人気の350ccクラスの新たな刺客、BSA「バンタム350」が70万円切の攻め攻め価格で日本上陸!! ビッグシングル搭載車「スクランブラー650」とともに2025年秋発売を目指す
復活したBSAは、どんなブランド?
皆さんは「BSA」というブランドをご存じですか? イギリス生まれのバイクブランドとしては、トライアンフやロイヤルエンフィールドが有名ですが、BSAもそれらに負けず劣らずの古い歴史を持っているブランドです。
ブランド初のバイクが販売されたのは1910年。1950年代には世界のバイク市場を牽引するほどのトップブランドへと成長しました。しかし1973年にブランドは消滅。長い間、BSAブランドは眠ったままでした。

イギリス・ロンドンで開催された「バンタム350(右/オプション装着車)」と「スクランブラー650(左/オプション装着車)」の発表会の様子
イギリス・ロンドンで開催された「バンタム350(右/オプション装着車)」と「スクランブラー650(左/オプション装着車)」の発表会の様子【画像】復活を遂げた老舗ブランドの最新モデル「バンタム350」「スクランブラー650」を画像で見る(18枚)
そのブランドが再び動き出したのは2016年。インドのバイクブランドであるマヒンドラがBSAブランドを取得。2021年にBSAを象徴する歴史的モデルの名前を使い、そのコンセプトを現代的に解釈した「ゴールドスター650」を発表しました。この車両は2025年春から日本でも販売がスタートしています。
今回発表された「バンタム350」と「クラシック650」は、その復活したBSAの第二弾&第三弾のモデルであり、発表と同時に世界各地での販売を計画している世界戦略車なのです。
人気の350カテゴリーに参入するロードスターモデル

BSAの新型「バンタム350/バレルブラック」に乗る筆者(河野正士)
BSAの新型「バンタム350/バレルブラック」に乗る筆者(河野正士)いま日本では350ccクラスのバイクが人気です。ホンダ「GB350」や、ロイヤルエンフィールドの350シリーズが、その人気を引っぱっている感じ。そのトレンドは、世界中のバイク市場でも同じと言えるでしょう。
世界のバイク市場の中での350ccバイクは、日本で言うところの250ccバイクに存在感が近く、初心者からベテランまで幅広いラーダーに人気です。だからこそBSAが「バンタム350」を開発したのです。
その「バンタム350」は、ロイヤルエンフィールドの「クラシック350」や「メテオ350」、ホンダ「GB350」などの、クラシカルなスタイルと乗り味のバイクたちとは違います。
BSA陣営がライバルとして挙げていたのはロイヤルエンフィールド「ハンター350」。前後17インチホイールを装着していること。モダンなデザインであること。若いライダーをターゲットにしていること。車両価格が安いことが、ライバルの理由だと話していました。

シート高は800mmとやや高めだが、両足を下ろして両カカトが少し浮く程度の足つき。ポジションも自然だ。「バンタム350/ファイアクラッカーレッド」
シート高は800mmとやや高めだが、両足を下ろして両カカトが少し浮く程度の足つき。ポジションも自然だ。「バンタム350/ファイアクラッカーレッド」実際に走らせた「バンタム350」は、街中をキビキビと走るコンパクトロードスターでした。高さ800mmのシートは、抜群に足つき性が良いという訳でありませんが、それでもストップ&ゴーが多い街中では、身長170cmの筆者は、足つきは苦になりませんでした。184kgの車重も、けっして軽いわけではありませんが、ライバルたちも±5kgほどの差しかありませんし、この車重がきっかけで悪い印象を持つこともありませんでした。
それよりも、「バンタム350」が搭載している排気量334ccの水冷単気筒DOHC4バルブエンジンはなかなかに楽しいエンジンでした。ライバルたちのように、エンジンの低い回転域からでもモリモリとチカラがあって、車体を“グイグイ“と前に押し出すような感じとは違うのですが、低回転域からでも“スルスルッ”と、しかししっかりと車体が前に出て行く感じ。前車に合わせて加減速するときなど、シフトダウンをサボって、すこし高いギアを維持したままでも、アクセル操作だけでスムーズな加速が可能でした。
そこからアクセルを大きく開けると、エンジン回転が一気に高まって、なかなかに強烈な加速をしていきます。この高回転の伸びやかさやパンチ力は、DOHCというバルブ駆動方式だからこそ。この元気の良さはライバルたちとひと味もふた味も違い、「バンタム350」の強い個性と言えるでしょう。
スクランブラースタイルでビッグシングルエンジンを味わう
続いて「スクランブラー650」を紹介します。エンジンは排気量652cc水冷単気筒DOHC4バルブです。そのエンジンをダブルクレードルフレームに搭載しています。このエンジン、フレームで構成される車体の基本骨格は“プラットフォーム”と呼ばれ、BSA復活の第一弾モデルとして登場した「ゴールドスター650」と共通となっています。

BSAの新型「スクランブラー650/ビクターイエロー」
BSAの新型「スクランブラー650/ビクターイエロー」話をエンジンに戻しましょう。排気量600ccを越える単気筒エンジン、バイク好きからは“ビッグシングル”と呼ばれ、おもにオフロードバイクやモタードバイクなどのスポーツバイクに搭載される例が多いです。したがってエンジンの出力特性も過激で、かなり上級者向けのエンジンと言えるかもしれません。
しかし、「スクランブラー650」に搭載されている単気筒エンジンは、スポーツ系ビッグシングルにありがちな、エンジンが常に高回転を求めてくるような“急かされる感じ”がありません。

BSAの新型「バンタム350/サンダーグレー」に乗る筆者(河野正士)
BSAの新型「バンタム350/サンダーグレー」に乗る筆者(河野正士)また、ビッグシングルの加速感を表現するときによく使う“ドコドコ感”が少なく、とても滑らか。それには、エンジン内に振動を低減させるためのバランサーを2つ内蔵していることも影響しています。したがって“トトトッ”と、マイルドかつスムーズな加速を味わうことができます。
そのエンジンを高回転まで回せば、バンタム350同様、DOHCエンジンらしい伸びやかさとパンチ力が増していきます。今回はスポーティな走りが楽しめる峠道や、高速道路がルートに含まれていなかったのですが、是非そういった場所でもテストしてみたいと思える片鱗を随所で感じることができました。
スクランブラースタイルの採用によって、兄弟モデルのゴールドスター650よりは、車格もライディグポジションも大きくなっています。ハンドルの取付け角やハンドルそのものを変更すれば、より日本人の体格にフィットしたライディングポジションにアレンジすることもできるでしょう。
BSAの2つの新型車は秋には日本を走り出します
発表になったばかりの「バンタム350」と「スクランブラー650」ですが、BSAの輸入元であるウイングフットが、今秋の日本発売を目指して準備を進めています。そして価格も発表されました。

BSAの新型「バンタム350/オクスフォードブルー」
BSAの新型「バンタム350/オクスフォードブルー」「バンタム350」は、バレルブラック/オクスフォードブルー/ファイアクラッカーレッドの3色展開でメーカー希望小売価格(以下、消費税10%込)は69万8500、「スクランブラー650」はビクターイエロー/サンダーグレーの2色展開で117万9200 (税込)です。