「旧・石垣空港」のイマをみた、再開発の概要とは?

旧石垣空港跡地に残る空港入口のサイン

“南ぬ島石垣空港“として知られる新石垣空港(正式名称)は、2013年3月7日の開港から12年半を経て、2025年8月7日に正式に「石垣空港」へ名称変更されました。もともと、入れ替わる形で廃止された「旧・石垣空港」と区別するために“新”を名乗っていましたが、これにて名実ともに今の“南ぬ島石垣空港”は「石垣空港」になりました。

© 北村 真央現在の石垣空港“南ぬ島石垣空港”のターミナルビル

2013年に廃止された「旧・石垣空港」は、戦時中に旧日本海軍が設置した飛行場を戦後に民間利用したのが始まりで、市街地のすぐ近くに設置されていました。市街地東部という立地上の制約から滑走路は1,500mと短く、本州への直行便が就航できなかったうえ、県内路線であっても離発着時には“急加速“や”急減速“を強いられることはあまりに有名な話。また、ANAインターコンチネンタル石垣リゾートにも近く、当時は客室からもかろうじて空港内が見渡せると、一部界隈では話題になっていました。

© FlyTeam hourekiさん2013年3月4日撮影の「旧・石垣空港」を発着する日本トランスオーシャン航空(JTA)ボーイング737-400型機「JA8939」 © FlyTeam frankさんANAインターコンチネンタル石垣リゾートの特徴的な建物をバックに離陸するANAのボーイング737-500型機「JA354K」 © 北村 真央バンナ岳山麓にある「エメラルドの海が見える展望台」から見た旧空港方面 © 北村 真央2001年ごろの石垣発着・日本航空(JAL)の時刻表 東京(羽田)や大阪(関西)行きは那覇や宮古経由になっているのがわかる

廃止から12年半が経過した「旧・石垣空港」は、今どのような姿になっているのでしょうか。広大な土地のほとんどは、国有地・県有地などの公有地になっており、石垣市は“防災、医療・福祉”拠点の充実を核とした「旧空港跡地利用計画」を策定して計画を進めています。

© 石垣市石垣市が策定した「旧空港跡地利用計画」

先行して、2014年に海上保安庁の第11管区海上保安本部石垣航空基地庁舎跡地へ石垣市消防本部が移転。海保時代の格納庫などが、そのまま活用されています。また、ターミナルビルやエプロンが設置されていたエリアには、2018年に県立八重山病院、2021年からは石垣市役所が移転しています。

© 北村 真央旧海上保安庁跡地を利用した石垣市消防本部の庁舎 © FlyTeam frankさん石垣市消防本部が移転した閉港後の旧・石垣空港を発着する元の利用者である海上保安庁のヘリコプター 2016年2月6日撮影 © 北村 真央旧ターミナル付近に建設された石垣市役所庁舎 © 国土交通省ターミナルビルやエプロン地区の再開発状況

その他、滑走路や誘導路があったエリアについては、今後開発が進められる予定です。「旧・石垣空港」の出入り口に設置されていた石標は、今もそのまま残されており今後の開発進捗による取り扱いは不明ながら、当面は残り続けるものとみられます。今後も姿を変え続ける「旧・石垣空港」を、見守り続けたいと思います。

© 北村 真央旧・石垣空港の石標