今季からスーパー耐久参戦、ブノワ・トレルイエの長男ジュール・カズキ。ヘルメットに日の丸と”樹”の文字

 2006年フォーミュラ・ニッポン、2008年スーパーGTでタイトルを獲得、2011年からアウディワークスドライバーとしてル・マン24時間で3回の優勝を飾ったブノワ・トレルイエ。彼の長男ジュール・カズキ・トレルイエが、3月にモビリティリゾートもてぎで開催されたスーパー耐久シリーズ開幕戦で日本でのレースデビューを飾った。

 ジュールは2006年9月2日東京生まれの18歳。「地底旅行」や「八十日間世界一周」などで知られるフランスの作家、ジュール・ベルヌにちなみファーストネームを付けられた。

 2011年末に両親と共にフランスへ帰国後は、かつて父親も参戦していたフランスの氷上レースであるアンドロス・トロフィーで2023年にレースデビュー。2回のポールポジション、2勝、2回の最速ラップを獲得した。またフォード製V6 3.7リットルエンジンをミッドに搭載したスポーツカー・リジェJS2 Rのワンメイクレースである「リジェJSカップシリーズ」では、2023年に3位を2回、昨年は2位と3位をそれぞれ1回ずつ獲得している。昨年父親のブノワと共にS耐最終戦富士の現場へ来て、日本のレースへの参戦の可能性を探っていた。

「ブノワが(ジュールが参加できる)チームを探しているというので、じゃあ俺んとこでS耐に乗る? という話になりました。フランスの兄であるブノワには恩返ししたかったし、手助けできればいいなと。世代を超えてつながるなんて感慨深いものがありますよね」とは星野一樹監督。

「若手育成もやりながら結果を求めていきたいですね。もちろんどんどん乗せますよ。じゃないと覚えないし、マイレージを増やして速くなってもらいたいし。ブノワも息子に対して厳しい環境で頑張らせたいんでしょうね。ポテンシャルは苗字で間違いないでしょう!」

 東京を離れた5歳時とても小さかったジュールは、180cmを超える背の高い青年になっていた。「日本に住むつもりです。スーパー耐久は参加台数が多くてトラフィックでは難しいところもありますが、非常にポジティブです。この週末はずっとチームの雰囲気もいいし、毎日がいい経験になっています」とまだあどけなさの残る笑顔で答えた。

 ふとヘルメットをチェックすると、父親のデザインとは全く異なることに気づいたので尋ねてみた。

ジュール・カズキ・トレルイエのヘルメット

写真: 皆越 和也

「センターの”樹”はカズキの漢字です。私のミドルネームは私の父の弟である(星野)一樹さんにちなんで付けられました(当初はカズヨシ=一義にしようとしたが、フランス人には発音が難しかった)」

「私は日本で生まれたし日本が大好きです。ですからヘルメットには日本の国旗と日本の名前を入れたかったのです。このヘルメットが日本で披露できることをとてもうれしく思います。ヘルメットには鈴鹿、ニュルブルクリンク、ル・マン、グッドウッドなど、私のホームコースも含んで多くのサーキットのレイアウトが入っていて、1年半ほど使っています」と笑顔のジュール。

 日本でのデビュー戦2レースを終えて「ハードなレースでしたが、とても楽しかったです。良い結果を出すには完璧なレースをする必要があり、私たちはできる限りのことはしたと思います。上位のクルマとの差は本当にわずかでした。次の鈴鹿では表彰台、できれば優勝を狙えるよう頑張ります」と前向きに話して一旦フランスへ帰国した。今後の伸び代を楽しみにしたい。

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