【国民年金+厚生年金】「年240万円超」もらっている人は何%いる?《年金を増やす方法》「付加年金制度」と「繰下げ受給」も解説
- 【単身世帯】65歳以上無職世帯は平均で「毎月2万7817円の赤字」に…。
- 「国民年金と厚生年金」両方を老後に受け取れるのはどんな人?
- 【国民年金(1階部分)】加入対象・年金保険料・老後の受給額・被保険者
- 【厚生年金(2階部分)】加入対象・年金保険料・老後の受給額・被保険者
- 現シニアが受け取っている「国民年金と厚生年金」の平均月額はいくら?
- 「国民年金+厚生年金」の平均月額はいくら?
- 「国民年金のみ」の平均月額はいくら?
- 国民年金+厚生年金「年240万円超」もらっている人は何%いる?
- 【年金を増やす方法】「付加年金制度」と「繰下げ受給」を解説
- 【厚生年金に加入していない人向け】国民年金の「付加年金制度」とは?
- 【国民年金・厚生年金どちらも利用可能】最大84%年金増額「繰下げ受給」とは?
- 「公的年金だけ」でゆとりある老後を送るのは難しい傾向に
【単身世帯】65歳以上無職世帯の《平均的な家計収支》もチェック!
【国民年金+厚生年金】「年240万円超」もらっている人は何%いる?《年金を増やす方法》「付加年金制度」と「繰下げ受給」も解説
「国民年金や厚生年金」は2025年度の増額改定で、前年度と比較して1.9%増えています。
しかし実際のところ、公的年金の増額改定を上回る物価の上昇が続いています。
そのため「家計が大変」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
家族構成やライフスタイルなどによって老後生活に必要な生活費は異なりますが、年金をどれくらい受給できるのか確認しておくことも大切です。
今回は、国民年金+厚生年金を「年240万円超」もらっている人は何%いるのか解説します。
【単身世帯】65歳以上無職世帯の平均的な家計収支もご紹介しますので、ぜひ参考にご覧ください。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
【単身世帯】65歳以上無職世帯は平均で「毎月2万7817円の赤字」に…。
《単身》65歳以上無職世帯の平均的な毎月の家計収支
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の無職単身世帯では、月平均で約2万7817円の赤字が発生しています。
《単身》65歳以上無職世帯の平均的な毎月の家計収支
・実収入:13万4116円
・消費支出:14万9286円
・非消費支出:1万2647円
・赤字:2万7817円
公的年金は偶数月に2か月分まとめて支給される仕組みですが、国民年金と厚生年金の加入対象となる人はどのような方なのでしょうか。
「国民年金と厚生年金」両方を老後に受け取れるのはどんな人?
ここからは、国民年金と厚生年金に加入する対象者について説明します。
日本の公的年金制度は二階建ての仕組みで構成されており、基礎となる1階部分が「国民年金(基礎年金)」、その上に重なる2階部分が「厚生年金」となっています。
【国民年金(1階部分)】加入対象・年金保険料・老後の受給額・被保険者
・加入対象:日本に住む20歳以上から60歳未満の全ての人が原則加入
・年金保険料:全員一律(※1)
・老後の受給額:40年間欠かさず納めれば満額(※2)
※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円
※3 第1号被保険者は農業者・自営業者・学生・無職の人など、第2号被保険者は厚生年金の加入者、第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている配偶者
【厚生年金(2階部分)】加入対象・年金保険料・老後の受給額・被保険者
・加入対象:会社員や公務員、またパート・アルバイトで特定適用事業所(※4)に働き一定要件を満たした方が、国民年金に上乗せで加入
・年金保険料:収入に応じて決まり(※5)、給与からの天引きで納付
・老後の受給額:加入期間や納めた保険料により個人差あり
・被保険者:第1号~第4号に分かれる(※6)
※4 1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※5 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。
※6 第1号は、第2号~第4号以外の、民間の事業所に使用される人、第2号は国家公務員共済組合の組合員、第3号は地方公務員共済組合の組合員、第4号は私立学校教職員共済制度の加入者
公的年金は偶数月の15日に前の2か月分がまとめて支給され、もし15日が土日や祝日にあたる場合は、その直前の平日が支給日となります。
直近の支給日は2025年6月13日(金)、次回は8月15日(金)です。
では、国民年金と厚生年金の平均月額はいくらなのか、全体および男女別の平均額を紹介します。
現シニアが受け取っている「国民年金と厚生年金」の平均月額はいくら?
厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金と厚生年金の平均月額は以下の結果となっています。
厚生年金・国民年金の平均月額(2023年度末現在)
「国民年金+厚生年金」の平均月額はいくら?
・男女全体平均月額:14万6429円
・男性平均月額:16万6606円
・女性平均月額:10万7200円
「国民年金のみ」の平均月額はいくら?
・男女全体平均月額:5万7584円
・男性平均月額:5万9965円
・女性平均月額:5万5777円
厚生年金と国民年金を合わせて年間240万円以上の年金を受給している人の割合は、厚生年金受給者全体の約16.3%です。
この割合は、あくまで厚生年金を受給している人の中での数字です。
国民年金のみを受給している人を含めると、年間240万円以上の年金を受け取っている人の割合はさらに低くなると考えられます。
国民年金の満額受給額は、2025年度で月額6万9308円、年間で約83万円で、これに厚生年金が加わることで、年間240万円以上の受給額となるケースが増えます。
ただし、厚生年金の受給額は、加入期間や平均標準報酬月額などにより個人差が大きく、すべての厚生年金受給者が年間240万円以上を受け取っているわけではありません。
年金受給額や生活費の状況は個人差が大きいため、ご自身の年金見込額や生活設計をしっかりと確認し、必要に応じて公的年金制度や支援制度を活用することが重要です。
国民年金+厚生年金「年240万円超」もらっている人は何%いる?
厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、「厚生年金」の受給額ごとの受給権者数を紹介していきます。
厚生年金の受給額ごとの受給権者数
・20万円以上~21万円未満:80万1770人
・21万円以上~22万円未満:62万6732人
・22万円以上~23万円未満:43万6137人
・23万円以上~24万円未満:28万6572人
・24万円以上~25万円未満:18万9132人
・25万円以上~26万円未満:11万9942人
・26万円以上~27万円未満:7万1648人
・27万円以上~28万円未満:4万268人
・28万円以上~29万円未満:2万1012人
・29万円以上~30万円未満:9652人
・30万円以上~:1万4292人
国民年金と厚生年金を合わせて、月額20万円以上(年額240万円超)を受給している人は全体の16.3%に過ぎません。
つまり、約8割以上の方は月20万円未満の年金で生活していることになります。
一般的に、老後の年金収入は現役時代の収入に比べて減少する傾向があります。
では、年金額を増やすためにはどのような方法があるのでしょうか。
【年金を増やす方法】「付加年金制度」と「繰下げ受給」を解説
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国民年金の未納期間がある方は、「追納」を行うことで、将来の年金受給額を満額に近づけることが可能です。
一方、厚生年金に加入している方は、加入期間が老後の年金額に大きく影響するため、年収が増えれば将来受け取れる年金額も増加する傾向にあります。
ただし、国民年金には「満額」、厚生年金には「上限額」が設定されているため、年収を上げることで無制限に年金額が増えるわけではありません。
ここでは、老後の年金受給額を増やす方法として、「付加年金制度」と「繰下げ受給」について説明します。
【厚生年金に加入していない人向け】国民年金の「付加年金制度」とは?
国民年金の「付加年金制度」とは、基本の国民年金保険料に月額400円の「付加保険料」を追加で支払うことで、将来の国民年金受給額を増やせる制度です。
なお、2025年度の国民年金の基本保険料は1万7510円となっています。
国民年金付加年金制度
「付加保険料」納付できる人
・国民年金第1号被保険者
・65歳未満の任意加入被保険者
「付加保険料」納付できない人と
・国民年金保険料の納付を免除されている人(法定免除、全額免除、一部免除、納付猶予、または学生納付特例)
・国民年金基金の加入員である人
※個人型確定拠出年金(iDeCo)と付加年金は同時に加入することができますが、個人型確定拠出年金の納付額によっては併用ができない場合があります。
「付加保険料」20歳~60歳の40年間納付したケース例
65歳以降に受給できる「付加年金額」は、納めた付加保険料の月数に200円を掛けた金額になります。
たとえば、20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)すべてに付加保険料を納めた場合、以下のように計算されます。
・40年間に納付した付加保険料の総額:19万2000円(400円×480カ月)
・65歳以降に受け取れる付加年金額(年間):9万6000円(200円×480カ月)
毎年の年金受給額に約9万6000円が加算されることになります。
また、40年間に支払う付加保険料の総額は19万2000円となるため、わずか2年で元が取れる計算です。
【国民年金・厚生年金どちらも利用可能】最大84%年金増額「繰下げ受給」とは?
繰下げ受給とは、老齢年金の受給開始を遅らせる代わりに、その遅らせた期間に応じて受給額が増加する制度です。
受給開始は66歳から75歳までの間で、1カ月単位で繰り下げることが可能です。
繰下げ増額率早見表
繰下げ受給の増額率=65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数×0.7%(最大84%)
・(例1)1年間繰り下げた場合・・・0.7%×12カ月=8.4%増
・(例2)70歳まで繰り下げた場合・・・0.7%×60カ月=42%増
・(例3)75歳まで繰り下げた場合…0.7%×120カ月=84%増
老齢基礎年金と老齢厚生年金は、それぞれ別々に繰下げることも可能です。
増額された年金額は生涯にわたって続くため、慎重に検討して選択することが重要です。
繰下げ受給の最大のメリットは、受け取る年金額が増えることですが、繰下げ期間中の生活費の確保や健康状態も考慮して判断する必要があります。
さらに、繰下げによって年金生活者支援給付金や医療保険、介護保険の自己負担額、税金などに影響が出る場合があるため、注意が必要です。
※昭和27年4月1日以前生まれの方(または平成29年3月31日以前に老齢基礎(厚生)年金を受け取る権利が発生している方)は、繰下げの上限年齢が70歳(権利が発生してから5年後)までとなりますので、増額率は最大で42%となります。
「公的年金だけ」でゆとりある老後を送るのは難しい傾向に
本記事では、年間240万円以上の公的年金を受け取っている方の割合や、公的年金の平均受給金額について確認してきました。
老後に受け取れる年金額には個人差がありますが、実際年間240万円以上の公的年金を受け取っている方は少ないため、公的年金だけでゆとりある老後を送るのは難しいかもしれません。
現役世代のうちから、老後生活に向けての準備を検討してみてはいかがでしょうか。
参考資料
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・日本年金機構「年金の繰下げ受給」
・日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
・総務省「2020年基準 消費者物価指数 東京都区部 2025年(令和7年)5月分(中旬速報値)」
・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」