レッドブルF1、4度のインディ王者パロウ獲得に動く? 本人含め周囲は否定も……可能性はあるのか
アレックス・パロウの名前が再びF1のパドックで話題になっている。米メディアのインディスターによると、レッドブル・レーシングは2026年に、マックス・フェルスタッペンのチームメイトとして、4度のインディカーチャンピオンであるパロウを確保したいと考えているようだ。
報道によると、交渉に直接関与する関係者からレッドブルから興味を持たれていることが認められたが、パロウ自身は交渉が進んでいるのかという質問を否定したという。
パロウのマネージャーであるロジャー安川氏や所属チームであるチップ・ガナッシ・レーシングも、レッドブルとの交渉は一切ないとの立場を強調している。
しかしパロウとガナッシとの契約には、解約金支払いを条件としたF1移籍のための契約解除条項が含まれているとされており、移籍の可能性は排除できない。
キャリア絶頂期のパロウと、最悪の時期を過ごすレッドブル
日本のスーパーフォーミュラで活躍した後2020年に渡米し、インディカー参戦2年目の2021年に名門チップ・ガナッシに移籍して初チャンピオンに輝いたパロウ。2025年シーズンはこれまでの中でも最高のシーズンを過ごし、16レース中8勝をマーク。待望のインディ500制覇も成し遂げ、参戦6年目にして4度目のインディカー王者に輝いた。
かつてマクラーレンF1でリザーブドライバーを務めるなど、F1への道を模索していたパロウだが、2023年9月には年齢的にF1転向を諦めかけている様子を見せていた。
しかし28歳となったパロウは現在、インディカーでその実力をこれ以上ないほどの形で証明しており、F1への挑戦も遅すぎるということはないだろう。
問題なのはレッドブルの方だ。かつてF1を支配していたが、今季はコンストラクターズランキング4番手とライバルの後塵を拝している。
その理由は、マックス・フェルスタッペンに匹敵するチームメイトを揃えることが出来ていないことが大きい。今季はリアム・ローソンにわずか2戦で見切りをつけ、レーシングブルズで速さを発揮していた角田裕毅を招へいしたものの、角田もここまでわずか7ポイントしか獲得できていない。
パロウがF1に飛び込む上での環境として、レッドブルは理想的ではないだろう。レッドブルのセカンドシートはF1で最も過酷な役割であり、現役最強ドライバーのひとりであるフェルスタッペンと比較され、マシンの問題に足を引っ張られて不当な評価を下されかねない。
さらにレッドブルでは、伝説的なレーシングカーデザイナーであるエイドリアン・ニューウェイがアストンマーティンへ、スポーティングディレクターのジョナサン・ウィートリーがザウバー(アウディ)へと移籍し、クリスチャン・ホーナー代表が解任されるなど、チームを黎明期から支えてきた重要人物が次々と離脱しているのも印象は良くない。
だが2026年のレギュレーション変更とフォードとの提携による自社パワーユニット開発など、様々な挑戦を控えるレッドブルは体制強化を進めており、そのためにパロウに触手を伸ばしたとしてもおかしくはない。
パロウはF1に行くのか?

Alex Palou, Chip Ganassi Racing
パロウ自身は今年になって、もはやF1に執着していないとコメントしたことがある。
「僕が移籍したいと思うシートは多くない。ガナッシの車より良いものを見つけるのは難しい」と、5月にインディ500を制した直後にパロウはインディスターに語っていた。
パロウの目標は、インディカーで歴史的なキャリアを築き、同カテゴリーで最も成功したドライバーになることだ。しかし、レッドブルからのオファーがあれば状況は変わるかもしれない。
レッドブルがパロウに興味を示したのは初めてではないし、前述したようにチップ・ガナッシとの契約を解除する手立てがあり、パロウが決断を下せば、彼が最終的に大西洋を渡ってF1に転向する可能性は残っているのだ。
この移籍が実現した場合、パロウは大きな挑戦に直面することは間違いない。現在アメリカで享受している圧倒的な地位を手放し、技術革命の真っ只中のF1に適応し、フェルスタッペンと競い合わなければならない。
現時点では、すべてが噂にすぎず、公式には否定されているストーリーに過ぎない。しかし、レッドブルが再びパロウに注目しているという事実自体が、このスペイン人ドライバーが到達したレベルを示している。パロウは世界最高のドライバーのひとりであり、F1が再び彼のドアをノックするに値する存在なのだ。
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