【年金生活者支援給付金】に注目 年金額が少なかったとしても「老後の生活をサポートするための制度」がある

厚生年金と国民年金の平均額はいくらか

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【年金生活者支援給付金】に注目 年金額が少なかったとしても「老後の生活をサポートするための制度」がある

老後生活に入ったとき、年金だけでゆとりのある生活を送れるのか疑問に思う人は多いです。そもそもの生活資金に不安を感じている方も、少なくないかもしれません。

日本の年金制度は、働き方や加入期間によって受給額に大きな差が出ます。そのため「自分はいくらもらえるのかわからなくて不安になる…」誰もが1度や2度はこんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。

今の生活を犠牲にしてでも「やみくもに老後のために貯金を」と焦ってしまうかもしれませんが、まずは正しい知識を身に着けることが先です。

もし年金額が少なかったとしても、国には老後の生活をサポートするためのさまざまな制度があります。

この記事では、公的年金に上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」について解説します。

給付金の対象者や、自宅に届く申請書の手続き方法も具体的に紹介するので、自分の受給額に不安を感じている方は、どのような支援制度があるかを確認し、いざという時のために備えておきましょう。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

「年金生活者支援給付金」制度とは?3種類ある

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「年金生活者支援給付金」とは?

「年金生活者支援給付金」とは、公的年金を含めても所得が一定基準額以下となる人を対象とする給付金です。

一度きりの支給ではなく、「2カ月に一度の年金支給日に、公的年金へ上乗せして受け取ることができる」のが特徴です。

年金生活者支援給付金は、受給中の年金種類に合わせて3種類あります。

年金生活者支援給付金は3種類

・老齢年金生活者支援給付金(補足的老齢年金生活者支援給付金)

・障害年金生活者支援給付金

・遺族年金生活者支援給付金

それぞれの支給要件などを確認しましょう。

「年金生活者支援給付金」の対象者

それぞれの年金生活者支援給付金について、支給要件を見ていきます。

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「年金生活者支援給付金」は3種類

「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件

・65歳以上の老齢基礎年金の受給者

・同一世帯の全員が市町村民税非課税

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。

※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金(※3)」が支給されます。

※3「補足的老齢年金生活者支援給付金」とは:所得が基準額を超えても一定範囲内であれば受給でき、所得が増えるにつれて給付額は減少するしくみとなっています。

「障害年金生活者支援給付金」の支給要件

・障害基礎年金の受給者である

・前年の所得(※)が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額)

※ 障害年金等の非課税収入は除く

「遺族年金生活者支援給付金」の支給要件

・遺族基礎年金の受給者である

・前年の所得(※)が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額)

※ 遺族年金等の非課税収入は除く

それぞれの給付金において、上記の要件をすべてを満たす場合に「年金生活者支援給付金」の支給対象に該当します。

では、具体的にどれほどの金額が支給されるのでしょうか。金額は毎年改定されており、2025年度は2.7%引き上げられています。

年金生活者支援給付金制度の給付額が2.7%引き上げ。年額は最大で約6万円

2025年度分の年金生活者支援給付金は、前年の物価変動率に基づき2.7%の引き上げとなりました。年額では最大で約6万円になるケースもあります。

【2025年度】年金生活者支援給付金の給付額

年金生活者支援給付金の給付額

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出所:日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」

・老齢年金生活者支援給付金の基準額:月額5450円

・障害年金生活者支援給付金:障害等級1級6813円・2級5450円

・遺族年金生活者支援給付金:月額5450円

老齢年金生活者支援給付金については、上記の基準額をもとに保険料納付状況(※保険料納付済期間や免除期間)に応じて計算されます。実際に受け取る金額には個人差が出る点は留意が必要です。

支給要件を満たすと、月額で最大約5000円、1回の年金支給で最大約1万円、年額にすると最大約6万円が、年金に上乗せされることになります。

ただし、この「年金生活者支援給付金」を受け取るためには手続きが必要です。次で見ていきましょう。

年金生活者支援給付金の請求書が届いたらどうする?

