ちょうどいい塩梅!389万円カローラクロスのGRバージョンってどうなの?
2025年5月、トヨタは人気のクロスオーバーSUV「カローラクロス」に新たなグレードとして「GR SPORT」を追加しました。「カローラシリーズ」という実用性を重視したモデルに、スポーティなエッセンスが加えられたカローラクロスの「GR SPORT」。はたしてどのようなモデルに仕上がっているのか、その内容をご紹介しましょう。
■一部改良でハイブリッド専用モデルとなったカローラクロス
2025年5月23日、トヨタは「カローラクロス」の一部改良を発表、エクステリアデザインの刷新やアダプティブハイビームシステムなどの先進技術を新たに設定したほか、国内初採用となる最新の安全装備を搭載、また従来設定されていたガソリン車を廃止し、ハイブリッド専用モデルとなるなど、「カローラ」というイメージを超えた、魅力あるSUVへと進化しています。

この一部改良のタイミングで追加され、8月4日から発売となったのが、「カローラクロス GR SPORT」です。「GR SPORT」は、トヨタのモータースポーツ部門「TOYOTA GAZOO Racing」が手掛けるスポーツブランド「GR」の中でも、日常使いを意識したエントリーモデルに位置付けられます。これまでにも、アクアやヤリスクロス、ハイラックス、ランドクルーザー300、そしてコペンなどに、GR SPORTが設定されてきました。
■「GRらしい走り」を体感できるモデル
カローラクロスのボディサイズは、全長4455mm×全幅1825mm×全高1600mmですが、GR SPORTでは全長4460mm×全幅1825mm×全高1600mmと、標準グレードよりも5mm長く、20mmほど低くなっています。パワートレインも標準車の1.8Lエンジン+モーターに2WDまたはE-Fourに対し、高熱効率かつ高出力の2.0Lエンジンを搭載したハイブリッドシステムをGRスポーツ専用にセッティング。爽快な走りに加えて優れた低燃費を実現しているといいます。駆動方式はE-Fourのみです。
ドライブモードセレクトにはGRスポーツ専用の「SPORTモード」を新たに設定。アクセルレスポンスやモーター制御がスポーツ志向に切り替わり、より力強い加速感が得られます。6速シーケンシャルシフトマチックも備わっており、スポーティな走行感を高める演出も用意されています。

足まわりにも手が入っています。専用設計の19インチホイールと225/45R19サイズのタイヤを採用し、フロントロアアームブッシュの高剛性化やリバウンドスプリングの追加、コイルスプリングのばね定数変更、そして車高10mmダウンなどを実施。ボディ後方にはリヤバンパーレインフォースが加えられ、ボディ剛性の強化も図られています。
これらの改良により、応答性と安定性を高い次元で両立。実用車でありながら、ステアリング操作に対するダイレクト感や、フラット感のある乗り味を実現しているようです。
■見た目も「GRらしさ」をしっかり表現
エクステリアでは、GRスポーツ専用のフロントバンパーを採用。特徴的な「ファンクショナルMATRIXグリル」は、左右に設けられた開口部が空力性能の向上に貢献し、走行安定性の確保にも寄与しています。

インテリアも、標準モデルとは一線を画しており、GRロゴ入りのスポーツシートは、身体が触れる部分に滑りにくいスエード調素材を採用。ホールド性を高め、ハード走行中であっても安定した姿勢を維持することができます。ステッチやベゼルの加飾などにも、GRブランドらしい意匠が施されており、運転席まわりの雰囲気は一段とスポーティになっています。
■価格は389万5000円 装備を考えると、内容に見合った価格設定では
カローラクロスGR SPORTの価格は税込389万5000円。ハイブリッドZ(368万円)と比べて約21万円の差がありますが、専用チューニングされたパワートレインや足まわり、装備を考えると、内容に見合った価格設定といえるでしょう。

トヨタによると、このカローラクロス GR SPORTは、GRヤリスやGRカローラといった本格派スポーツモデルの開発を務めたドライバーも開発に携わるなど、「GRらしい走り」を体感できるモデルに仕上がっているそう。ハイパフォーマンスモデルほどの過激さはないものの、普段使いのSUVとしてのバランスを崩すことなく、走りの質を引き上げている点が魅力です。
実用的なスポーティクロスオーバーSUVが欲しいという場合には、「ちょうどよい」一台といえるカローラクロスGR SPORT。気になった人はぜひ一度チェックしてみてください。
Text吉川賢一
Photo:TOYOTA