【富裕層・超富裕層】日本で増え続ける「新しいタイプの富裕層」とは?純金融資産額や年収ごとの金融資産もチェック
【富裕層・超富裕層】日本で増え続ける「新しいタイプの富裕層」とは?純金融資産額や年収ごとの金融資産もチェック
物価高騰が続く中、新築マンション価格も高騰を続けています。
首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の1都3県で、2025年1月から6月にかけて販売された新築マンションの平均価格は8958万円となりました。これは前年同期を大きく上回り、上半期として過去最高を更新しました。
「誰がこんなに高額な物件を買えるのか?」と驚く人も多いでしょう。
しかし実際には、こうした物件を購入できる人たち、いわゆる富裕層が存在しています。
近年、日本では「いつの間にか富裕層」が増加し、さらには強い購買力を持つ「スーパーパワーファミリー」と呼ばれる層も台頭してきています。
今回は、彼らの実態や特徴について詳しく見ていきましょう。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
「富裕層」の資産規模はどのくらい?
「富裕層」と呼ばれる資産家たちは、どのような世帯なのでしょうか。
野村総合研究所が2025年2月13日に公表したニュースリリースでは、純金融資産保有額(※)に応じて世帯を以下の5つの層に分類しています。
※純金融資産保有額:預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から不動産購入に伴う借入などの負債を差し引いたもの
純資産保有額の階層別にみた「保有資産規模と世帯数」
出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」
・マス層(3000万円未満)
・アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満)
・準富裕層(5000万円以上1億円未満)
・富裕層(1億円以上5億円未満)
・超富裕層(5億円以上)
ここでは純金融資産1億円以上5億円未満の世帯を「富裕層」、5億円以上の世帯と「超富裕層」と定義し、世帯数や保有資産の規模についての推計データが公表されています。
このうち「富裕層」と「超富裕層」を合わせた世帯数は165万3000世帯に達し、全世帯の約3%を占めることが分かりました。
この合計世帯数は、推計が開始された2005年以降で最多です。また、富裕層・超富裕層それぞれの世帯数も2013年以降、継続的に増加傾向となっています。
日本では【富裕層と超富裕層】世帯が増え続けている!
「超富裕層」と「富裕層」を合わせた、純金融資産1億円以上を持つ資産家たちについて、世帯数や資産総額の推移をみていきます。
出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)」
・2005年:86万5000世帯・213兆円
・2007年:90万3000世帯・254兆円
・2009年:84万5000世帯・195兆円
・2011年:81万世帯・188兆円
・2013年:100万7000世帯・241兆円
・2015年:121万7000世帯・272兆円
・2017年:126万7000世帯・299兆円
・2019年:132万7000世帯・333兆円
・2021年:148万5000世帯・364兆円
・2023年:165万3000世帯・469兆円
富裕層と超富裕層の世帯数と資産総額は、世界金融危機や東日本大震災などの影響を受けて一時的に落ち込んだものの、長期的に見ると増加傾向にあります。
とくに2021年から2023年にかけての伸びは顕著です。この背景には、株価上昇や円安による資産価値の増大などがあったことが、同調査レポートでは指摘されています。
【一覧表】富裕層の世帯数と純金融資産保有規模(2023年)
・超富裕層(5億円以上):11万8000世帯・135兆円
・富裕層(1億円以上5億円未満):153万5000世帯・334兆円
・準富裕層(5000万円以上1億円未満):403万9000世帯・333兆円
・アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):576万5000世帯・282兆円
・マス層(3000万円未満):4424万7000世帯・711兆円
なお、富裕層と超富裕層が保有する資産の合計は、前回調査より約3割ほど増加し469兆円に。全世帯の保有資産額の26.1%が、この2つの層に集中していることが分かります。
あなたの周りにも増えている?新しいタイプの富裕層たち
今回の調査では「いつの間にか富裕層」「スーパーパワーファミリー」と呼ばれる、新しいタイプの富裕層たちの出現が指摘されています。
「いつの間にか富裕層」「スーパーパワーファミリー」
まず、「いつの間にか富裕層」は、株式投資などを通じて富裕層の仲間入りをした、40歳代後半から50歳代の一般の会社員を中心とする層です。
高い金融リテラシーを持つ一方で、富裕層向けの専門的な金融商品や高度な資産管理には不慣れな面もあるとされます。
