60年前の旧式ジープを頼るロシア軍:装備不足が明らかなプーチン政権
まるで骨董品の軍装備

短期決戦を期してウクライナへの全面侵攻を開始したロシア軍は、戦いの長期化につれて装甲車の損失に悩まされているとされる。そのためか、第二次世界大戦直後の旧ソ連時代に開発された、まるで骨董品のようなジープに乗り込み、ウクライナ軍陣地に突撃を仕掛けているようだ。
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ウクライナ部隊が動画を公開

第81独立空中機動旅団がTelegramチャンネルを通じて公開した動画から、ロシア軍部隊が旧ソ連製オフロード車両「GAZ-69」を用いていたことが判明。
画像:Telegram @ABWEHR122
1946年に開発スタート

動画に映っていた「GAZ-69」は破壊が確認されているが、いずれにせよ、1946年に開発がはじまったこの車両がいまどき戦場に現れること自体が奇妙だ。
画像:Telegram @ABWEHR122
偵察用に設計

「軍事情報サイト「Army Recognition」によれば、「GAZ-69」は第二次世界大戦中に米軍が使用したウィリス・MBジープを真似て製造された、4輪駆動の偵察用車両だという。
画像:Wiki Commons By Alf van Beem, Own Work, CC0
1953年に大量生産開始

1953年には、ウリヤノフスク自動車工場(UAZ)が本格的な製造をスタート。60万台以上が生産され、旧ソ連では1970年代まで広く使用されていた。
画像:Wiki Commons By granada_turnier, CC BY 2.0
50ヵ国あまりに輸出

さらに、旧ソ連はこの車両を56ヵ国に輸出、北朝鮮ではいまだに現役で使用されているものもあるという。
画像:Wiki Commons By VargaA, Own Work, CC BY-SA 4.0
ウクライナで戦闘に投入された「GAZ-69」

『フォーブス』誌によれば、ロシア軍は4月9日にルハンシク州ビロホリウカ村で起きた戦闘に「GAZ-69」を投入したが、ウクライナ軍に破壊され、戦闘不能に陥ったとのこと。
画像:Telegram @ABWEHR122
FPV(一人称視点)ドローンが活躍

『フォーブス』誌のデイヴィッド・アックス記者は、この車両を破壊したのは第81独立空中機動旅団傘下のドローン部隊だったとしている。
軽自動車およびオートバイ

一方、同旅団の発表した声明によれば、ロシア軍は旧式ジープに加えてオートバイやその他の軽車両も投入したが、ウクライナ陣地の占領には失敗したとのこと。
画像:Telegram @ABWEHR122
前線突破は困難

アックス記者いわく、重装備の装甲車であっても「あちこちに地雷敷設され、砲弾が降り注ぎ、ドローンが巡回する前線」を突破するのは困難であり、「GAZ-69」のようなジープが敵陣に乗り込めなかったのは当然だ。
軽装備で突撃し、大惨事に

アックス記者はさらに、「民生用トラックや全地形対応車、オートバイに乗り込んだ軽装備の攻撃部隊は大惨事に陥りやすい」としているが、このことは今回公開された動画からも明らかだ。
画像:Telegram @ABWEHR122
軍用車両の生産が追い付かないロシア

しかし、同記者によれば、ロシア軍装甲車の損失は増加し続けているため、ますます「民生用車両の利用」を余儀なくされているそうだ。実際、ロシア軍はすでに2万両もの車両を失っており、生産が追い付いていないのだ。
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