猫が『蛇口から流れる水』が大好きな3つの理由 溜めた水と何が違うの?

猫が『蛇口から流れる水』が大好きな3つの理由 溜めた水と何が違うの?

1.猫はもともと新鮮な水が好き

まず、多くの猫が蛇口の水に夢中になるのは、新鮮さゆえのことです。

蛇口の水のように、常に流れている水は、フレッシュで、病原菌や寄生虫などのリスクの心配があまりありません。つまり、猫にとって安全だということです。逆に、溜まって濁った水に対しては、本能的に「ヤバい!」と判断し、避ける傾向にあります。

砂漠地帯にルーツを持つ猫は、その大昔、捕まえた獲物から必要な水分を摂取してきました。さっきまで生きていた動物の水分を得るわけですから、鮮度抜群です。そういう意味では、みなさんの愛猫が蛇口の水を好むのも、野生本能の延長線上にある、と言えます。

余談ですが、ある種の猫が植木鉢の受け皿の水を飲みたがるのは、土からしみ出したミネラル成分を摂取しようとしているから、という説もあります。ただし、細菌やカビ、残留肥料、猫にとって有害な植物があるなど、安全面を考えても、やめてもらったほうが賢明です。

2.好奇心が刺激される

私たち人間の視覚では、水道の水は「ただの水」です。たとえば、風呂場の蛇口から勢いよく出るお湯に、「すごいなぁ、水が出てるよ、神秘だなぁ…」といちいち感心していたら、気づかないうちに、お風呂の水があふれ返ってしまいます。

猫の場合は、人間とは対照的に、蛇口の水そのものに興味を持つ子もいます。蛇口の水は、ジャージャー音を立てながら、ひたすらまっすぐ落下し続け、光が当たればキラキラと光ります。猫からすると、とても不思議な現象に思えてしかたがないはずです。

好奇心旺盛な猫ほど、動きのある蛇口の水に特別な関心を示す、とも言われています。その証拠に、観察だけでは飽き足らず、果敢にも蛇口の水を飲もうとしたり、猫パンチを繰り出したり。おでこから涼しげな流水が滴り落ちても、まったく気にしません。

人間でもそうですが、猫もまた、好きなことに集中しているときは、我を忘れてしまうのでしょう。

3.いつもの水場に不満がある

3つ目の理由には、いつもの水場が気に食わない、という可能性が挙げられます。

猫の感覚はとても繊細なので、少しでも気に入らない点があると、いっさい見向きしないこともあります。

猫が飲水面で特にこだわるのは、器の飲みやすさです。たとえば、用意された水を飲むたびに、器の縁にヒゲが当たったり、水に濡れたりすると、猫は不快に感じます。

猫のヒゲは鋭い感覚センサーとしての役割があり、障害物との距離感や周辺の温度、獲物の位置などを鋭く感知します。ヒゲが濡れたり、過剰に刺激を与えられたりすると、猫のストレスは人間の想像以上です(別名、ヒゲ疲労)。

蛇口の水は、気をつけさえすれば、ヒゲが濡れることもなく、器の縁に触れるときのような刺激もありません。おまけに、水自体が新鮮で動きもあって、好奇心をついかき立てられてしまいます。愛猫にとっては非常に魅力的です。

子供の世界で言えば、狭いおうちのプールよりも、大自然の清流で水遊びするほうが断然楽しい、といったところでしょうか。

以上の点を踏まえると、愛猫が蛇口の水を好みがちなのは、飲みにくさやヒゲが当たるなど、用意された水場に問題がある、と考えたほうが妥当です。

ちなみに、猫にとって飲みやすい器は、一般的には、間口が広く、深過ぎない(浅めの)器です。普段の通り道にお立ち寄りスポットとして、複数箇所に置いておくと、飲んでくれる確率が高くなります。さらに循環式の自動給水器を導入すれば、より効果的です。

まとめ

今回は、猫が蛇口の水を好む背景として、「野生本能」「好奇心」「水場の違和感」、3つのキーワードをもとに解説しました。

おうちで暮らしても、愛猫には少なからず野生味が残っています。流水に惹かれるのもそのためです。もし愛猫が置いた水を飲みたがらないなら、流水式の自動給水器に変えてみるのもいい方法かもしれません。

適量の水分摂取は、腎臓病などの重い病気の予防策にもなります。飼い主さんは、愛猫が飲みやすいスタイルで、日々の水分補給に取り組んでみてください。