年金生活者支援給付金を受給するためには、申請手続きが必要です。基本的には対象となる人にお知らせを兼ねた請求書が届くため、支給漏れが起こる可能性は少ないです。

しかし、提出しないと「1円も」受け取ることができないことを覚えておきましょう。

現在の年金状況により、日本年金機構から届く書類は違います。ここでは「これから老齢年金の受給をスタートする人」と「すでに年金を受給している人」の2パターンを解説します。

パターン1:これから老齢年金の受給をスタートする人

これから年金の受給を開始する人が、年金生活者支援給付金の支給対象となった場合は、老齢基礎年金の請求書に給付金請求書が同封されます。

給付金請求書に必要事項を記入し、老齢基礎年金の請求書と一緒に提出しましょう。

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これから老齢年金を受給スタートする人の申請方法

なお支給要件に該当するか確認できない場合には、上記の「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」とともに、所得情報等を確認するための所得状況届が送られてきます。

パターン2:すでに年金を受給している人

すでに年金を受給中で、新たに年金生活者支援給付金の対象となった場合、 毎年9月1日以降に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。

請求書の指定部分に必要事項を記入し、切手を貼って返送しましょう。

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すでに年金を受給している人の手続き方法

なお、年金を繰上げ受給中の人には上記とは異なる様式の書類が届きます。

いずれの場合も、申請手続きを一度おこなうと、翌年度以降は基本的に手続き不要で受給が可能となります。支給要件を満たさなくなった場合には、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届きます。

【老齢年金】国民年金・厚生年金の平均年金月額はいくらか

年金が少ない人には年金生活者支援給付金が支給されることがあります。

できれば年金自体の金額が高いに越したことがないと思いますよね。ここからは厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、国民年金と厚生年金の受給額を見ていきましょう。

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年金月額階級別老齢年金受給権者数(男女別)

国民年金の平均月額

・全体 5万7584円

・男性 5万9965円

・女性 5万5777円

厚生年金の平均月額

・全体 14万6429円

・男性 16万6606円

・女性 10万7200円

国民年金のみの受給権者は、全体、男女別ともに平均月額は5万円台。満額受給の場合でも7万円弱です。一定の要件を満たす場合、老齢年金生活者支援給付金の支給対象となります。

一方、厚生年金の受給権者の場合、平均月額は全体で14万円台でした。国民年金のみの受給権者と比較すると受給額は高めですが、男女別に見ると、男性は16万円台、女性は10万円台と大きな開きがあります。

厚生年金の受給額ごとの人数分布

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厚生年金の平均額(全年齢)

・1万円未満:4万4420人

・1万円以上~2万円未満:1万4367人

・2万円以上~3万円未満:5万231人

・3万円以上~4万円未満:9万2746人

・4万円以上~5万円未満:9万8464人

・5万円以上~6万円未満:13万6190人

・6万円以上~7万円未満:37万5940人

・7万円以上~8万円未満:63万7624人

・8万円以上~9万円未満:87万3828人

・9万円以上~10万円未満:107万9767人

・10万円以上~11万円未満:112万6181人

・11万円以上~12万円未満:105万4333人

・12万円以上~13万円未満:95万7855人

・13万円以上~14万円未満:92万3629人

・14万円以上~15万円未満:94万5907人

・15万円以上~16万円未満:98万6257人

・16万円以上~17万円未満:102万6399人

・17万円以上~18万円未満:105万3851人

・18万円以上~19万円未満:102万2699人

・19万円以上~20万円未満:93万6884人

・20万円以上~21万円未満:80万1770人

・21万円以上~22万円未満:62万6732人

・22万円以上~23万円未満:43万6137人

・23万円以上~24万円未満:28万6572人

・24万円以上~25万円未満:18万9132人

・25万円以上~26万円未満:11万9942人

・26万円以上~27万円未満:7万1648人

・27万円以上~28万円未満:4万268人

・28万円以上~29万円未満:2万1012人

・29万円以上~30万円未満:9652人

・30万円以上~:1万4292人

平均以上となる「月額15万円以上」の厚生年金を受け取っている人の割合は、全体の「47.6%」のようです。

受給額次第では、厚生年金を受け取る場合でも老齢年金生活者支援給付金の支給対象となる可能性はあるでしょう。

まとめにかえて

老後に受け取れる年金額には個人差があります。

受給額によっては国からの補助を受けられるケースもあるので、どのような制度があるかを確認しておくようにしましょう。

特に、年金生活者支援給付金は比較的新しくできた制度で、具体的な中身について知らなかった人も多いのではないでしょうか。

自宅に申請書類が届いた場合、忘れずに手続きを進めるようにしましょう。

その他にも、政府は低所得者を対象とした支援策を講じており、給付金支給だけでなく一時的な貸付を受けられるケースもあります。

困ったことがあったら、最寄りの関係機関へ相談してみましょう。

参考資料

・厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」

・日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」

・日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」

・日本年金機構「年金生活者支援給付金が不該当になった理由は何ですか。」