阪神・佐藤輝明、甘さ出た…確信歩きでフェンス直撃単打になり勝機逃す 藤川球児監督「自分の責任」

延長十一回、阪神・佐藤輝明は会心の当たりを放って歩き出す=楽天モバイルパーク宮城(撮影・松永渉平)
(日本生命セ・パ交流戦、楽天3x-2 阪神=延長十二回、3回戦、楽天3勝、15日、楽天モバ)見とれていたら、甘かった-。阪神は楽天に延長十二回の末に2-3で競り負け、連日のサヨナラ負けで約3年ぶりの6連敗を喫した。十一回先頭で中越えのフェンス直撃打を放った佐藤輝明内野手(26)が、打った瞬間に走っておらず単打に…。その後のチャンスも逃し、2カード連続3連敗となった。またもセ・リーグ球団が全敗し、2位DeNAとの2・5ゲーム差が変わらなかったことが救いだ。

阪神・佐藤輝明は打球がフェンスを越えないことに気づき慌てて走り出す=楽天モバイルパーク宮城(撮影・松永渉平)
杜の都の空に飛び出した白球を見つめ、佐藤輝はゆっくりと歩きだす。この甘さが、一瞬の心のスキが、6日連続の悪夢につながった。無情にもフェンスにはね返された打球。一塁にとどまらざるを得なかった。主砲の緩慢走塁に藤川監督は言葉尻を強めた。
「チームを預かる立場として、あさって(17日)からそういうものがないような姿で臨む。そこは自分(監督自身)の責任として、しっかり火曜日からやらなければと思っています」
49年ぶりの5試合連続逆転負けを喫し、最悪のチーム状況で迎えた一戦は、先行されるも追いつき、延長戦に突入した。2-2で迎えた十一回。先頭の佐藤輝は楽天のD4位・江原(日鉄ステンレス)のフォークを捉えた。手応えあり-。スタンドインを確信し、歩き出した。

二塁へと進めず、フェンス直撃打を単打としてしまい、一塁上でがっくりとする阪神・佐藤輝明=楽天モバイルパーク(撮影・中井誠)
しかし、手のひらに残った感触とは裏腹に、打球は中堅フェンスで跳ね返った。2年ぶりの慣れない球場というのはもちろんある。上空には普段とは違う風も吹いていたのかもしれない。ただ、全力疾走を怠ったツケがすぐに回ってくるのが今の虎だ。続く大山が左前打でつなぎ無死一、二塁とするも、高寺はカウント3-0から2球見送り。あげくバスターを敢行も左飛に倒れた。その後は代打・糸原、梅野も凡退。結果的に佐藤輝の緩慢走塁が響いた。あの一打で二塁まで進んでいれば、勝ち越し点が入る可能性は高かった。
佐藤輝は12日の西武戦(ベルーナ)でも、満塁の場面の一走でけん制死を喫している。これが6連敗中、2度目の走塁ミス。「あした(16日)またしっかり休んで頑張っていきたい」と言葉を絞り出すしかなかった。藤川監督は「まだまだシーズン半ばですからね。起こること全てを、この前も言いましたけど、糧にしながら」と主砲の手綱を締めた。

延長十一回の阪神・佐藤輝明のフェンス直撃単打に、ベンチの藤川球児監督も厳しい表情だ=楽天モバイルパーク(撮影・中井誠)
チームは結局、延長十二回に湯浅が屈し、2日連続のサヨナラ負け。逆転負けこそ止まったが、今季最長の6連敗と負の連鎖は止まらない。セ・リーグ他球団を見れば、勝利したチームはなし。延長十一回に勝ち越していればセ界で独り勝ちできていたと考えると痛い敗戦だが、裏を返せば他も負けた。6連敗を喫しながらも、11日から2位DeNAとのゲーム差が「2・5」のまま推移していることは救いだ。
17日から本拠地・甲子園でロッテ、ソフトバンクとの交流戦ラストウイークに臨む。負の連鎖を断ち切るために、5試合連続安打と連敗中もバットで結果を残している佐藤輝の力は必要不可欠。藤川監督も前を向いた。
「また甲子園に戻って、しっかりと戦っていく。糧にしながら戦うというのが非常に重要なのかなと思います」
同じ過ちはもう繰り返さない。全身全霊で戦った先に、久しぶりの白星が待っているはずだ。(原田遼太郎)
■データBOX
◉…阪神は今季初の6連敗。2022年8月9-17日の8連敗以来で3年ぶり。2カード続けての3連敗も同期間(8月9-11日のDeNA戦、同12-14日の中日戦)以来となった
◉…阪神は今季4度目のサヨナラ負け。2試合連続サヨナラ負けは昨年5月31日、6月1日のロッテ戦(●4-5x、●2-3x)以来
◉…楽天戦は23年6月8日(●4-6、楽天モバイルパーク)から7連敗で、12年6月6日から14年6月3日にかけての6連敗を上回りワーストを更新。通算35勝39敗となった
◉…阪神は5月11日の中日戦(○1-0、甲子園)から続いていた日曜の連勝が「5」でストップ。今季、日曜は7勝4敗となった