iPad miniに対抗できる? 高解像度にこだわった8型Androidタブレット2製品を試す【山口真弘のおすすめ読書タブレット比較】
今回はiPad mini(左)と競合しうる高解像度の8型タブレット2製品をチェックする
タブレットの中でも、日本人に特に人気が高いとされるのが、8型クラスの小型タブレットだ。そのうち知名度が高いのはご存知「iPad mini」だが、これに次ぐ製品となると、すぐに名前の挙がる製品は多くない。よく名前を聞くのはAmazonの「Fire HD 8」だが、こちらは解像度が低いという弱点がある。「iPad mini」クラスの表示性能を持つ別の選択肢となると、一昔前は候補がほとんどない状況だった。
もっとも昨今はこうした状況も徐々に変わってきており、「iPad mini」と同等の解像度を持つ8型クラスのタブレットは探せばいくつも見つかる。今回はその中から、性能重視でチョイスした製品と、価格重視でチョイスした製品、2つのAndroidタブレットをピックアップして、現行の「iPad mini」(A17 Pro)との違いを中心に、タブレットとしての実力をチェックしていく。
なお画質比較のサンプルには、『Kindle Unlimited』で配信されている、森田 崇/モーリス・ルブラン著『怪盗ルパン伝アバンチュリエ 第1巻』を、許諾を得て使用。またテキストは夏目漱石著『坊っちゃん』をサンプルとして使用している。
実売2万円切りながらLTEにも対応「BPad Mini」
最初に紹介するのは、BNCFの8.4型Androidタブレット「BPad Mini」だ。品名からして明確に「iPad mini」を意識したこの製品、実売2万円を切るリーズナブルな価格ながら、解像度は1,920×1,200ドットと高く、さらにLTEにまで対応しているのが特徴だ。
一方でCPUはSnapdragon 685と、ローエンドでこそないものの、ゲームなど負荷の高い用途には向かない。ただし電子書籍ユースでは十分過ぎるほどで、この手の格安タブレットでは省略されがちな顔認証もサポートしている。予算的に「iPad mini」には手が出せないユーザーにおすすめできる。
タブレットとしては一般的なワイドサイズで、メモリは8GB+仮想メモリ12GBという構成。Widevine L1に対応するなど動画ユースにも向いている。重量は実測317gということで、「iPad mini」(293g)には及ばないが、後述する「Lenovo Legion Tab」が350gにも達することを考えると、まだ軽量な部類に入ると言っていいだろう。
「BPad Mini」。本稿執筆時点では実売21,849円に6,500円のクーポンが追加され、1万円台半ばで購入できる。OSはAndroid 14
「iPad mini」(左)と並べたところ。アスペクト比の関係もありややスリム
背面の比較。カメラは2眼に見えるが片方はフラッシュで、実際には1眼構成
厚みは「iPad mini」(左)よりもややある
電源ボタンと音量ボタン。どれもほぼ同じ形状で紛らわしい
側面にUSB Type-Cポートを搭載。格安タブレットながら急速充電にも対応する
ゲームも余裕のハイエンド機「Lenovo Legion Tab (8.8”, 3)」
次に紹介するのは、Lenovoの8.8型Androidタブレット「Lenovo Legion Tab (8.8”, 3)」だ。こちらはSnapdragon 8 Gen 3を採用するなどCPUからしてハイエンドで、解像度は2,560×1,600ドット、165Hzのリフレッシュレートに対応するほか、物理メモリも12GBと余裕があり、電子書籍はもちろんゲーミング用途にも十分に耐えうる。Wi-Fi 7に対応するのも売りだ。
