【後期高齢者医療制度】知らないと損!保険料の目安と高額療養費など12の給付を解説

都道府県別の保険料目安と、後期高齢者医療制度の「自己負担割合」を図解でわかりやすく紹介します

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【後期高齢者医療制度】知らないと損!保険料の目安と高額療養費など12の給付を解説

日本の公的医療制度は充実していると言われておりますが、現在日本では医療費の支出が年々上がっております。

医療費の増加や自己負担額の上限変更も検討されており、特に病院へ行く機会の多い65歳以上の年金受給世代にとっては負担が大きくなる可能性がございます。

本記事では健康保険に加入する人が受けられる「給付」について解説します。なかなか知る機会のない給付金についても解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

シニアが対象の「後期高齢者医療制度」とは?

後期高齢者医療制度とは、75歳以上の方(または65歳以上で一定の障害がある方)が対象となる公的な医療保険制度です。

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後期高齢者医療制度とは

国民健康保険や健康保険とは異なる独立した制度として運営されており、原則として一定の年齢に達すると自動的に加入する仕組みとなっています。

後期高齢者医療制度の「自己負担割合」はどのくらい?

後期高齢者医療制度における医療費の自己負担割合は、所得水準に応じて「1割」「2割」「3割」のいずれかに設定されています。

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自己負担割合の判定基準

・3割負担(現役並み所得者):同じ世帯の被保険者の中に住民税課税所得が145万円以上の方がいる場合

・2割負担(一定以上所得のある方):以下の①②の両方に該当する方

①同じ世帯の被保険者の中に住民税課税所得が28万円以上145万円未満の方がいる

②同じ世帯の被保険者の「年金収入」+「その他の合計所得金額」の合計額が、

・被保険者が1人…200万円以上

・被保険者が2人以上…合計320万円以上

・1割負担(一般所得者等):同じ世帯の被保険者全員の住民税課税所得がいずれも28万円未満の場合、または上記(1)に該当するが(2)には該当しない場合。住民税非課税世帯の方

後期高齢者医療の保険料はどうやって決まる?

後期高齢者医療制度の保険料は、以下2つを合算して算出されます。

・均等割額:被保険者が均等に負担する保険料

・所得割額:被保険者の前年の所得に応じて負担する保険料

なお、各項目の金額や保険料率は都道府県によって異なるため、同じ所得であっても居住地によって保険料に差が出る点に注意が必要です。

【後期高齢者医療制度】加入者が受けられる給付 12選

後期高齢者医療制度の保険料は、年金から自動的に差し引かれることが多く、その負担を重く感じているシニアも少なくないかもしれません。

では、実際にどのような給付が受けられるのでしょうか。

ここでは、東京都後期高齢者医療広域連合の例を参考に、給付の種類を確認していきます。

加入者が受けられる給付1:療養の給付

まず基本となるのが、病気やけがで医療機関を受診した際に、保険証などを提示することで受けられる「療養の給付」です。

この制度により、医療費の自己負担額は1割〜3割に抑えられます。

加入者が受けられる給付2:療養費

たとえば、保険証などを持たずに医療機関を受診した場合は、医療費をいったん全額自己負担することになります。

その後、市区町村の窓口で申請を行い、広域連合で支給が認められた分については、自己負担額を差し引いた金額が「療養費」として払い戻されます。

加入者が受けられる給付3:入院時食事療養費

被保険者が入院した際には、食事にかかる費用の自己負担が生じます。

このうち、自己負担の基準額(標準負担額)を除いた部分については、広域連合が負担する仕組みとなっており、これを「入院時食事療養費」といいます。

加入者が受けられる給付4:入院時生活療養費

被保険者が療養病床に入院した場合、食費や居住費の自己負担が発生します。

この費用のうち、標準負担額を超えた分については広域連合が負担し、「入院時生活療養費」として支給されます。

なお、療養病床とは、長期間の療養を必要とする方のために設けられた病床を指します。

加入者が受けられる給付5:移送費

負傷や病気などで自力での移動が困難となり、医師の指示により一時的・緊急的な理由で移送された場合には、「移送費」として費用が支給されることがあります。

ただし、広域連合が「緊急性ややむを得ない事情があった」と認めた場合に限られます。

なお、救急車の利用は無料のため、移送費の対象にはなりません。

加入者が受けられる給付6:高額療養費

1日から月末までの1か月間に支払った自己負担額が、所得に応じた限度額を超えた場合、その超過分が「高額療養費」として支給されます。

加入者が受けられる給付7:高額介護合算療養費

世帯全体で1年間(8月1日〜翌年7月31日)に支払った後期高齢者医療制度の自己負担分と、介護保険の利用者負担額の合計が、定められた基準額を超えた場合、その超過分が「高額介護合算療養費」として支給されます。

