【交通・乗り物NEWS】新潟~上越地域の”鉄道高速化”4ルート案 需要予測が示される ミニ新幹線整備で年間52万~68万人の乗客増との試算 《新潟》

新潟市と上越地域を結ぶ鉄道の高速化について、新潟県の検討委員会が8日に開かれ、既に示されている4つのルート案について、整備された際にどれくらい乗客が増えるかという需要予測などが示されました。

新潟~上越の鉄道高速化などを検討

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この検討委員会は新潟地域と上越地域間のアクセス改善や、上越新幹線と北陸新幹線を結ぶ高速鉄道の整備、地域の活性化策などを検討しています。

上越新幹線と北陸新幹線は新潟県内では接続していません。新潟市と上越地域との間は在来線の特急などが運転されていますが、県の調べでは、この区間は車で移動する人が大半で、所要時間も2時間近くかかります。

委員会ではこれまでに、ミニ新幹線化や信越本線の改良など4つの案が示されています。

4案とはどのような案かというと…。

①「信越本線・トキ鉄はねうまラインミニ新幹線化」案

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この案は上越妙高~長岡にミニ新幹線を走行させるものです。

信越本線の改軌(レールの間隔を変更)や長岡駅と上越妙高駅でのアプローチ線整備(ミニ新幹線が上越・北陸新幹線に乗入れ)などを行います。

②「信越本線・トキ鉄ひすいラインミニ新幹線化」案

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この案は糸魚川~長岡にミニ新幹線を走行させるものです。

信越本線、えちごトキめき鉄道ひすいラインの改軌(レール幅を変更)や長岡駅と糸魚川駅でのアプローチ線整備(ミニ新幹線が上越・北陸新幹線に乗入れ)などを行います。

③「信越本線既存線改良」案

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この案は、ミニ新幹線化をせず、上越妙高~長岡の線路を改良するものです。

短絡トンネル整備や長岡駅でのアプローチ線整備(新幹線と在来線が同一ホームで乗り換え)などを行います。

④「北越急行ミニ新幹線化、長岡~柏崎シャトル化」案

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この案は、上越妙高~浦佐にミニ新幹線を走行させるとともに柏崎~長岡に直通の特急を走行させるものです。

上越妙高駅側と浦佐駅側での短絡線とアプローチ線整備(ミニ新幹線が上越・北陸新幹線に乗入れ)、北越急行ほくほく線のミニ新幹線・在来線の共用化、柏崎~長岡シャトル化での長岡駅のアプローチ線整備(同一ホーム乗り換え)などを行います。

需要予測や費用便益比が示される

新潟県資料より TeNYテレビ新潟

今回の委員会では、各案の需要予測や費用便益比が示されました。(画像参照)

2050年の開業、北陸新幹線が新大阪まで開業済みなどの想定で、将来人口の推計値などを前提に試算した結果(暫定)です。

まず「需要予測」は、整備しなかった場合と比べて、年間で乗客がどれだけ増えるか試算したものです。(①②④案は新大阪~新潟でミニ新幹線が走行する前提試算)

《需要予測》

①「信越本線・はねうまラインミニ新幹線化」案

  +68万人 / 年

②「信越本線・ひすいラインミニ新幹線化」案

  +67万人 / 年

③「信越本線改良」案

  +18万人 / 年

④「北越急行ミニ新幹線化」案

  +52万人 / 年

①「信越本線・はねうまラインミニ新幹線化」案、②「信越本線・ひすいラインミニ新幹線化」案が比較的多くなりました。

③「信越本線改良」案については、乗り換えの発生や時短効果が小さいなどのため、④「北越急行ミニ新幹線化」案については、県内移動分がマイナスになるとの試算が出たことなどから、どちらも①②案より少なくなりました。

新潟~上越地域を走る特急しらゆき TeNYテレビ新潟

次に「費用便益比」です。

これは、時間短縮や直通など、整備によって得られる「便益」のうち「金銭に換算できるもの」を、整備費用で割ったものです。

「1」を超えれば便益が費用を上回り、数値が大きいほど、社会的に見て効率的な事業と評価されることになります。

《費用便益比》

①「信越本線・はねうまラインミニ新幹線化」案

  0.9~1.4程度

②「信越本線・ひすいラインミニ新幹線化」案

  0.7~1.2程度

③「信越本線改良」案

  0.1~0.2程度

④「北越急行ミニ新幹線化」案

  0.5~0.8程度

①案と②案は、「1」を超える場合もあるという結果でした。

③案は需要をあまり生み出さないため、④案は需要に比べ費用がかかるなどのため、どちらも「1」を下回っています。

特急しらゆき TeNYテレビ新潟

県によりますと、委員会では「金銭に換算できない『定性的な整備効果』も重視しなければならない」という意見が出たということです。

委員会では今後、大規模災害時の太平洋側の代替ルートとしての役割、輸送安定性の向上、企業立地・通勤圏の拡大、観光客の増加といった「定性的な整備効果」について、より深掘りしていきたいとしています。