天皇杯・町田ゼルビアが初の4強 黒田剛監督「貪欲にタイトルを狙っていきたい」 鹿島に3-0快勝

〈密着マーク・町田〉

 サッカーの第105回天皇杯全日本選手権は27日、町田GIONスタジアムなどで準々決勝が行われ、町田は鹿島とのJ1上位対決に3ー0で快勝し、初めて4強入りした。町田の黒田剛監督は次のように試合を振り返った。(加藤健太)

◆「しっかりとみんなが奮闘」

──総評

 きょうは何枚か、日ごろのメンバーから交代しながら、高さ的には分が悪いなという懸念もあったんですけど、しっかりとみんなが奮闘し、町田のサッカーにはめていくというようなところで、理想だったリスタートと、それから藤尾のキープ力からの反転からのシュートという形で、すごくいい形で2点を先行できたことが、追い風になったという印象です。

◆「しっかりとみんなが奮闘」, ◆「下田のシュートから3点目…鹿島の心を折った」, ◆「増山は本番にはすごく強い」, ◆「2-0で折り返したことが勝因」, ◆「中山が入ったことでコミュニケーションが増えた」, ◆「誰が出ても遜色なくやれるという実感」, ◆「無駄な失点をなくすことに取り組んでくれた成果」, ◆藤尾は「チャラチャラしているように見えるけど…」, ◆「リーグの方も狙っていきたいい」

張りのある声で試合を振り返るFC町田ゼルビアの黒田剛監督=町田GIONスタジアムで(加藤健太撮影)

 後ろも、菊池や岡村がいない中で、中山を後ろに戻した。あそこのコミュニケーション、それからラインのアップダウンのところが、すごく的確であったと思います。

 相手をオフサイドにかけるところが、本数的にも多かったなと。それぐらいラインアップのところに、彼らは誠実さを持ってやってくれたなという印象です。

◆「下田のシュートから3点目…鹿島の心を折った」

 そして、多少メンバーを変えたり、それから配置を変えたりしながら、鹿島さんの動きに対してもきちんとスライドをしながら、しっかりと中を締めながら、危機的状況をつくらせないようにというところで、みんながコミュニケーションを取って、しっかりまとまってくれたと思います。

 後半は、やっぱり王者ですから、ここで終わることはないと、絶対に墓穴を掘ることがないようにということで、後半はもう一度、ねじをまき直して入らせました。

◆「しっかりとみんなが奮闘」, ◆「下田のシュートから3点目…鹿島の心を折った」, ◆「増山は本番にはすごく強い」, ◆「2-0で折り返したことが勝因」, ◆「中山が入ったことでコミュニケーションが増えた」, ◆「誰が出ても遜色なくやれるという実感」, ◆「無駄な失点をなくすことに取り組んでくれた成果」, ◆藤尾は「チャラチャラしているように見えるけど…」, ◆「リーグの方も狙っていきたいい」

町田ー鹿島 後半、チーム3点を決めた町田・下田(中央)=Gスタで(芹沢純生撮影)

 下田の素晴らしいシュートから3点目ということでダメ押しをした。そういった状況もありまして、一気に鹿島の心が折れてしまったというところもあったんだと思います。

 できるだけボールを動かしながら、時間を使いながら、3ー0でしっかりと推移していくこと、または飲水タイム以降の時間をしっかりと交代メンバーを使いながら、われわれのスイッチをもう一度入れ直していくというところ。

 しっかりとその辺に関しても、チャンスを何回もつくりましたし、かなり意図的な形には持っていけたのかなという印象はあります。

 この後、けが人がしっかりと戻ってきて、5連戦の中のラスト1試合ですけども、これを勝てなければ全く意味がないので、しっかりと川崎戦に照準を合わせて、コンディションを整えて、もうひとつギアを入れて、奮起させて、リーグ戦も勝てるように準備をしていきたいなと思います。

◆「増山は本番にはすごく強い」

──先発した増山朝陽の評価

 長崎から移籍してきて、われわれの求められることへのギャップとか、またはハードワークも、インテンシティー(強度)もそうですし、かなり違うということに多少の戸惑いも感じながらも、やれば絶対に慣れていくという彼の前向きな姿勢があった。

