近本光司どこへ行く 巨人FA参戦報道 梅野隆太郎は…識者見解

近本光司
阪神が4連勝で優勝へのマジックを12としている中、チームの不動のリードオフマンの近本光司外野手(30)と、かつて正捕手だった梅野隆太郎捕手(34)の今オフの動向に注目が集まっている。
昨年の契約更改交渉で単年契約を結んだ近本の今季推定年俸は、3億7000万円。球団側は、今季中の国内FA権取得を見据えて複数年契約を提示したが、近本は単年契約を選んだ。
近本はこの時、「1年で勝負したいと思った。球団の思いもたくさん聞かせてもらって、それでも『単年でいいかな』と」と語った。
近本は今月27日までに出場した115試合すべてで「1番・中堅」で先発していたが、27日のDeNA戦(横浜)では、5打数無安打に終わり、4試合連続、今季ワーストの24打席連続無安打となった。
近本は28日のDeNA戦(横浜)ではベンチスタートとなった。近本は今季、出場115試合で打率.281、リーグトップの27盗塁をマークし、今季も不動のリードオフマンとして打線を牽引している。

梅野隆太郎
こうした中、近本は19日に国内フリーエージェント(FA)権を取得したため、近本がこれを行使した場合の今オフの争奪戦に巨人やソフトバンクの〝参戦〟の可能性が次々に報じられているのだ。主な内容は次の通り。

