「ポルシェ911GT3R」2026年シリーズモデルがデビュー! 「GT3シリーズ」で優勝を重ねるマシンがさらにバージョンアップ
ワールドワイドで開催の「GT3シリーズ」でその存在感を示すレーシングマシン「ポルシェ911GT3R」。その2026年シリーズモデルの発売が2028年8月8日(米・アトランタ現地時間)にアナウンスされた。新型モデルは、空力特性をはじめ、細部に至るまで様々な改良が施されている。

強化されたエアロダイナミクスでブレーキやハンドリング性能も向上
レーシングマシン「ポルシェ911GT3R」は2023年初頭のデビュー以来、世界各地で開催される「GT3シリーズ」に500回以上出場し、数々の勝利とタイトルを獲得するなど、素晴らしい実績を誇る。

エアロダイナミックスへにこだわりを見せた2026年シリーズモデル。
2024年シーズンを例にとれば、カスタマーチームが「インターコンチネンタルGTチャレンジ」でメーカーによる非公式のGT3世界選手権を獲得し、「ニュルブルクリンク・ロングレースシリーズ(以下NLS)」では8レース中6レースでチェッカーフラッグを獲得、そして「ル・マン24時間レース」ではクラス優勝を飾っている。
この「ポルシェ911GT3R」にさらに何が必要なのだろう? そんな疑念がわくのは普通だが、ポルシェは飽くなき進化をこのレーシンマシンに注ぎ込み、2026年シリーズモデルをリリースしてきた。パワーソースは、従来どおりの4.2L水平対向6気筒エンジン(最高出力557hp<416kW>)。
2026年シリーズモデルの最大の特長はエアロダイナミクスの向上だ。フロントホイールアーチの上部に追加されたベンチダクト、いわゆるルーバーがキーとなる。ルーバーは減速時の空力バランス保ってくれるため、ブレーキング中のフロントダイブが極力抑えてくれるという。

4mm厚のガーニーフラップが装備されたスワンネックリアウイング。
リアに目をやると、スワンネックリアウイングに4mm厚のガーニーフラップが装備されている。これは強力なダウンフォースの発生を促し、空力バランスの調整範囲を広げる役目を担う。マルチリンク式リアアクスルの改良も行われ、第5世代のボッシュ製レーシングABSとの組み合わせにより、これまで以上にバランスのよいハンドリングを提供してくれるそうだ。
他には、電動油圧式パワーステアリングシステムの追加やブレーキ冷却システムやドライバーエアベントの改良なども行われる。
標準装備を拡充。開発時レース参戦で戦闘力の高さも証明
標準装備の幅も広がった。以前はオプションだったセンサーパッケージやエンデュランスパッケージ、ピットレーンリンクパッケージ、カメラパッケージが標準装備の仲間入りしている。
これらのキットには、レーザー車高センサー4個、マスターブレーキシリンダーポテンショメーター2個、路面温度センサー1個、リアビューカメラ1個、ウォーターボトルシステム用マウント、給油検知センサーなどが含まれる。
「GT3シリーズ」の各サーキットに対応した特別装備オプションも用意される。「FIA LM GT3クラス」と「IMSA」での専用ドライブシャフトや「NLS」での改良型プリサイレンサーと調整範囲が変更されたウイングサポートといった具合だ。

2年の開発期間を経て登場した2026年シリーズモデル。参戦サーキットに合わせた特別装備オプションも用意される。
ちなみに、2026年モデルの開発は2024年8月から開始されている。ポルシェ モータースポーツはテストを、ヴァイザッハの自社施設とセブリング、ポール・リカール、スパ・フランコルシャン、ニュルブルクリンク北コースなどのサーキットの両方で実施してきた。
2025年4月中旬に行われた「ミシュラン12時間スパ・フランコルシャン」への参戦も果たしている。元ポルシェ ジュニアで、現IMSA GTD-Proチャンピオンのローリン ハインリッヒがハンドルを握り、総合2位を獲得している。
「ポルシェ911GT3R」2026年シリーズモデルの戦闘力はすでに実証済みというわけなのだ。