そして「スーパーパワーファミリー」は、都市部に住む年収3000万円を超える共働き世帯に代表される層です。
20歳~30歳代の間は、教育費や住宅ローンなどの支払いに苦労するも、昇格・昇給により40歳前後から資産が急速に増加する傾向があり、高収入を背景に50歳前後で富裕層に到達する可能性が高いとされる層です。
この「新しい富裕層」に共通するのは、相続や親の資産に頼らずとも、自分自身のキャリア形成や金融知識によって資産を築いている点と言えるでしょう。
「富裕層は何に投資している?」年収で見る金融商品の内訳をチェック
2024年12月、J-FLEC(金融経済教育推進機構)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」の結果から、世帯年収ごとの金融資産内訳に関するデータを見ていきます。
種類別金融商品保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとにLIMO編集部作成
金融資産保有額
全国: 1374万円
・収入はない: 249万円
・300万円未満: 661万円
・300~500万円未満: 1065万円
・500~750万円未満: 1233万円
・750~1000万円未満: 1939万円
・1000~1200万円未満: 2069万円
・1200万円以上: 4178万円
・無回答: -
預貯金(運用または将来の備え)
全国: 582万円
・収入はない: 154万円
・300万円未満: 322万円
・300~500万円未満: 446万円
・500~750万円未満: 533万円
・750~1000万円未満: 750万円
・1000~1200万円未満: 821万円
・1200万円以上: 1781万円
・無回答: -
債券
全国: 66万円
・収入はない: 1万円
・300万円未満: 14万円
・300~500万円未満: 35万円
・500~750万円未満: 83万円
・750~1000万円未満: 114万円
・1000~1200万円未満: 76万円
・1200万円以上: 195万円
・無回答: -
株式
全国: 260万円
・収入はない: 15万円
・300万円未満: 111万円
・300~500万円未満: 237万円
・500~750万円未満: 219万円
・750~1000万円未満: 348万円
・1000~1200万円未満: 311万円
・1200万円以上: 872万円
・無回答: -
投資信託
全国: 155万円
・収入はない: 41万円
・300万円未満: 65万円
・300~500万円未満: 103万円
・500~750万円未満: 109万円
・750~1000万円未満: 300万円
・1000~1200万円未満: 340万円
・1200万円以上: 437万円
・無回答: -
「債券・株式・投資信託の合計額」と「金融資産保有額全体に占める割合」
全国: 35.01%
・収入はない: 57万円(22.89%)
・300万円未満:190万円(28.74%)
・300~500万円未満: 375万円(35.21%)
・500~750万円未満: 411万円(33.33%)
・750~1000万円未満:762万円(39.30%)
・1000~1200万円未満: 727万円(35.14%)
・1200万円以上: 1504万円(36.00%)
・無回答: -
データを見ると「債券・株式・投資信託」への投資額そのものは年収とある程度相関しています。
しかし、金融資産保有額全体に占める割合を見ると、年収750~1000万円未満の層で割合がやや高くなる(39.30%)ものの、「収入がない」をのぞく他の層ではおおむね30%台です。
ここからは、資産運用が一部の富裕層だけのものではなく、標準的な年収の世帯にも普及している様子がうかがえます。
インフレが進む今、預貯金だけに頼らず、自分に合った無理のない投資で資産を育てることが将来の安心に繋がります。
いわゆる「富裕層」たちの資産規模にはかないませんが、自分のリスク許容度に合った運用方法を選んでいくと良いでしょう。
新しいタイプの富裕層に見る、資産形成のヒント
いかがでしたでしょうか。
日本では投資をきっかけに「いつの間にか富裕層」と呼ばれる人々や「スーパーパワーファミリー」といった新しいタイプの富裕層が増え続けています。背景には、自身の資産の持ち方や運用の工夫があるようです。
実際、データを見ても投資信託や株式といった金融資産への投資割合は、必ずしも一番の高所得層だけが突出しているわけではありません。
富裕層の拡大は「選ばれた一部の人」だけではなく、資産との付き合い方を工夫することがきっかけと言えるでしょう。
これからの生活設計を考えるうえで、富裕層の動向は参考にできるヒントがあるのではないでしょうか。
参考資料
・株式会社不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年6月」
・株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」(2025年2月13日)
・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」