神戸女性殺害 容疑者の男、前日も職場周辺“うろつく” 「計画性」と「強い執着」専門家分析

兵庫県神戸市のマンションで24歳の女性が殺害された事件で、谷本将志容疑者が事件の前日と当日に女性の職場周辺をうろついていたとみられることが新たに分かりました。

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事件当日、神戸市で撮影された防犯カメラの映像には、上下黒っぽい服装の人物が映っています。谷本将志容疑者とみられる男です。

車が通る道路を走って横切ります。そのまま左の方向へ進みますが、急に方向転換して右方向へ。この時、男は何かを確認するように奥にあるビルの出入り口付近に顔を向けていて、そのあとすぐに方向転換をしていました。

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そして、ポケットから取り出したスマートフォンのようなものを見ながら、平然と歩いて行きます。

するとその直後、男が確認していたビルから半袖Tシャツ姿の女性が出てくる様子がありました。亡くなった片山恵さんだとみられています。

ほかの2人と一緒にビルから出ると、男が歩いていった方向へと歩いていきました。この場所は、片山さんの職場近くです。

同じ場所にある別の角度の防犯カメラの映像では、3人より先を歩いていた男が交差点付近で一度姿が見えなくなります。

女性らは、男が姿を消した交差点までやってくると、片山さんとみられる女性が一緒に会社を出た2人と別れます。2人は横断歩道を渡り別の方向へ行き、片山さんとみられる女性は1人でそのまままっすぐ歩いていきます。

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そのおよそ10秒後、交差点の左側から谷本容疑者とみられる男が再び姿を現します。女性が1人になったのを見計らうように動き出し、距離を取りながらあとをつける様子が映っていました。

この直後には、1人で歩く片山さんとみられる女性のあとに10秒ほどの間隔をあけて歩く谷本容疑者とみられる男を捉えた映像もあります。

片山さんの胸などをナイフで複数回刺し殺害した疑いがもたれている谷本将志容疑者(35)は、「全く知らない人です」と話しているといいます。

26日、新たに谷本容疑者が、片山さんが仕事を終えて会社を出る前から、その周辺をうろついていたとみられることが分かりました。

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これらの映像から、どのようなことが読み取れるのでしょうか。「news zero」が元神奈川県警捜査一課長の鳴海達之氏に事件が起きるまでの状況を分析してもらうと、見えてきたのは計画性と強い執着です。

鳴海達之氏

「女性が出てくるのをこの場所で張っていた、という感じが読み取れる。顔が会社の出入り口を向いている。ずっと気にしてる」

男が道路の向かい側からビル付近の様子をうかがっています。片山さんが仕事を終え職場を出たという午後6時半ごろ、この様子がカメラに捉えられました。

鳴海達之氏

「場所と退社する時間をあらかじめ知っていた可能性がある。事前にこの被害者をあとつけて、この会社に入ったのは確認しているから、1番見やすいところを下見をしていて、そのポイントで女性が出てくるのを待っていた」

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谷本容疑者は、片山さんの職場近くで待ち伏せをしていたのでしょうか。

そして男が歩いていった方向もポイントだといいます。男は方向転換したあと、歩いて行きますが…

鳴海達之氏

「(女性が)どっちに行くか分からなければ、反対側に行ってもいい。でも、何の迷いもなくこっちに行くのは、あらかじめ下見をしていて、この女性が出てきたらこっちの方向に向かうんだと、下見をしている可能性は高い。つまりそこには計画性がある。全然、迷いがないです」

事前に女性の進行方向を把握していた可能性を指摘。その理由は女性の先を歩く男の様子からも…

鳴海達之氏

「これだけの距離があって、この間ここから見る限りは全く後ろを振り向かない。一度も振り向かないです。(女性が)後ろから来てなかったらどうするのかは、考えてない。間違いなくここを通る確信があるから、後ろ振り向かない」

入念な下調べで女性の行動を先回りしていたのでしょうか。

片山さんを“全く知らない人”だと話しているという谷本容疑者。

鳴海達之氏

「(片山さんは)名前は知らない、本当に知らない人、知った顔じゃないってことなんでしょうね。今まで面識もない、話もしたことがない、それを狙っている」

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片山さんは職場を出たあと、複数の駅を経由するなどして自宅マンションに帰宅しました。谷本容疑者はこの間、50分以上にわたって片山さんを尾行していたとみられています。

その執拗(しつよう)さは事件当日だけでなく、事件前日にも、谷本容疑者が片山さんの職場周辺をうろついていたことが新たに分かりました。この時、すでに片山さんは狙われていたのでしょうか。

谷本容疑者は事件前、自ら希望を出し、今月17日から21日にかけてお盆休みを取得していたということです。

お盆休みに入ると、その日のうちに東京から神戸市内へ向かい、事件の3日前から現場近くのホテルに宿泊していました。

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鳴海達之氏

「(神戸に)行った当日が日曜日ですから、月曜日から本格的に皆さん仕事に入る、お盆休み明けで。月曜日ごろからこの辺でうろうろしている可能性は多分にある。ターゲットを絞りたいためにホテルを取って、そこの界隈を徘徊してターゲットを探していたと考えられる」

事件後、谷本容疑者は1時間以内に新神戸駅から東京行きの新幹線に乗ったとみられています。この時の行動についても、新たな情報が分かりました。

捜査関係者によりますと、現場近くからタクシーに乗って逃走したとみられることが、明らかになりました。急いで現場から立ち去ろうとした可能性があるとみられています。

警察は事件前後の足取りを詳しく調べるとともに、動機などについても引き続き捜査しています。

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改めて、谷本容疑者の事件前の動きについて整理します。

谷本容疑者は、今月17日に東京から神戸市内に入ったあと、現場近くのホテルに宿泊していたことが分かっています。

事件が起きる前日には、片山さんの職場周辺をうろつく様子が防犯カメラに映っていたということです。

そして事件当日も、片山さんが会社を出る前から、その周辺をうろついていたとみられていて、防犯カメラには、谷本容疑者とみられる男が距離を取りながら、あとをつける様子が映っていました。

そのあとにも、片山さんが通り過ぎたおよそ10秒後に谷本容疑者とみられる男の姿が捉えられていました。

このように谷本容疑者は、職場から自宅マンションに帰る途中だった片山さんを50分以上にわたり尾行したとみられています。

谷本容疑者は、逮捕後の調べに対し「全く知らない人」と供述しています。

こうした映像を見た元神奈川県警捜査一課長の鳴海氏は、片山さんとは面識がなかったかもしれないが、数日前から街を徘徊して片山さんをターゲットに絞り、尾行することで会社の場所や退社する時間を把握していた可能性があるということです。

(8月26日放送『news zero』より)