登場時は『ついにiPad miniに対抗しうるAndroidタブレットが登場した』と海外で話題になったこのモデル、性能の高さは折り紙付きだが、実売価格は7万円台と高価で、同容量の「iPad mini」が8万円台半ばで購入できることを考えると、価格面のアドバンテージはあまりない。性能優先、かつ「iPad mini」以外で、という条件付きで候補を探している人向けの製品だ。
ちなみに画面サイズは、今回比較している他の2製品が8型前半なのに対して、本製品は8.8型とひとまわり大きい。また重量も350gと、293gの「iPad mini」、実測317gの「BPad Mini」と比べて明らかにズシリと来る。多少重くても、画面サイズの大きさを求めるユーザー向けだろう。
「Lenovo Legion Tab (8.8”, 3)」。本稿執筆時点の実売価格は76,780円。OSはAndroid 14
「iPad mini」(左)と並べたところ。画面サイズが大きいことからやや縦長に見える
背面の比較。カメラは2眼構成
厚みは「iPad mini」(左)よりもややある
電源ボタン(右)は凹凸加工があり指先で音量ボタンと判別しやすい
側面にUSB Type-Cポートを搭載。このほか底面側にもUSB Type-Cポートがある
ベンチマークによる性能差をチェック
まずはベンチマークでざっと性能を比較してみよう。
「Google Octane」では、「BPad Mini」が「21274」、「Lenovo Legion Tab」が「60694」。「GeekBench 6」(シングルコア/マルチコア)では、「BPad Mini」が「474/1518」、「Lenovo Legion Tab」が「2031/5678」となっている。「BPad Mini」はおおむね「Lenovo Legion Tab」の3分の1程度のスコアにとどまっている。ざっくり言うならば「価格通りの差」ということになる。
このように書くと「BPad Mini」のパフォーマンスが極端に低いように見えるが、一般に格安タブレットと言われる実売1~2万円台のモデル、例えばAmazonの「Fire HD 8」などは、「Google Octane」で1万点にすら届かない製品がほとんどだ。それを考えると、ほぼ同等の価格帯で約3倍のスコアを叩き出す「BPad Mini」は、むしろ優秀な部類に入る。
実際に「BPad Mini」を電子書籍ユースで使っていても、ページめくりはもちろん、上下スクロール、アプリの切り替えに至るまで操作はサクサクとしていて、ストレスは感じない。ただし本体の再起動などでは相当な時間待たされる場合があり、このあたりに関しては、あらゆる動作で快適に動作する「Lenovo Legion Tab」との差を感じさせる。
ちなみにOSが異なるので参考記録となるが、「iPad mini」は前述のベンチマークスコアでは、「Lenovo Legion Tab」を上回るスコアとなる。iPadファミリーの中では標準的なスペックである「iPad mini」でも、こうして他製品と比べると、性能の高さを実感させられる。
「Google Octane」でのベンチマーク結果。左から順に、「iPad mini」が「94214」、「BPad Mini」が「21274」、「Lenovo Legion Tab」が「60694」
「GeekBench 6」(シングルコア/マルチコア)でのベンチマーク結果。左から順に、「iPad mini」が「2929/7202」なのに対して、「BPad Mini」が「474/1518」、「Lenovo Legion Tab」が「2031/5678」
表示回りの性能は?