高木豊氏
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26日配信 FRIDAY DIGITAL「巨人が阪神・近本光司獲得に向け『調査開始』…『総額約30億円』&家族へのサポートで熱烈勧誘か」
26日配信 AERA DIGITAL「阪神のリードオフマン近本がFA権取得 残留が有力視されるも『巨人が獲得に参戦』の可能性」
27日配信 日刊ゲンダイDIGITAL「阪神は引き留め料“大出血”必至…国内FA近本光司の残留に使う巨額マネー」
28日配信 週刊文春 電子版「FA権取得で巨人がロックオン 阪神近本の“サラリーマン能力”」
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日刊ゲンダイの記事の中では、球界関係者の話として、近本の争奪戦が起きた場合には、ソフトバンク〝参戦〟の可能性も伝えられている。
近本本人はFA権行使についてどう考えているのか。近本の同僚で阪神の主砲の大山悠輔内野手(30)は昨年オフ、国内フリーエージェント(FA)権を行使し、巨人や西武も参戦したことで〝FA狂騒曲〟となり、〝場外TG戦〟としても注目された。大山は結果、5年総額17億円プラス出来高払いで残留した。
近本は昨年の契約更改交渉を終えた後の会見で、残留が決まった大山について、「すごく悩んでいたし、ストレスもあったと思う」「僕も来年、その立場になるかもしれない。そういうことも踏まえていろんな話を聞いていました」と語っていた。
球団側は近本を全力で慰留する方針で、粟井一夫球団社長(61)は今月18日までに、「そんなの聞くまでもないこと。彼(近本)がもうすぐ権利を取得するわけだから、それに合わせて準備はしている」とコメント。
19日の「サンケイスポーツ」では、阪神の竹内孝行球団副本部長の、「本人にはもちろんお声がけをさせていただきました。こちらとしてもまだシーズンを戦っている最中ですので、シーズンが全部終わってからしっかり話はしたいなと思っておりますし、本人にもその話はしました」というコメントが伝えられている。
阪神で近本のほかに去就が注目されているのが梅野だ。梅本の今季推定年俸は1億6000万円で、2021年に国内FA権を行使せず結んだ4年契約の最終年。
正捕手の座をつかみつつある坂本誠志郎捕手(31)の陰で出場機会が減っており、今季終了後FA権を行使して移籍する可能性がある。
梅野は昨季、95試合に出場したが、今季の出場は8月27日までで42試合。
こうした中、梅野は、27日のDeNA戦(横浜)で、3日のヤクルト戦(神宮)以来となるスタメン出場。今季初の猛打賞(3安打)でアピールし、育成ドラフト3位入団の早川太貴投手(25)を初勝利に導いた。
現役時代は横浜や日本ハムでプレーし、指導者としてDeNAの1軍ヘッドコーチを務めた野球解説者、高木豊氏(66)は25日に自身のユーチューブチャンネルに投稿した動画の中で、近本や梅野の去就について、次の通りに解説した。
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1番バッターっていうのは1番打順も回ってくるし、そこに安定感があって率も残せて出塁率がある。近本なんかは勝負強い。そうなってくると獲りたいだろうな、欲しいところはたくさんあるだろうな。
だってルーキーから年間130本はずーっと7年間打ち続けてきているから。もうそれだけの安定感というのはなかなか出せないからね。手を挙げれば人気になるだろうな。巨人なんかは絶対欲しいだろうね、1番バッターというのはね。中日も欲しいだろうし、ほとんど欲しいと思うよ、安ければね(笑)。
そりゃDeNAだあって1番候補はいるにしても安定感にかけるからさ、近本・桑原(将志)で1・2番組ませたら嫌だぜ。なんかしつこそうだもんな(笑)。そういう意味では巨人とか、ヤクルトももちろん欲しいよな、来てくれるんだったら。パリーグだってロッテだって欲しいだろうな。でも外野手が多いからなあそこは。
(西武は)西川(愛也)は1番として打たせているけど、本当は3番ぐらいを打てるバッターにしたいもんね。そうなってくると、1番で近本がいてくれたらって思うよね。
(年俸は)5億は下らないと思うよ。5億の4~5年(契約)だよな。ソフトバンクも欲しいだろうな。(外野は)いるけど、1番・近本、2番・周東(佑京)、逆でもいいよ、嫌だぞ?
(日本ハムがなさそうかは)いや~分からん。やっぱり安定感が1番だよね。ゲームは休まないし。強さもあるし。そういう意味ではすごく重宝できる選手だよ。
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阪神は(移籍を)全力で止めると思う。それはなぜかと言うと、坂本(誠志郎)の後だとすると、まだ梅ちゃんだもんね。榮枝(裕貴)出たけども、まだまだ経験値だとかいろいろ考えると梅ちゃんだしな。
でもそれでも出たいというんだったら、どこか獲るところはあると思う。やっぱり分業制みたいなのが流行ってるし、100試合以上だとかそういうことは考えてないと思う。半分半分でいいから、阪神よりも出番があるようなところで行きたいのかな、そんな感じだよね。
中日とかも面白いだろうし。石伊(雄太)が伸びてるし、おそらくレギュラーとしては石伊を使っていくと思うけども、2番手とかそういうところに入っていくのかなという感じはする。木下(拓哉)もケガしてるしな。そういう意味ではどうなるか分からんけども、でも、中日が『来ないか?』と言ってくれるとさ、手を挙げて、行くと面白いよ。
(阪神にいるよりは試合に)出られるのと、『梅ちゃんが来たから強くなった』ことの可能性があるチームだからね。そう意味ではいく価値はあると思う。ヤクルトはないしな、巨人もない、DeNAもない。
広島はチャンスがあるかも分からないけど。會澤(翼)がほとんど出なくなってきて、石原(貴規)を2番手として使っているけど、坂倉(将吾)がどうなんだろうと思って、キャッチャーとして。キャッチャーじゃない方が坂倉のバッティングは生きるなと思う。それだけ大変だということ、キャッチャーが。
パリーグはオリックス。ケガがちだよね、森友哉がね。若月(健矢)のサポートをする意味では、梅ちゃんとか俺は最高だと思う。
日本ハムはいらない、楽天も多分いらないだろう、いろんなキャッチャーいるしね。ソフトバンクはワンチャン獲る可能性もあるな。嶺井(博希)もいるけども、いても悪くない。その中で2番手にはなるなと思う。主戦になる可能性だってあるし。
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FA宣言した結果、残留を決断した大山から、「僕も来年、その立場になるかもしれない。そういうことも踏まえていろんな話を聞いていました」という近本は今季オフ、移籍するのか。
梅野がどのような決断を下すのかについても、目が離せない。
■近本光司(ちかもと・こうじ) 平成6(1994)年11月9日生まれ。兵庫県・淡路島出身。兵庫県立・社高校、関西学院大学、大阪ガスと進み、2019年にドラフト1位で大阪ガスから阪神に入団。1年目から故・長嶋茂雄さんが持っていた153安打のセ・リーグ新人記録を塗り替える159安打を放ち、2年目以降も阪神の中心選手として不動の地位を築いた阪神のスター選手。
2021年は178安打で最多安打のタイトル、盗塁王は5度獲得。俊足を生かした守備では21年から4年連続で外野手でゴールデングラブ賞を受賞した。
■梅野隆太郎(うめの・りゅうたろう) 平成3(1991)年6月17日生まれ。福岡県那珂川市出身。福岡・福岡工業大学附属城東高校、福岡大学と進み、2013年にドラフト4位で福岡大から阪神に入団。2018年から3年連続で捕手でゴールデングラブ賞を受賞した。
2019年には、123補殺を記録し、捕手のシーズン補殺日本記録を65年ぶりに更新。阪神の捕手のシーズン最多盗塁となる14盗塁も記録した。日本代表が金メダルを獲得した2021年夏の東京五輪にメンバーに選出され、プレーした。
■高木豊(たかぎ・ゆたか) 昭和33(1958)年10月22日生まれ。山口県防府市出身。山口・多々良学園(現・高川学園)高校、中央大学と進み、1980年にドラフト3位で中央大から横浜大洋ホエールズ(現・横浜DeNA)に入団。1984年に盗塁王のタイトルを獲得。1983年に二塁手でダイヤモンドグラブ賞、1985年に遊撃手・1990年と1991年に二塁手でベストナインを受賞した。1994年は日本ハムでプレーし、現役を引退した。生涯通算打率.297を残した。
2001年からは古巣ベイスターズの1軍の守備・走塁コーチを1年間務めた。2004年のアテネ五輪では日本代表監督の長嶋茂雄さんの要請で、守備・走塁コーチを務め、銅メダル獲得に貢献。 2012年からは横浜DeNAの1軍ヘッドコーチを1年間務めた。野球解説者として活動しつつ、2018年にはユーチューブチャンネルを解説し、ユーチューバーとしても活動している。 3人の息子(高木俊幸・高木善朗・高木大輔)は、いずれもプロサッカー選手。
(zakⅡ編集部・小野田聡)
■小野田聡(おのだ・さとし) ライター歴2年。産経デジタル新卒入社6年目。現在はzakⅡ編集部に在籍。エンタメ・スポーツ分野の執筆経験が豊富。1996年生まれ。X(旧ツイッター)のアカウントは@zakdesk。