【偏食克服レシピ:なす】子どもの偏食の原因を知って克服! 思わずおかわりしたくなるとっておきレシピ
野菜嫌いの克服をテーマに、料理家・越野美樹が「子どもの偏食が克服できるコツとレシピ」を提案する連載。今回のテーマは、なす。カリカリ食感が楽しい「なすの竜田揚げ」と、とろ~り濃厚「なすとチーズの肉巻き」をご紹介します。

なすの食感やえぐみが苦手な子どもには、調理法を工夫すると、「これがなす?」と驚くほど食べやすくなります。 左手前:なすとチーズの肉巻き 右奥:なすの竜田揚げ 写真:越野美樹
野菜の苦手克服をテーマに、料理家・越野美樹が「子どもの野菜嫌いを克服するコツとレシピ」を大公開!
第5回のテーマは、「なす」。
子どものなす偏食ポイントは、主に次の2点です。
1 「食感」
2 「えぐみ」
今回は、ふたつの偏食ポイントを克服する、カリカリ食感が楽しい「なすの竜田揚げ」と、とろ~りチーズが濃厚な「なすとチーズの肉巻き」の2種をご紹介します。
なすの食感を食べやすくして偏食を克服!
なすは「栄養がない」と思われがちですが、実は食物繊維が豊富で、ビタミンやミネラルもバランスよく含まれています。
また、皮に多く含まれるアントシアニン系ポリフェノール「ナスニン」には、抗酸化作用があり、免疫力を高める働きが期待できます。
なすは90%以上が水分で、体にこもった熱を冷ましてくれるので、暑い季節には積極的に食べたい野菜のひとつですが、なすが嫌いな子どもは多いですよね。
子どもがなすを嫌いな理由のひとつには、皮の固さや、果肉の柔らかさなどの食感があります。

皮のギシッとした食感や、果肉のグニャッとした食感が嫌いな子どももいます。 写真:越野美樹
なすの食感を食べやすくするには、3つのコツがあります。
【子どもの偏食克服ポイント1 なすの食感を食べやすくして偏食を克服】
●皮をむく
→皮の固い食感が嫌いな場合は、皮をむくと解消されます。
●小さく切る
→皮の固さも果肉の柔らかさも、小さく切ると気にならなくなります。
●揚げる
→なすを揚げると外がカリカリ、中がジューシーになり食べやすくなります。
なすの皮をむく場合、全部をむかずにしましまにむくと、「ナスニン」などの皮の栄養を残しつつ食べやすくなります。
ひとつめのレシピは、なすを小さく切って下味をつけてから揚げした、竜田揚げです。なす独特の食感を感じさせず、カリッとジューシーなおいしさが味わえます。
「なすの竜田揚げ」のレシピ

なすを小さく切って下味をつけ、片栗粉をまぶして揚げた竜田揚げ。食感がよく、箸が止まらなくなること間違いなし! 写真:越野美樹
【材料】2人分
なす 2本
にんにく 1かけ
しょうゆ 大さじ1
本みりん 大さじ1
片栗粉 大さじ3~4
揚げ油 適量
【作り方】
1.なすは1cm角に切る。にんにくはすりおろす。
2.ボウルに1のなすと、しょうゆ、本みりんを入れてよく混ぜる。
3.5分ほど置いたら、ざるに上げて水けをきり、キッチンペーパーなどで水けをふく。
4.ボウルに戻し入れ、1のにんにくと、片栗粉をまぶす。
5.揚げ鍋に揚げ油を入れて180℃に熱し、4をスプーン2本を使って1杯分ずつ揚げ油に落とす。

一口大ずつスプーンですくい、もう1本のスプーンでまとめてかき揚げのように揚げていきます。多少バラついても、油の中でまとめるようにすれば形が整います。 写真:越野美樹
6.全体がきつね色になるまで揚げる。

