夫の死を受け入れられなかった妻。大切な家族をうしなった女性店主の話を聞いて…/木暮姉弟のとむらい喫茶(3)

夫の死を受け入れられなかった妻。大切な家族を喪った女性店主の話を聞いて…

「病気で亡くなった夫の死を受け入れられない」「妻が亡くなって一人で家にいるのが寂しい」。そんな大切な誰かを喪った人を引き寄せる不思議な喫茶店「こかげ」。社交的なキッチン担当・千景の優しさあふれる料理と、喪失感を抱えたお客さんの気持ちをくみとるテルの接客で、不思議と心が癒やされて明日を生きる活力がわいてくる…。

もう会うことのできない相手に対する悲しみや後悔など、訪れる客のあらゆる想いを千景とテルが「弔いごはん」で晴らしていく『木暮姉弟のとむらい喫茶』を11回連載でお送りします。今回は第3回です。

※本記事はうおやま著の書籍『木暮姉弟のとむらい喫茶』から一部抜粋・編集しました。

こらっ!お客さん困ってるでしょ

うちの家族もシャーベットなら食べられたんですよ

あれが初めて人のために作った料理だったかもしれないな

ひとさじの食べ物が立ち上がる気力をくれることもあるから

夫はずっと私の太陽なんだって

また来てね

今度チャレンジしてみるか

世界よ、滅びるのはもう少し待って

著=うおやま/『木暮姉弟のとむらい喫茶』