“10億エージェント”が24時間365日働く未来 ソフトバンクが描く自律AIの職場革命

ソフトバンクグループの10億エージェント構想, AIエージェントがネットワーク機器の異常を自律的に判断, すべての業務にエージェントが割り当てられる世界へ, ムーアの法則を凌駕するStargateの加速度的進化, 10億倍の進化が私たちの常識を覆す, 若い世代が変える生成AIの使い方, AIが提案から実行へ、自律的なエージェントの台頭

“10億エージェント”が24時間365日働く未来 ソフトバンクが描く自律AIの職場革命

【3行要約】

・孫正義氏は75兆円規模のStargateプロジェクトを通じて、人間の指示なしに自律判断するAIエージェントの実現を目指すと発表しました。

・同氏は、AIがムーアの法則を超える10億倍の進化を遂げると予測しています。

・エージェント同士の自律的コミュニケーションが新価値を生むと語りました。

ソフトバンクグループの10億エージェント構想

孫正義氏:おそらく今世界中で活躍している起業家、あるいは1人の人間としても最も先進的な人物の1人、それがSam(Sam Altman氏)だと私は強く思っております。ちょうど今、Samとも話をしましたように、我々はグループ社内で10億のエージェントを提供したいと考えております。

「クリスタル・インテリジェンス」を今年(2025年)2月でしたかね。発表しました。着々と進展しております。

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AIエージェントがネットワーク機器の異常を自律的に判断

今話したように、技術部門はネットワーク機器を日本中に数十万台持っています。これをエージェントが常時モニターする中で、どこかの接続がちょっと怪しいと検知すると、自らの判断で行動を起こします。

今までは人間が指示していたんですね。検知するセンサーはあるんですけど、検知した後に人間が「〇〇を止めろ」とか「復旧させろ」とか「〇〇をつなげ」とか「容量を増やせ」とか判断して、キーボードを叩いて指示していました。

(今後は)数十万の機器に対して一つひとつエージェントが個別に判断をして、アクションをすることになります。

すべての業務にエージェントが割り当てられる世界へ

人事は人事で、すべての社員の成果をそれぞれのエージェントがチェックしますし、財務は財務、営業は営業ということで、あらゆることを一つひとつモニターしながら、自ら判断して自らアクションを起こして、エージェントがエージェントとコミュニケーションを図って、さまざまなアクティビティを行います。

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Stargateが描く未来

我々ソフトバンクグループは、大変ラッキーなことに、そのAIの最先端を担っているOpenAIと広く深く提携をすることができております。先ほどから話があったStargate(Stargate Project)もその一環ですね。

今年(2025年)1月に日本円で75兆円規模のプロジェクトと発表しました。膨大な電力が必要です。巨大なデータセンター、そしてその中にはものすごい数の最先端のAIの半導体が入ります。

もちろん半導体だけではありません。いかにネットワークとしてスケールアップするか、スケールアップするだけじゃなくスケールアウトするか。このスケールアップとスケールアウト両方で、演算能力を持つことになります。

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ムーアの法則を凌駕するStargateの加速度的進化

その進化がどのくらいのスピードでやってくるのか。僕らは若い時に、マイクロコンピューターを初めて見て触りましたが、インテルの創業者のゴードン・ムーアは50年近く前に、だいたい18ヶ月ごとぐらいにCPUの演算能力は2倍になると予測しました。

歴史を振り返ってみると、ほぼそれは当たっていました。我々の業界の1つのメトロノームと言いますかね。進化の速度を測るMoore's law(ムーアの法則)はほぼ当たっていました。18ヶ月で倍、3回続くと倍の倍の倍ですから、8倍になります。

ですが、Stargateのlaw(成長の法則)は、2倍じゃないんですね。先ほど、データセンターのチップを大量に増やしていくと話しましたが、ワンサイクルで10倍ぐらいチップの数を増やします。ワンチップあたりの演算能力が、だいたい1回のサイクルで10倍になる。2倍じゃなくて10倍になるということですね。

