【次回支給日10月15日】最大約6万円が年金に上乗せ!年金生活者支援給付金が振り込まれるのはどんな人?
「みんながもらえるわけではない」所得要件など確認してもらい忘れがないように手続きフローを要チェック!
【次回支給日10月15日】最大約6万円が年金に上乗せ!年金生活者支援給付金が振り込まれるのはどんな人?
先週は今年4回目の年金支給日でした。厚生労働省によると、厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額は全体で14万6429円、男性16万6606円、女性10万7200円と約6万円の差があることがわかります。
【国民年金・厚生年金】平均年金月額&個人差・男女差
また、国民年金(老齢基礎年金)は全体で5万7584円、男女とも5万円台にとどまり、未納や免除による影響も見られます。受給者の多くは6万~7万円台で、2025年度満額の6万9308円に近い水準であることがわかります。
個人差が大きい日本の年金制度ですが、受け取る年金が少額など一定基準に該当する人を支援するために「年金生活者支援給付金」があります。いったいどんなしくみなのか、今回は「年金生活者支援給付金」について詳しくみていきましょう。
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「3種類の年金生活者支援給付金」それぞれの支給要件とは
「年金生活者支援給付金」は、基礎年金を受給中で、年金等の収入や所得の合計額が一定基準以下となる場合に受け取ることができるお金です。
《老齢・障害・遺族》年金生活者支援給付金は3種類
出所:厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」
「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件
老齢年金生活者支援給付金の対象は、下記の支給要件をすべて満たす方です。
・65歳以上の老齢基礎年金の受給者
・同一世帯の全員が市町村民税非課税
・前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
「障害年金生活者支援給付金」の支給要件
・障害基礎年金の受給者である
・前年の所得(※)が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 障害年金等の非課税収入は除く
「遺族年金生活者支援給付金」の支給要件
・遺族基礎年金の受給者である
・前年の所得(※)が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 遺族年金等の非課税収入は除く
3種類の年金生活者支援給付金は、いずれの種類においても、前年の所得額が支給要件として定められています。
物価変動に応じて見直される年金生活者支援給付金「今年度はいくら?」
年金生活者支援給付金は、公的年金と同様に毎年度、物価変動に応じて支給額の見直しが行われる決まりです。
2025年度については前年度より+2.7%の増額改定に。
この増額率は6月に支給された4月分給付金から適用されています。
2025年度は+2.7%の増額「年金生活者支援給付金」支給金額はいくら?
出所:日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
・老齢年金生活者支援給付金(基準額):5450円
・障害年金生活者支援給付金:障害等級1級6813円・2級5450円
・遺族年金生活者支援給付金:5450円
老齢年金生活者支援給付金のみ、上記の基準額をもとに保険料納付済期間や免除期間に応じて実際の給付額が計算されるため、個人差が出ます。
「自動的にもらえるわけではない」年金生活者支援給付金の手続きフロー
年金生活者支援給付金は、請求手続きを行わないと受け取ることはできません。支給要件を満たせば自然に年金に上乗せされるものではないのです。
ここでは、「これから新たに老齢年金を受け取る人」と、「すでに年金を受給中の人」、それぞれのケースに分けて手続き方法を解説します。
新たに老齢年金を受け取り始める人
・65歳になる3カ月前に、年金受給に必要な「年金請求書(事前送付用)」に同封されて、「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」が届きます
・必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金請求書と併せて年金事務所に提出します
すでに年金受給中の人
・毎年9月の第1営業日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます
・必要事項を記載し、切手を貼ってポストに投函します
年金生活者支援給付金請求手続きのご案内
年金生活者支援給付金は、一度請求手続きをおこなえば、翌年以降は支給要件を満たす限り自動で継続して受け取れます。
また、原則として請求した月の翌月分から支給が開始されます。
【国民生活基礎調査】今どきシニアの暮らしを見てみる
平均額だけでは見えにくい年金の個人差は、シニアの生活実感にどう影響しているのでしょうか。
厚生労働省の「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の生活意識に関するリアルな結果を見てみましょう。
※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯
出所:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
高齢者世帯の生活意識
・大変苦しい:25.2%
・やや苦しい:30.6%
・普通:40.1%
・ややゆとりがある:3.6%
・大変ゆとりがある:0.6%
この調査結果からは、シニア世帯の暮らし向きが、経済状況によって大きく3つの層に分かれている様子が見えてきます。
まず、半数以上(55.8%)が「大変苦しい」「やや苦しい」と回答し、日々の生活に経済的な厳しさを感じています。
その一方で、「ややゆとりがある」「大変ゆとりがある」と回答した世帯は合計してもわずか4.2%。経済的な余裕を実感できているシニア世帯はごく一握りのようです。
日々の暮らしを支える「年金生活者支援給付金」
今回は、「年金生活者支援給付金」について解説しました。今年度プラス2.7%増額改定された基準額をもとに保険料納付済期間や免除期間に応じて実際の給付額が計算されるため、老齢年金生活者支援給付金には個人差が出ます。2019年の消費増税を機にはじまった給付金制度なので、知らない人もまだまだ多数いるのが現状です。
「申請しないともらえないしくみ」なので、まずは自分が対象に当てはまるかどうか確認することをおすすめします。
参考資料
・厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」
・厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
・日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
・日本年金機構「年金生活者支援給付金請求手続きのご案内リーフレット」
・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」用語の説明