猫は舌打ちで発作を起こすことがある?特定の音に反応して起こる『FARS』という病気

猫は舌打ちで発作を起こすことがある?特定の音に反応して起こる『FARS』という病気

FARSってどんな病気?

「FARS」は特定の音によって引き起こされるてんかん発作で、日常の些細なことが引き金になることもあります。FARSは「Feline Audiogenic Reflex Seizures」の略で、日本語では「猫科動物聴覚原性反射発作」と言います。

おもな症状は、特定の音に反応して起きるけいれんや硬直などの発作で、多くの場合、数秒から数分程度で収まります。現状では、原因となる音を避けることが最も効果的な対策とされています。

FARSを引き起こしやすい音

FARSを誘発するおもな要因としては、甲高くて大きな音があげられていますが、その一方で舌打ちや拍手といった何気ない音に反応する例も知られています。実際に猫にFARSの発作を引き起こした音には、たとえば以下のようなものがあります。

・ドアの閉まる音

・金属がぶつかる音

・キーボードのタイピング音

・食器がぶつかる音

・高音のアラームやビープ音

・アルミホイルやビニールをくしゃくしゃと丸める音

このように、猫が反応する音はさまざまですが、ごく普通の生活雑音が発作を引き起こしている可能性があることがわかります。

FARSを起こしやすい猫と年齢

FARSはおもに中高齢の猫に多く見られるとされています。ある論文によると、発症年齢の平均は15歳前後で、多くは10〜19歳の高齢猫に見られたようです。

若い猫はあまり発作を起こさないことから、加齢に伴う神経系の変化や聴覚の感受性の変動が影響しているのではないかとの意見もあります。

また、FARSは雑種も含め、どの猫種にも起きる可能性のある病気とされていますが、そのなかでもバーマンが発作を起こしやすいことがわかっています。これについては遺伝的な要因の関与が疑われているようです。

まだ解明されていない部分も多く、これからもっと多くのことがわかってくる可能性も高いです。

FARSの予防法

FARSの発作を予防する方法としては、猫にとって刺激となる音をできる限り避けることが基本となります。舌打ちや手を叩く行動を控えるほか、急に大きな音がする環境を作らないことも大切なポイントとされています。

とはいえ、些細な生活雑音が引き金になることも多く、完全に防ぐことはほぼ不可能でしょう。猫の居場所にクッション性のあるカーペットや布製品を敷いて音の反響を和らげる、大きめの音が出てしまうようなときは猫を他の部屋に移動させるなどの工夫をするのも良いかもしれません。

また、定期的に受診して、てんかんの発作を管理できるようにすることも重要です。

まとめ

FARSは猫が特定の音に過敏に反応し、けいれんなどの発作を起こすとても珍しい病気です。高齢の猫に多く見られ、人間の舌打ちや手を叩く音、ドアを閉める音など、日常の生活雑音が引き金になる場合も少なくないでしょう。

発作を完全に防ぐのは難しいですが、発作の引き金となる音をなるべく出さないように努めることで、発作の頻度や程度を抑えることは可能とされています。

また、10歳以上の高齢猫が頻繁にけいれんを起こす原因となる病気はさまざまですが、もし何かの音がきっかけになっているように思えるならFARSを疑う必要があるかもしれません。

そのような場合には、発作を起こした状況や、どのような音がしていたかなどを記録したうえで、動物病院を受診することをおすすめします。