先ほどサムといろいろ対談しましたが、さらにモデルの能力が10倍ぐらいになります。モデルの演算能力は考える能力です。つまり、チップの能力が10倍、モデルの能力が10倍。

ということは、10×10×10ですから1,000倍ぐらいの進化をする。能力がアップするということです。これがワンサイクルです。

2番目のサイクルは、だいたい1年半後か2年後くらいのタイミングです。1,000倍がさらに1,000倍になって、100万倍になります。

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10億倍の進化が私たちの常識を覆す

3回目のサイクルではどうなるかというと、その100万倍×1,000倍ですから、10億倍になります。みなさん、想像ができますか。

自転車と新幹線のスピードの差ってどのくらいだと思いますか。20倍ですね。たった20倍の差でまったく別の乗り物になるわけです。

自転車に乗った時に見える景色と、新幹線の運転席みたいなところに乗って見える景色はもうまったく別物ですね。乗り物としてもまったく別物ですが、たった20倍でその違いですよ。

10億倍の場合どのくらい変わるかというと、もう我々が想像できないぐらい常識が変わるわけです。「AIって大したことないぞ」と言う人がいます。「AIの限界が見えた」という人がいます。僕は「そうかなぁ?」と思いますね。

それはAIの限界が見えたんじゃなくて、あなたの理解の限界が超えられた。僕はそう言いたいですね。つまり10億倍の世界を想像するのはそのくらい難しいことなんですね。

以前、私は人間と金魚の脳細胞の数、ニューロンの数、シナプスの数にだいたい1万倍の差があると言いました。人間対金魚が1万倍ですよ。10億倍というと、いったい人間対何になるんだと。ものすごい差なので、アメーバみたいな感じだと思いますね。

それが我々が生きている間、たった数年でやってくるんですね。AIの最先端のモデルは、もうすでにさまざまな博士号の試験に合格するところまで来ているんですよね。10億倍の世界では、AIはもはやAGI(汎用人工知能)を超えているはずだと私は思います。

物理、数学、科学、医学、法学など、あらゆる分野でもう超えるところまで来ているんですが、そこからさらに10億倍いくわけです。

若い世代が変える生成AIの使い方

今までのAIの最先端はディープラーニングでした。ディープラーニングが現在のAIの基礎になっています。最近、ラージ・ランゲージ・モデルということで、ChatGPT、その他、いろいろ出てまいりました。

でも今日のメインテーマはAIエージェントです。ラージ・ランゲージ・モデル、ChatGPTをどういうふうに使っているかと聞くと、40代~50代、あるいはそれ以上の年代の人は、まるで検索をするかのように使うと答えていました。「○○を知りたい」「××は何ですか」という、Whatが質問の内容の大半です。

若い世代はそうではなくて、HowとWhyです。「Propose me」、つまり「提案してほしい」という使い方をしているのです。私も毎日使っていますが、大半の使い方は「○○を考えているけど君はどう思う?」「提案してほしい」です。

そして、その提案に対して「いや、俺はもっとこう思う」と壁打ちするわけです。すると、AIのほうから「では、これはどうですか?」と、ずらずらっと別の提案が返ってくる。さらに「いやいや、そうじゃなくて、こっちの角度からどう?」と言えば、それに対してもまた、だだだっと一瞬で次の案が出てくるんです。

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AIが提案から実行へ、自律的なエージェントの台頭

つまり提案合戦、思考のバウンシングですね。そういうかたちで使いますが、これからは、エージェントは単に提案するだけじゃなくて、アクションを起こしてくれる。交渉してくれる。手続きをしてくれる。こっちが寝ている間も、エージェントとエージェントがお互いのやり取りをします。

我々ソフトバンクグループでは、年内に10億エージェントを社内に提供したいと思っているのですが、24時間365日、お盆も正月も彼らが一生懸命働いてくれます。そういうところでエージェント同士がやり取りをすることを期待しています。