写真:越野美樹
外はカリカリ食感、中はジュワーッとジューシーな食感。小さく切ることでなすの皮の存在感が薄くなり、なすの食感が嫌いな子どもにも食べやすくなります。
なすのえぐみを甘みに変えて偏食を克服!
子どもがなすを嫌いなもう一つの理由は、えぐみです。
なすに含まれるポリフェノールは空気や包丁などの金属に触れることで酸化し、アクとなってえぐみや渋みの原因となります。
特に収穫から時間が経ったなすは酸化が進み、えぐみを感じやすくなります。新鮮ななすを選び、切ったらすぐに調理することも大切です。

なすを切ってしばらく置くと茶色っぽく色が変わりますが、これもポリフェノールの酸化が関係しています。左:カットなす 右:なすの塩もみ 写真:越野美樹
なすのえぐみを抑えるには、3つのコツがあります。
【子どもの偏食克服ポイント2 なすのえぐみを抑えて偏食を克服】
●アクを抜く
→なすを切ったらすぐ水にさらし、酸化による変色やえぐみを防ぎます。
●じっくり加熱する
→なすをじっくり加熱することでポリフェノールの酸化酵素が働きにくくなり、えぐみが抑えられます。
●味つけを濃くする
→塩分や甘み、うまみなどを合わせることで、えぐみが感じにくくなります。
ふたつめのレシピは、なすとチーズを豚肉で巻いて焼いた一品です。なすを水でさらし、うまみのある食材とともにじっくり加熱することで、なすのえぐみを感じにくくした一品です。
「なすとチーズの肉巻き」のレシピ

なすをじっくり焼くことでえぐみが甘みに変わり、とろ~りチーズと肉のうまみも加わった一皿です。 写真:越野美樹
【材料】2人分
なす 1本
スライスチーズ 5枚
豚しゃぶしゃぶ用薄切り肉 10枚
オリーブオイル 大さじ1
酒 大さじ1
本みりん 大さじ1/2
しょうゆ 大さじ1/2
【作り方】
1.なすは10枚分になるよう薄切りにして水にさらし、ざるに上げて水けをきり、キッチンペーパーなどで水けを拭く。スライスチーズは縦半分に切る。
2.豚しゃぶしゃぶ用薄切り肉、1のなす、スライスチーズの順に重ねて巻く。

豚肉を広げて、なす、スライスチーズを重ねてくるくる巻いていきます。なすは薄く切らないと巻きにくいので、注意してください。 写真:越野美樹
3.フライパンを弱火で熱してオリーブオイルを入れる。2の巻き終わりを下にして入れ、ふたをする。
4.焼き色がついたら裏返して再びふたをする。裏も焼き色がついたら酒、本みりん、しょうゆを加え、ときどき転がしながらたれをからめる。

写真:越野美樹
肉のうまみと甘辛だれ、とろ~りチーズの組み合わせが美味。しっかりと火を通すことでなすのえぐみが抑えられるので、子どもにも食べやすい一品になります。
なすの偏食を克服するための工夫
なすの食感が苦手なのか、えぐみが苦手なのかを見極め、調理法や合わせる食材を工夫すると、なすの偏食が克服できます。

なすの6つの偏食克服ポイントを参考に、食感やえぐみをやわらげると、なすが食べやすくなります。 写真:越野美樹
今回ご紹介した料理以外にも、なすが食べやすくなる料理はたくさんあります。
・なすカレー
なすを小さめに切ってとろとろになるまで煮込むと、まろやかな食感になってルーにもなじみます。
・メカジキ入り麻婆なす
ひき肉の代わりにメカジキを使い、ケチャップ、しょうゆ、ごま油で調味した麻婆なす。じっくり加熱することで、なすの甘みが引き出されて食べやすくなります。
・なすグラタン
小さく切ったなすにトマトとウインナー、たっぷりのチーズを加えて焼くと、ウインナーのうまみとチーズのとろみで食べやすくなります。

メカジキ入り麻婆なす 写真:越野美樹
子どもにおいしく食べてもらえるよう、調理法や合わせる食材を工夫してみましょう。
苦手な理由を知れば、なすの偏食を克服できます!