【レビュー】ヤマハ「トレーサー9 GT+ Y-AMT ABS」インプレ|ACC・Y-AMT・BSD・UBS・KADSなどなど先進機能満載のスポーツツアラー
2023年10月に国内導入がスタートしたヤマハの大型スポーツツアラーモデル・トレーサー9GT+が、自動変速トランスミッション・Y-AMTを採用して登場。MT/ATモードや電子制御を駆使することで、ベテランライダーがこれまで以上にバイクとの時間を濃密に過ごしたくなるモデルだ。
文:小川 勤、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
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ヤマハ「トレーサー9GT+ Y-AMT ABS」インプレ(小川 勤)

YAMAHA TRACER9 GT+ Y-AMT ABS 総排気量:888cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒 シート高:845/860mm 車両重量:232kg発売日:2025年5月28日(水) 税込価格:198万円
ベテランに知って欲しい電子制御フルセット
様々な操作や気遣いから解放されることは、バイクと楽に付き合うことではなく、より濃密な付き合いの始まりである。
トレーサー9GT+ Y-AMTは走りに集中させてくれるばかりか、バイクにおける新たなるスポーツの世界、そしてツーリングの世界を見せてくれる。
各社AT車が出始めたが、その味付けは様々。中でもヤマハのトレーサー9 GT+ Y-AMTは、ATに連動させる電子制御を満載したモデル。伝統の3気筒エンジンとのマッチングで新たなるツアラーを生み出した。
AT&MTモードを切り替えながら市街地を走る。MT時のシフト操作は左スイッチのボタンで行う。発進&停止のクラッチ操作がないだけで、他の操作や安全に配慮できる。また足よりも手での操作の方が、感度が良く正確なこともよくわかる。

画像1: ヤマハ「トレーサー9GT+ Y-AMT ABS」インプレ(小川 勤)
しばらく走行し、僕が常用したのはMTモード。ATモードはエンジンの回転が高すぎることが多いのだ。僕は市街地でも発進直後に5速か6速に入れて走りたいタイプ。例えば50〜60km/h走行時、5速/2000回転ほどで走りたいのだが、ATモードだと3速になってしまうのだ。ただ停止時にシフトダウンはせず、Y-AMTの機能はフル活用して走る。
また、MTモードは、スポーツ、ストリート、レイン、カスタム1&2(任意で各制御をセット)、ATモードは穏やかなDとスポーティなD+からモードを選べ、パワーデリバリーは、MTは4段階、ATは3段階を用意。
電子制御サスペンションの設定もA1(減衰力強め)とA2(弱め)と任意でセットできる2モードがある。自分好みに仕上げることができるのだが、使いこなすには相応のキャリアが必要になるだろう。

画像2: ヤマハ「トレーサー9GT+ Y-AMT ABS」インプレ(小川 勤)
高速道路ではMTモード+ACCを常用。前車との距離感は気分やシーンで変える。スロットルを開け続けなくてもよく、上り坂での速度調整も不要、当然前車に近寄り過ぎた時は減速してくれる。雨天や夜など条件が悪くなるほどライダーの疲労を軽減してくれるだろう。
峠ではATモードのDとD+を試し、条件によっては良かったが、やはり僕はエンジンの回転を抑えたいので、MTモードのストリートでサスペンションもA2を選び、穏やかに峠を駆けた。
トレーサー9GT+ Y-AMTを所有すれば、これまでと目的地が変わるし、乗る頻度も増え、走行距離も伸びるかもしれない。「新機能は必要ない」というのは簡単だが、この世界を知らずにバイクライフを語るのはあまりにももったいない。
ヤマハ「トレーサー9GT+ Y-AMT ABS」カラー・人気投票
ヤマハ「トレーサー9GT+ Y-AMT ABS」ライディングポジション・足つき性
シート高:845mm(Low)
ライダーの身長・体重:165cm・68kg

画像1: ヤマハ「トレーサー9GT+ Y-AMT ABS」ライディングポジション・足つき性
シート高の低い方でポジションを確認。前後17インチタイヤのモデルにしては、シート高は高め。両足で支えるよりも片足できちんと支えた方が安心感が高い。ただ、キャリアのあるベテランであれば、それほど不安になる必要はないだろう。

画像2: ヤマハ「トレーサー9GT+ Y-AMT ABS」ライディングポジション・足つき性
ヤマハ「トレーサー9GT+ Y-AMT ABS」各部装備・ディテール解説

カメラで周囲の交通状況を検知し、複数のLEDライトの点灯&消灯を自動制御。さらに照射範囲も調整するバイク用マトリクスLEDヘッドランプを搭載する。

基本的情報の他、バイクが現在どんな制御で走っているかをメーターで管理。専用アプリ「Y-Connect」、「Garmin Motorize」との連携でさらに世界が広がる。

クラッチレバーはなく、ギアチェンジは指で行う。AT限定大型二輪免許で乗ることが可能。エンストしないため、立ちゴケリスクも軽減。ただし駆動を切れないためUターンはコツがいる。

車体の右サイドカウルには小物入れを用意。キーレスにUSB-Cの電源ソケットなど、電子制御ではないユーティリティも充実している。

元気に走る印象の強いヤマハのCP3エンジン。それだけにATモードでの回転は高め。6軸IMUを使った、トラクション、スライド、リフト、ブレーキコントロールとも連携する。

6軸IMUはKYB製電子制御サスペンション「KADS(アクティマティックダンパーシステム)」とも連動し、走行中は常に姿勢制御。

電子制御サスのKADSは、ブレーキ入力をアシストするUBS(ユニファイドブレーキシステム)とも連動。ただしACC使用時の減速時の姿勢変化は意外と大きい。
ヤマハ「トレーサー9GT+ Y-AMT ABS」主なスペック・燃費・製造国・価格
文:小川 勤、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
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