【緊急解説】なぜ? 麻原彰晃の三女を韓国が入国拒否「生きる気力を奪う」「松本麗華という名前が国の中でどういう扱いになっているのか」

【緊急解説】なぜ? 麻原彰晃の三女を韓国が入国拒否「生きる気力を奪う」「松本麗華という名前が国の中でどういう扱いになっているのか」

27日、オウム真理教の教祖、麻原彰晃こと松本智津夫の三女・麗華さんが、映画祭への出席のため羽田空港から韓国へ向かおうとしたところ、出国できなかった。麗華さんによると、韓国大使館などから理由の説明はなかったという。

なぜこのような事態に陥っているのか? 一連のオウム真理教事件を30年にわたって取材しているテレビ朝日報道局の清田浩司デスクに聞いた。

「オウムという“街”に住んでいた感覚に近い」

そもそも、1983年生まれの麗華さんは幼い頃、教団内でどのような立場にあったのか?

清田デスクは「麗華さんは5歳の時に父親の麻原彰晃に次ぐ2番目に高い霊的ステージとされた。とはいえ、幼かったので教団内での実権は全くなかった。これについて本人は『教団内の家族の地位を上げるための最大の虐待だった』と話している。『物心ついた時から教団があり、そこにいるのが自然なことで、オウムという“街”に住んでいた感覚に近い』とも話している」と説明した。

麗華さんが11〜12歳の時に地下鉄サリン事件と麻原らの逮捕があり、麗華さんは16歳で教団から離れた。当時の教団と麗華さんの距離感について清田デスクは「本人に確認したところ、オウムにも後継団体のアレフにも一度も入会手続きはしておらず書類もない。当然事件にも一切関わっていない」と語った。

では、なぜ麗華さんは韓国など海外に渡航できないのか?

清田デスクは「一時、公安調査庁が麗華さんを『幹部』だと主張している時期もあった。そうした情報などから、2017年も韓国に行けなかった。今は若干状況が変わったため、もしかしたら入国できるのでは?という期待もあったが8年経ってもまだ変わっていなかった」と分析した。入国拒否は韓国側の判断だというが、その判断材料になっているのは日本からの情報だとみられるという。

「基本的な人権」という観点で問題はないのか?

日本政府の“捉え方の変遷”について清田デスクは「アレフの後継団体を監視している公安調査庁は、2014年に麗華さんを『幹部』だと主張した。しかし、その後は経緯や理由はわからないが『現在も役員』とは記載しなくなった。幹部と『認定』するのは公安審査委員会であり、公安調査庁はあくまでも『主張』している形になる。なお、今月に出た官報では麻原彰晃の妻と次男については『後継団体アレフから資金提供がある』としており、麗華さんも含めたほかの親族に資金提供はないとした。あくまでも経済的な面については『アレフとの関係性はない』と認定している」と説明した。

アメリカは2022年にオウム真理教に対して外国テロ組織の指定解除を発表したが、この影響はなかったとみられる。

基本的な人権として保障される「移動や旅行の自由」という観点で問題はないのだろうか?

清田デスクは「麗華さんの関係者とも話をしたが、例えば弁護士が省庁に問い合わせをしてもおそらく対応しない。そのため、国会議員が国政調査権を駆使して、関係省庁に『麗華さんについてどういう認定をしているのか?』という問い合わせをして、その結果をもって、場合によっては行政訴訟を起こす。麗華さん本人も言っていたが、『松本麗華という人物が国の中でどういう位置付け・扱いになってるのか』を今後調べていく必要があると思う」と話した。

今回の入国拒否だけではない。麗華さんは人生の中で数々の不利益を被ってきたという。

清田デスクは「私も麗華さんと知り合ってから20年ほど経つが、その間にも大学に合格したあとに、入学拒否になって訴訟を起こした。また、正社員として採用されていた会社から突然解雇されたり、ここ10年以上新たに銀行口座も作れない状況が続いていると聞いている。過去のものも含めて、なぜ麗華さんがここまで差別を受けなくてはいけないのか。まずはどのような情報を元にこういう判断がされているのかを突き詰めていく必要がある」と述べた。

27日11時半過ぎ、入国拒否に直面した麗華さんは取材に対し「就職しても国から通達があって身元を知らされたり、そういうことがおそらく私だけじゃなく多くの加害者の家族の方とか、何らかの特異な立場にある方にはあると思う。それは本当に生きる気力を奪うことなので、そういうことがなくなっていくといい」「日本だと『ああ、オウム事件で麻原の三女。仕方がないね』となる。ここで行き詰まる。韓国という違う国の、違う文化の方から見て、私が置かれている状況がどのように見えるのか。客観的なご意見とか生きるためのアドバイスをいただきたかった。海外にいる時は、ひとりの『日本人の松本麗華』。日本にいる時は『あのオウム真理教の』がいつでもついて回るので、リラックスできるという意味で海外にも行けるようになりたい」と話していた。

(ニュース解説/ABEMA)

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