増える「静かな退職」…仕事は極力せず、昇格も望まない 若手社員の7割が共感、あえて働かないワケ

若手社員の4人に3人が「静かな退職」を実践している ※画像はイメージです(taka/stock.adobe.com)

キャリアアップや昇進などを目指さずに必要最低限の仕事をこなす、いわゆる「静かな退職」を実践している社員はどのくらいいるのでしょうか。パーソルイノベーション株式会社 lotsful Company(東京都港区)が運営する副業人材マッチングサービス『lotsful(ロッツフル)』が実施した「静かな退職と副業」に関する調査によると、新卒入社後3~5年未満の約4人に3人が「静かな退職」を実践していることがわかりました。では、「静かな退職」を実践したことによってどのような変化があったのでしょうか。

調査は全国の企業に勤める20~49歳の会社員男女661人を対象として2025年6月にインターネットで実施されました。

「静かな退職」という考え方に共感しますか?(提供画像)

その結果、「静かな退職」という考え方に対し、「共感する(非常に共感する26.2%、やや共感する46.5%)」と答えた人が7割以上に上り、多くの人がこの価値観に理解を示していることがわかりました。

「静かな退職」への共感度と勤続年数(提供画像)

なかでも、新卒入社後3~5年未満の勤続層では、実に89.5%が「共感する」と回答しており、若手社員の間で特にこの傾向が顕著となり、一方的な成果主義や昇進ありきのキャリア観に違和感を抱く若手が増えていることがうかがえます。

「静かな退職」に共感する理由(提供画像)

「静かな退職」に共感する理由としては、「ワークライフバランスを重視したい」(45.3%)や「昇進・昇格に関心がない・したくない」(33.6%)などに回答が集まり、仕事だけに偏らず、自分らしいライフスタイルを重視する姿勢や、管理職としての負担を敬遠する意向が「静かな退職」への共感の背景にあることがうかがえました。

【性・年代別】「静かな退職」の実践状況(提供画像)

【勤続年数別】「静かな退職」の実践状況(提供画像)

続いて、「静かな退職の実践状況」を聞いたところ、全体の37.7%が「現在、静かな退職を実践している」と回答し、特に20代女性(59.1%)でその割合が最も高く、次いで30代女性(44.0%)、20代男性(42.9%)が続いており、若年層・女性を中心に広がりを見せていることが明らかとなりました。

また、勤続年数別で見ると、新卒入社後3~5年未満の層においては、75.4%が「実践している」と回答しており、実際の行動としても定着しつつあることもわかりました。

「静かな退職」の共感者が本業に求める役割(提供画像)

次に、「静かな退職」という考え方に「共感する」と回答した人に対して、「今の本業に求める役割」を尋ねたところ、「安定した収入源」(46.6%)や「ワークライフバランスの取りやすさ」(40.6%)が上位に。

実際に「静かな退職」を実践している人と実践していない人を比較すると、実践している人のほうが「副業・社外活動の基盤」や「キャリアアップの土台」として本業を捉える傾向があり、本業と副業のバランスを意識したキャリア戦略が垣間見えました。

「静かな退職」を実践してみてどうだったか(提供画像)

また、「静かな退職を実践してみてどうでしたか」という質問には、「心身の健康が改善された」(32.3%)、「ワークライフバランスが改善された」(28.9%)といったポジティブな変化を感じている人が多く見られ、自らの価値観に合ったはたらき方を選ぶことで、当初の目的を達成している人が多いことが見て取れました。

「静かな退職」によって空いた時間で副業をしていますか?(提供画像)

さらに、「静かな退職によって空いた時間で副業をしていますか」と聞いたところ、64.3%が「している」と回答し、多くの人がその時間の余白をキャリア形成のために積極的に使っている実態が明らかになりました。

副業や社外活動を通じて本業に対する気持ちに変化があったか(提供画像)

最後に、「静かな退職で空いた時間を副業などの社外活動に活用している」と答えた人に「副業や社外活動を通じて本業に対する気持ちに変化がありましたか」と尋ねたところ、「本業への期待は変わらないが、気持ちにゆとりが生まれた」(53.6%)が最多となったほか、「やりがいを再認識し、本業へのモチベーションが上がった」(20.5%)という声も見られました。