 トレーニングの中でもかなり難しい局面もあったんですけど、彼と一緒にやっていた菊池流帆あたりが、「彼は本番に強い。本番にはできる」ということで、根拠のないようなことをいろいろ言ってくださいましたので、「よし、じゃあ行こう」と。

◆「しっかりとみんなが奮闘」, ◆「下田のシュートから3点目…鹿島の心を折った」, ◆「増山は本番にはすごく強い」, ◆「2-0で折り返したことが勝因」, ◆「中山が入ったことでコミュニケーションが増えた」, ◆「誰が出ても遜色なくやれるという実感」, ◆「無駄な失点をなくすことに取り組んでくれた成果」, ◆藤尾は「チャラチャラしているように見えるけど…」, ◆「リーグの方も狙っていきたいい」

町田ー鹿島 前半、鹿島・鈴木(右)と競り合う町田・増山=Gスタで(芹沢純生撮影)

 昨日のトレーニングの中でも、コーナーキックから点数を取っていたということで、(昨日と今日で)2本連続で続いたので、ちょっと不思議ではあるんですけど、やっぱり本番にはすごく強いなという印象を受けました。

 攻守にわたってハードワークしてくれたし、ボディーコンタクトのところもしっかり戻って体を入れ、マイボールにしたり。すごく彼の持ち味っていうのは、今まで見てきた増山朝陽がしっかりと見られた1試合になったなと思います。

◆「2-0で折り返したことが勝因」

──前半は高さがないために前進に苦労しているように見えた

 ボランチが前に出てこない傾向が、どのチームとやっても結構多くて、やっぱり背後とか、長いボールのセカンドボールを拾うというところでボランチを担保させるっていうことが、今までのチームの中でも多いんですけど、おそらくそう来るだろうということも踏んでいた。

 ボールは全然つなげるし、2列目からや、外回しからもポケット攻略もできる。だからあんまり長いボールばかりにならないということで、ヘンリーがいた時は、結構そこは起点になったんですけど、そうではなくて、相馬の仕掛けからも点数が取れるということと、右の(増山)朝陽であったり、ナ・サンホであったり、(林)幸多郎も入っていくっていうような、右も左も厚みのある攻撃はわれわれの狙いでもあった。

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町田ー鹿島 鹿島に勝利し、笑顔を見せる(左から)町田の増山、藤尾、下田=Gスタで(芹沢純生撮影)

 その辺に関しては、一発を仕留めるプランを持ちながら0-0で推移していけば、必ず勝機があるということで、選手が信じてやってくれたこと。

 2-0で折り返したことが、やっぱり今日の勝利に大きくつながったんではないかなと思います。

◆「中山が入ったことでコミュニケーションが増えた」

──3バックは足元の技術がある選手が並んだ。うまくボールを運べた要因になったか

 中山が入ったことで、すごくコミュニケーションが増えた。ラインアップのところも、ずっと(昌子)源とかなりコミュニケーションを多くとって、絶対に低くならないように中山が声をかけ続けてくれたことによって、ズルズル行かなかったことが、オフサイドを取れたところにもつながってきたと思うし、相手もなかなか前に出づらい状況を作れたと思う。

 即席ではありながら、余裕を持ちながらやってくれた3バックだった。いろんな形を試しながら、こういう形もあるなというところで見せてもらったんで、またこれからの選手選考がますますヒートアップしてくるんじゃないか。

◆「誰が出ても遜色なくやれるという実感」

──これまで先発機会が少ない選手が出て勝ち切った

 もう毎日のように、絶対に逆を向いてトレーニングをするとか、そういうことがないように、またはわれわれは、チームの立ち上げの時から、みんなが同じ方向に向かってやって、その中でポジション争いが熾烈(しれつ)になっていくことを、十分覚悟して受け止めながら、チームを結束させていくっていうわれわれのコンセプトのところを、彼らもぶれずにやっていました。