※この支給は、後期高齢者医療制度と介護保険の両制度から、それぞれ該当分が払い戻される仕組みです。

加入者が受けられる給付8:保険外併用療養費

保険が適用されない治療を受けた場合、通常であればその費用はすべて自己負担となります。

しかし、医療技術の進展や多様な治療ニーズに対応する目的で、一定の条件を満たす場合には、通常の治療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料など)については保険が適用されます。

この制度を「保険外併用療養費」といいます。

加入者が受けられる給付9:訪問看護療養費

主治医の指示により訪問看護ステーションを利用した場合、自己負担額を除いた部分が「訪問看護療養費」として支給されます。

加入者が受けられる給付10:特別療養費

被保険者資格証明書の交付を受けている方が、医療機関で医療費を全額自己負担した場合でも、申請を行えば、自己負担分を除いた額が「特別療養費」として支給されます。

なお、支給にあたっては、未納の保険料がある場合、その分が差し引かれることがあります。

加入者が受けられる給付11:葬祭費

被保険者が亡くなった際には、その葬儀を執り行った喪主に対して「葬祭費」が支給されます。

筆者が以前、比較的小規模な自治体で後期高齢者医療を担当していた際にも、高額療養費や療養費、葬祭費などの申請は毎月多く寄せられていました。

なお、自治体によっては、これらに加えて独自の助成制度を設けている場合もあります。

加入者が受けられる給付12:自治体独自の事例

給付とは別に、保健事業の一環として、保養施設の利用や人間ドックなどに対する補助を実施している自治体もあります。

たとえば埼玉県ふじみ野市では、後期高齢者医療制度の被保険者で、保険料の納期分をすべて納めている方を対象に、保養施設の宿泊利用に対する助成を行っています。

【2025年度】後期高齢者医療制度の「保険料率」はどのくらい?

2025年度の保険料に関して、厚生労働省が公表している内容は以下のとおりです。

・被保険者均等割額の年額:5万389円

・被保険者均等割額の月額:4199円

・所得割率:10.21%

・平均保険料額の年額:8万6306円

・平均保険料額の月額:7192円

参考までに、「年金収入195万円」での保険料を都道府県ごとに見ていきましょう。

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【2025年度】年金収入195万円の人の保険料例

・全国:5673円

・北海道:6325円

・青森県:5415円

・岩手県:4808円

・宮城県:5216円

・秋田県:5042円

・山形県:5283円

・福島県:5056円

・茨城県:5358円

・栃木県:4991円

・群馬県:5567円

・埼玉県:5067円

・千葉県:5008円

・東京都:5355円

・神奈川県:5440円

・新潟県:4850円

・富山県:5033円

・石川県:5573円

・福井県:5458円

・山梨県:6003円

・長野県:5156円

・岐阜県:5400円

・静岡県:5275円

・愛知県:6117円

・三重県:5475円

・滋賀県:5371円

・京都府:6180円

・大阪府:6495円

・兵庫県:6134円

・奈良県:5833円

・和歌山県:6125円

・鳥取県:5892円

・島根県:5618円

・岡山県:5758円

・広島県:5438円

・山口県:6408円

・徳島県:6033円

・香川県:5892円

・愛媛県:5719円

・高知県:6100円

・福岡県:6641円

・佐賀県:6250円

・長崎県:5792円

・熊本県:6259円

・大分県:6509円

・宮崎県:5675円

・鹿児島県:6592円

・沖縄県:6410円

なお、基礎年金受給者(年金収入82万円)をモデルとした場合、2025年度の後期高齢者医療制度の保険料は、全国平均で月額1260円となっています。

すべての都道府県で月額1000円台に収まっており、比較的抑えられた水準となっています。

まとめにかえて

今回の記事では、健康保険に加入している方が受けることができる給付金について解説しました。

こういった制度を使うことなく健康で生活することが理想的ではございますが、何かあったときにお金が足りない、となってしまっては大変です。

貯蓄もしくは保険などの方法で、最低限の治療費は備えておく必要があるでしょう。

今回の記事でお伝えした給付金額や自己負担金額は、その方のご年収やご家族状況によっても異なります。

充実した日本の公的医療保険制度を活用しつつ、それでも不足してしまう金額については、民間の保険で備える方法も検討してみましょう。

参考資料

・厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」

・厚生労働省「給付と負担について(参考資料)」

・東京都後期高齢者医療広域連合「自己負担割合」

・埼玉県ふじみ野市「保養施設の宿泊利用補助(後期高齢者医療制度)」

・政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」

・東京都後期高齢者医療広域連合「給付の内容」