電子書籍ユースで重要となる、表示回りの性能を見ていこう。
「iPad mini」は8.3型で、解像度は2,266×1,488ドット(326ppi)。「BPad Mini」は8.4型で、1,920×1,200ドット(270ppi)と、解像度が「iPad mini」よりやや低め。「Lenovo Legion Tab」は8.8型で、2,560×1,600ドット(343ppi)と、こちらは「iPad mini」よりも上ときている。
実際のクオリティを隣に並べて比較してみると、「iPad mini」と「Lenovo Legion Tab」は目視では見分けがつかず、解像度がやや劣る「BPad Mini」のみ、多少の粗さが目立つと言ったところ。とはいえ電子書籍ユースとしては一定の水準をクリアしているので、どれを選んでも大きな問題はない。画面を横向きにしてコミックを見開きで表示するのにも、十分に対応できる。
その一方、3製品を並べると気になるのは、「BPad Mini」の画面の暗さだ。「BPad Mini」の最大輝度は350ニトということで、500ニトである「iPad mini」および「Lenovo Legion Tab」と比べると明らかに見劣りする。外光が差し込む室内、あるいは直射日光下での利用は要注意だ。通勤電車の中での利用も、光線の具合によっては要注意かもしれない。
テキストコンテンツの比較。左から「iPad mini」、「BPad Mini」、「Lenovo Legion Tab」。表示性能はほぼ横並びだが、「BPad Mini」はやや暗く感じる
画質の比較。左から「iPad mini」(326ppi)、「BPad Mini」(270ppi)、「Lenovo Legion Tab」(343ppi)。どれも十分なクオリティで、細い線もしっかり描写できている
コミックの比較。左から「iPad mini」、「BPad Mini」、「Lenovo Legion Tab」。
見開き表示にして並べたところ。上から「iPad mini」、「BPad Mini」、「Lenovo Legion Tab」。中央の「BPad Mini」はアスペクト比および画面サイズの関係で他の2製品よりひとまわり小さい
画質の比較。左から「iPad mini」(326ppi)、「BPad Mini」(270ppi)、「Lenovo Legion Tab」(343ppi)。クオリティは十分だが、強いて挙げれば「BPad Mini」は多少のざらつきがある
2つ目のUSB Type-Cポート、LTE対応などほかにも特徴いろいろ
その他、電子書籍ユースにあまり関係ないところも含めて、両製品で知っておくべき特徴や付加価値を見ていこう。
「Lenovo Legion Tab」の大きな特徴として、USB Type-Cポートを2基搭載していることが挙げられる。これは充電しながら外部ディスプレイに映像を出力するなど、ゲーミング用途を意識したものだ。電子書籍ユースでどれだけ活用の機会があるかは微妙だが、画面が縦向きでも横向きでもケーブルを真下から出せるので、取り回しが良くなるのは利点だ。
もうひとつ、充電器からタブレット本体に直接給電するバイパス充電なる機能も搭載している。これもやはりゲーミング用途を意識したもので、バッテリーの充放電のサイクルを重ねることなく長時間の駆動を可能にする。こちらも電子書籍ユースではあまり出番がないかもしれないが以下同文、ということになる。
側面だけでなく底面にもUSB Type-Cポートを搭載する。側面側と異なり、USB 3.2仕様で映像出力にも対応
一方の「BPad Mini」は、LTEに対応しており、市販のSIMカードを挿入することで、外出先でもモバイル通信が行える。スマホによるテザリングを行わなくとも単体でネットに接続できるのは、頻繁にストアに接続したり、コンテンツをダウンロードしたい場合には便利だろう。
また最大1TBまでのメモリカードに対応しており、容量を追加できるのも強みの一つだ。電子書籍を保存できるかはアプリにもよるが、容量の選択肢が128GBしかないので、多くのコンテンツを保存したままにしておきたい場合や、電子書籍以外のデータで容量の多くを使ってしまっている場合は、役に立つシーンも多いはずだ。
LTEに対応するほか、メモリカードも利用できる
「高解像度の8型タブレット」を用途で選べる時代に
以上のように、同じ「高解像度の8型タブレット」でも、両製品の位置づけはまったく異なることが分かる。かつての8型クラスのタブレットと言えば、高解像度の「iPad mini」と、価格重視の「Fire HD 8」の実質2択といっていいくらいしか選択肢がなかったわけだが、現在はこのように、予算重視での安価なモデルと、高価ながら性能重視のモデルと、どちらの選択肢も存在している。
またこれら2製品の間にも、さまざまな候補製品が存在しており、一昔前では考えられなかった充実ぶりだ。電子書籍だけであれば安価なモデルでも問題ないが、さまざまな用途に用いる前提で、ハイエンドなモデルに投資するという考え方ももちろんありだろう。これらが選べる環境はユーザーにとっても非常にありがたい状況であり、今後もより幅広い選択肢が増えていってほしいところだ。
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