日に閉館予定の映画館「丸の内TOEI」で行われた「さよなら 丸の内TOEI」プロジェクトの上映作品映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』(2022)の舞台あいさつに出席、予定されている丸の内TOEIの取り壊しに「おかしいですよ」としきりに語った。
アニメ「ドラゴンボール超(スーパー)」の劇場版となる本作は、孫悟空や孫悟飯、ピッコロたちが、かつて悟空が壊滅させたはずの悪の組織「レッドリボン軍」が作り出した人造人間と闘いを繰り広げる。シリーズで孫悟空・孫悟飯・孫悟天の声を担当する野沢は、まず悟空の声で「オッス、オラ悟空! みんなよろしくな!」とあいさつすると、すぐに声色を変えて「僕、悟飯です。皆さんとご一緒できてうれしいです」とあいさつ。さらにトーンを高くした悟天の声で「僕もうれしいよ!」とあいさつ。その絶妙な演じ分けに、会場からは大きな拍手がわき起こった。
その瞬時の切り替えは、普段の収録から行っているとのことで「だいたい(キャラクターごとに)別録りをするのが普通なんですが、わたしは一緒に録ってもらうんです。だって演じる側としては気持ちがのってるじゃないですか。だから別にひとりで録るよりはそのままやりますね」と説明。
7月27日に閉館予定となる丸の内TOEIについては「駆け回る劇場」という印象が強いという野沢。「ここで舞台あいさつをしてから、次の劇場に走っていく。そして何事もないようにまたごあいさつをして、また次の劇場に。だからここがスタート地点。移動はものすごく走っていましたね」と述懐。あらためて劇場を見渡すと、「どうして壊すんですか? 誰が決めたんですか? おかしいですよ、こんないい劇場を!」とコメント。会場からは野沢の意見に賛同する拍手が鳴り響き、「ほら、皆さんだってそうですよ」と野沢。「銀座を歩いていると、ここで映画をやってる。この映画を観たかったから、観てから行こうかとできるじゃないですか。ねえ? なんで終わらせるんですか。おかしいでしょ」と意義を唱えると、会場の観客のみならず、関係者からも拍手がわき起こった。

「さよなら丸の内TOEI」プロジェクトではクラウドファンディングも行われ、リターンとして、劇場の座席やスクリーン、緞帳などを利用したアップサイクルグッズなどが返礼品として用意されている。「わたしも申し込みました」と語った野沢は「だって、スクリーンや緞帳がポーチとかになるんですよ。絶対に申し込まなきゃ。ここで映画を見せてもらって、『ドラゴンボール』も見せていただいたのに……壊すっておかしいですよ」となおも納得しかねる表情に。
今回上映される『スーパーヒーロー』では、悟飯とピッコロが活躍。ピッコロの声を担当する古川登志夫について、野沢は「ご夫婦そろっていい人なんです。もちろん、うちの事務所の人はみんないい人なんですが、群を抜いているのが古川さん」と語り、「わたし、庭で家庭菜園をしていて、ゴーヤとかトマト、キュウリなんかを植えてるんです。それでゴーヤができたときにスタジオに持っていったんですけど、みんなそれを見て『いや、買えますから』と言うんですよ。そうしたら古川さんが『マコさん、もらっていいですか』というからあげたら、作った料理を写真に撮って見せてくれた。最高でしたね」とうれしそうに明かすと、その優しさに会場からも拍手がわき起こった。
いつも元気な野沢だが、「わたしはのんきだからトレーニングはやらない」とキッパリ。「毎日お風呂に入るので、そこでうがいをするんです。ガラガラ、ペッと。それでおしまい」というと、「わたしは寝起きでも“かめはめ波”が撃てます」とコメント。その超人ぶりに会場は驚くことしきりだった。

そんな野沢に、丸の内TOEI最後となる「かめはめ波」を生披露してもらうことに。“取り壊し反対派”の野沢としては、建物を壊すのは意に反することかと思われるが、「大丈夫です!」と野沢。「外に抜けるところを探して、外に撃ちますから」と語る。そして丸の内TOEIでは最後となる「かめはめ波」を披露した後、最後のメッセージに。そこでも「わたしはぜんぜん納得しておりません!」と念を押した野沢は、「今日はこんなに大勢の方が来てくださって。ひと目でも劇場を見ておこうと思ったと思うんですよ。だけど納得してないですよね。やめましょうね、納得するのは」と語ると、「映画をぜひ、ご覧ください。楽しめる映画になっていると思いますんで」と観客に呼びかけていた。(取材・文:壬生智裕)
「さよなら 丸の内TOEI」プロジェクトは7月27日まで実施予定