ついにカレーパンをパンで挟んだ「カレーパンサンド」を発見! 期待して食べたら想像していた味と違った……

その昔、井上陽水は名曲『夢の中へ』で探しものについて、こう歌っている「探すのをやめたとき、見つかることもよくある話で」と……。

そう、まさにその現象が起きた! 私(佐藤)は長年、フジパンのトンデモない商品を探し続けていた。探していたことすら忘れていた、ある日のこと、ついにそれを見つけてしまったのだよ!

その商品とは、カレーパンをパンで挟んだ「カレーパンサンド」である! もはや幻と思って、見切りをつけていたのに、あったんだよ! カレーパンサンドは実在したーーーッ!!

・カレーパンサンドだと!?

私が探し始めたのはいつだったろうか? フッ……、あまりにも長くの時間を費やしたために、いつが始まりかさえも忘れちまったよ。きっと遠い昔のことだったんじゃないかな。

そもそもよく考えてもみろ、カレーパンだぞ。カレーパンは1つの調理パンとして完結しているというのに、それはパンで挟むだなんて、そんな発想が商品開発の現場で許されるだろうか?

仮に許されたとしよう。さらには実際に販売していたとしよう。売れるか? そんなものがそこまで売れるはずがないし、もし仮に売れたとして、再販されるだろうか? ネタ感が強すぎて、再び買おうと思う品じゃないよな。

だから、俺はもう探すのをやめたんだ。誰かがふざけて「カレーパンサンド、な~んちゃって!」とか言ったんだろ。それに踊らされただけなんだよ。

もうこの話は終わりだ。2度と話すことはない。

・わかんねえよ!

そうして月日は流れて、探していたことすら忘れていた、2025年夏。私は京成線青砥駅にいた。先日までうだるような暑さで、各地で気温40度を記録。観測史上もっとも暑い夏となり、水不足が心配されていたのに、お盆を前に雨降りの日が続き、今度は記録的な豪雨。

まったく最近の天気はどうなってんだよ。暑さが和らいだことは歓迎するけど、雨降りが続くのもいかがなものかねえ。

駅の目の前に「リブレ京成」というスーパーマーケットがあった。とくに買い物の用事はないけど、あまり利用する機会のないスーパーだから覗いてみるか。変わった商品が見つかるかも。

ひと通り店内を散策して、肉や魚、野菜などの相場を確認し、総菜コーナーで昼食でも買おうと思った。だが、近頃は食事を制限している関係で、おいそれと手を出せない。またコンビニのサラダとチキンで済ませるか。

そう思いつつ、最後にパンのコーナーを通り過ぎようとした

その時だ、何やら私の方を見ている。いや、見てはいないけど、存在感を主張している気がする商品があることに気づいた。

こ、これは!? まさか……。

たまごカレーパンサンド(税込130円)だと!

ちょ、ちょっと待ってくれ……。カレーパンサンド、カレーパンサンド、カレーパンサンド……。

くっそ、ここで出会うことになるとは、全然考えてもいなかった。ずいぶん探したんだ、いろんなスーパーを覗いて。そういえば、私が未知のスーパーに遭遇すると、商品を確認するクセは、これを探したのが始まりだったんだ。

直営店にあるんじゃないかと思って、フジパンのお店に行ったこともあったな。既製品ではなく、お店で焼いているパンを売っててガッカリしたこともあった。

これがあのカレーパンサンドなのか……。あまりにも突然の出会いで、喜んでいいのか、悲しんでいいのか、わかんねえよ!

・1枚めくると……

そんなわけで、憧れの人に道でバッタリ出会ってしまって、どうリアクションして良いかわからずに、変な反応をしたみたいになったけど、とにかく買って帰った。

改めてじっくりパッケージを見ると「カレーパンをパンでサンド!?」と書かれている。自らサンドしておきながら、ビックリしている様子が伺える。まるで通販番組のゲストが取り扱い商品を知ってるクセに「え~! こんなに!?」って驚いてるみたいだな。

写真にそえられたイラストの手が震えている。やっぱり作っておきながら、フジパンもビビっているようだ。

商品名は「調理パン」。カレーパンを挟んでいる以上、調理パンと考えるのが妥当だろう。

では、早速開封の儀を執り行います。

中身を引きずり出すと、まず見えてきたのは食パンであります。おそらく厚みからして、サンドイッチ状であることがわかります。

さらに引きずり出すと、一見シンプルなサンドイッチ。だがしかし……。

間にはカレーパン! これこそが、カレーパンサンドなのであるッ!

構成要素を詳しく見てみよう。私の想像では、間のカレーパンは薄い生地でカレーがたっぷり詰まっていると考えていた。ところが実物は、意外とパンの層が厚い。

パン・パン・たまご・カレー・パン・パン

これはカレーパンを食うというよりも、ほとんどパンを食うことになるのではないだろうか。中身のカレーパン単体で見ても、やっぱりパンが厚い気がするんだよなあ。

外のパンを1枚めくってみると、思わぬ発見が。どうやら、外のパンにもカレーが塗ってあって、それで中のカレーパンをくっつけている。すなわち、これはカレーパンをパンで挟んだものではなく、厳密には、カレーパンをカレーパンで挟んだものだ。

すると「カレーパンサンド」ではなくて、「カレーパンカレーパンサンド」になるのでは? ……ややこしいからカレーパンサンドでいいか。

・食べた感想

では頂いてみるとしよう。長年追い求めていたカレーパンサンドとの闘いが、今日決着する。知りたかったのだよ、どんな味なのかを。想像ではふんわりとしたパンの向こうから、サクっとしたカレーパンの食感が出てきて、さらにカレーの味わいが楽しめる。そう考えていたのだが、実際はどうなんだ? 超えて来い、俺の想像を……

おりゃ!

はたして、実際に食べてみると……、全然違うじゃないか! 長い時間をかけてイメージし過ぎたせいもあるけど、全部ふにゃふにゃでサクっとしてない。サクっはなかった……。

幸い、カレーの味がかなり強くて、パンに対して量が少ないのに、これだけで全部を包んでしまうような強い味だ。ほのかにフルーツを感じさせる優しい甘味があってイイ。

だが、たまごのフィリングは行方不明だ。どこにいるかわからん。たまごの味がほとんどしないぞ。

カレーパンサンドよ、お前、そんなヤツだったのか。勝手の味の想像を膨らませていたけど、思った以上に普通じゃないか。俺もよく言われるんだ。当サイトのイメージでは元気でおかしい人だと思われてるけど、実際は割と静かで普通のおっさんなんだよ。だから「意外と普通ですね」って言われることあるんだ。

俺たち、似た者同士かもな。奇をてらってると、現実との折り合いをつけるのに苦労するよな。過剰に期待してすまなかった。お前は普通のカレーパンだ。俺も普通のおっさんだよ、ハッハッハ!

ということで、カレーパンサンドは普通のカレーパンです。よろしくお願いします。

執筆:佐藤英典

Photo:Rocketnews24