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町田ー鹿島 後半、鹿島・レオセアラのクロスをブロックする町田・昌子(右)=Gスタで(芹沢純生撮影)

 もちろん外された選手は悔しい思いもしながらトレーニングしていたところもあると思いますけども、そういったものが、きょうのゲームに、形として闘志や熱力っていうもので、うまく変換されながら、結果をもたらしてくれたなっていう風に思います。

 今の状況だと、誰が出ても遜色なくやれるという実感もあらためて湧きますし、きょうは本当にいいプレーをしてくれたなっていう風に、入った選手はみんな素晴らしかったと思います。

◆「無駄な失点をなくすことに取り組んでくれた成果」

──この1勝が今後にもたらすものは

 われわれのやるべきことっていうのは大きく変わってるわけではなく、多少やるべきことを増やしたり、またはいろんなものを肉付けしたことによって生じたちょっとした緩みの中から、本当にゲームは圧倒的に勝っているんだけども、確実なところを決められなくて、1本のコントロールミスから失点してしまったりとか、そういったちょっと不用意なところっていうのは前半戦は多く見られていた。

 それを絶対的になくしていくということによって、ゼロで推移すれば必ずわれわれは得点機もあるということで、まずは無駄な失点をなくそうというところに従事して取り組んでくれた成果が、失点を最小限に抑えながら勝利を重ねていけていることにもつながっている。

 われわれのプランというものをあらためて、選手たちが感じて実践してくれている。ただただ、それだけだと思います。

◆藤尾は「チャラチャラしているように見えるけど…」

──ワントップの藤尾が攻守で効いていた

 やっぱり一つはタフであること。攻守にわたって絶対にサボらないで、やるべきことを徹底してやること。

 それから外見からは想像できないような生真面目さがあって、そこをしっかりとやってくれるところにチーム全体の信頼が構築されているところもあります。

◆「しっかりとみんなが奮闘」, ◆「下田のシュートから3点目…鹿島の心を折った」, ◆「増山は本番にはすごく強い」, ◆「2-0で折り返したことが勝因」, ◆「中山が入ったことでコミュニケーションが増えた」, ◆「誰が出ても遜色なくやれるという実感」, ◆「無駄な失点をなくすことに取り組んでくれた成果」, ◆藤尾は「チャラチャラしているように見えるけど…」, ◆「リーグの方も狙っていきたいい」

町田ー鹿島 前半、チーム2点目を決める町田・藤尾(右)=Gスタで(芹沢純生撮影)

 チャラチャラしているように見えるんですけど、ゲームの中では信頼を勝ち得てやっている。

 または、藤尾のプレス、またはけん制からシャドーとかボランチがプレスに行きやすい状況をつくり出しているということも言えると思う。

 それをサボらずにずっとやり続けていること、それが彼の持ち味だと思うので、今まさにそれがチーム内で、うまく機能しているなと思います。

 1点取れたことも良かったですし、あと2点ぐらい取れる場面もあったので、あれを外すのも藤尾だし。いろんな意味で、まだまだやるべきことも多いと思いますけど、今はチームの信頼を得ているということで、けがなくやってくれることがわれわれとしては望みです。

◆「リーグの方も狙っていきたいい」

──天皇杯のタイトルが見えてくる位置にきた

 まだアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)もこれからということでもありますし、今年は何かしらのタイトルは絶対に取りたいよねっていうところからスタートしています。

 ただ、リーグ戦も5位以内という風に言いながらも、やっぱり優勝っていうものをもくろみながらやってきたというところもあります。

 前半戦は、先ほど言ったような失点があったことによって、トップから勝ち点15ぐらい離れた時もありましたけど、後半戦は無敗でここまで来ているということは、今の追い上げにもつながっていると思います。

 ただ、勝ち点1や2の差っていうのは、近いようで遠いということを自覚しながら、リーグの方も狙っていきたいと思います。

 やはりクラブが一つタイトルを取ることによって、これからの町田の明るい兆しのようなもの、または歴史をもう1ページ、もう1歩進めることができるので、最善の準備をし、そして貪欲にタイトルを狙っていきたいなと思っています。

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