【年金生活者支援給付金】9月頃請求書送付!いつから支給対象になる?月額いくらもらえるの?よくある疑問にお答え
- 年金生活者支援給付金は「老齢・障害・遺族」の3種類
- 「老齢年金生活者支援給付金」の要件
- 「障害年金生活者支援給付金」の要件
- 「遺族年金生活者支援給付金」の要件
- 【2025年度の給付額は前年度比2.7%増額】給付基準額はいくら?
- 【9月請求書送付】年金生活者支援給付金の申請方法
- 「新規に老齢年金を受け取り始める人」が年金生活者支援給付金の支給対象となった場合
- 「すでに年金を受給中」で、新たに年金生活者支援給付金の支給対象となった場合
- 請求後いつから支給対象になるの?
- 【シニアの平均月額一覧】60歳代《厚生年金と国民年金》の平均額を1歳刻みでチェック
- 【60歳代】厚生年金の年金一覧表(60〜69歳)
- 【60歳代】国民年金の年金一覧表(60〜69歳)
- 【シニアの平均月額一覧】70歳代《厚生年金と国民年金》の平均額を1歳刻みでチェック
- 【70歳代】厚生年金の年金一覧表(70〜79歳)
- 【70歳代】国民年金の年金一覧表(70〜79歳)
- 【シニアの平均月額一覧】80歳代《厚生年金と国民年金》の平均額を1歳刻みでチェック
- 【80歳代】厚生年金の年金一覧表(80〜89歳)
- 【80歳代】国民年金の年金一覧表(80〜89歳)
- 年金には「個人差」がある?男女別の一覧で見る
- 《厚生年金の平均年金月額》
- 《国民年金の平均年金月額》
- 【年金制度改正】全体像を把握しておこう《5つのポイント》
- 年金制度改正の全体像
- 将来の年金見込み額を把握し、不安があれば増額方法を検討しよう
【2025年度は2.7%増額】給付金の対象者、給付基準額、申請の流れまで分かりやすく解説
【年金生活者支援給付金】9月頃請求書送付!いつから支給対象になる?月額いくらもらえるの?よくある疑問にお答え
厳しい暑さが続く8月は、冷房代や食費がかさみ、年金暮らしの家計にとって負担の大きい季節です。少しでも生活の助けになる制度を知っておくことは、この時期の家計管理に役立ちます。
そのひとつが「年金生活者支援給付金」です。これは、所得が一定基準以下の年金受給者に対して、毎月の年金に上乗せして支給される給付金で、申請しないと受け取れないのが大きなポイントです。
2025年度は物価上昇に伴い、給付額が前年より2.7%増額され、老齢年金生活者支援給付金の基準額は月額5450円となっています。
この記事では、制度の概要、対象条件、給付額の目安、申請の流れについてわかりやすく整理しました。知らずに受け取っていない方も少なくないため、この夏の家計対策として、ぜひ確認してみてはいかがでしょうか。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
年金生活者支援給付金は「老齢・障害・遺族」の3種類
公的年金等の収入金額やその他の所得が一定基準に満たない人を対象に、公的年金に上乗せして「年金生活者支援給付金」が支給されています。
「年金生活者支援給付金」は、「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」それぞれの年金ごとに設けられています。
出所:厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」
「老齢年金生活者支援給付金」の要件
・65歳以上の老齢基礎年金の受給者
・同一世帯の全員が市町村民税非課税
・前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
「障害年金生活者支援給付金」の要件
・障害基礎年金の受給者である
・前年の所得(※1)が472万1000円以下である(※2)
※1 障害年金等の非課税収入は除く
※2 扶養親族等の数に応じて増減される
「遺族年金生活者支援給付金」の要件
・遺族基礎年金の受給者である
・前年の所得(※3)が472万1000円以下である(※4)
※3 遺族年金等の非課税収入は除く
※4 扶養親族等の数に応じて増減される
年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、それぞれの給付金において上記の要件をすべて満たしている場合です。
【2025年度の給付額は前年度比2.7%増額】給付基準額はいくら?
2025年度の「年金生活者支援給付金」の給付額について確認していきましょう。
年金生活者支援給付金は、公的年金と同様に年度ごとに見直しがおこなわれます。
2025年度の給付額は、前年度より2.7%引き上げられました。
出所:日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
・老齢年金生活者支援給付金(基準額):5450円(月額)
・障害年金生活者支援給付金:1級6813円・2級5450円(月額)
・遺族年金生活者支援給付金:5450円(月額)
老齢年金生活者支援給付金のみ上記は「基準額」となります。実際の支給額は、この「基準額」をもとに保険料納付済期間などに基づいて計算されます。
【9月請求書送付】年金生活者支援給付金の申請方法
「年金生活者支援給付金」の対象となる人には、通知を兼ねた請求書が日本年金機構から郵送されます。届いた人は、氏名など必要事項を記入して返送しましょう。
年金の受給状況により、請求書送付のタイミングや形式が異なります。いつ発送されるのかなど、ここでは該当者が多い2つのパターンについて紹介します。
「新規に老齢年金を受け取り始める人」が年金生活者支援給付金の支給対象となった場合
出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
これから65歳を迎える人には、誕生日の3カ月前に、年金受給に必要な「年金請求書(事前給付用)」に同封されて給付金請求書が届きます。
同封されている給付金請求書に必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降、年金事務所に年金の請求書と併せて提出しましょう。
「すでに年金を受給中」で、新たに年金生活者支援給付金の支給対象となった場合
毎年9月の第1営業日以降、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。請求書の必要事項を記入し、切手を貼付の上ポストに投函すれば手続き完了です。
なお、すでに年金を受け取っている人の中でも、繰上げ受給をしている場合は書類の様式が異なるため注意しましょう。
請求後いつから支給対象になるの?
「年金生活者支援給付金」を請求後、実際にいつからが支給対象となるのでしょうか。
「年金生活者支援給付金」の支給対象となるのは、原則として「手続きをおこなった翌月分」からです。
ただし、新規に基礎年金の受給権を得た人の場合は異なるため注意しましょう。
受給権を得た日(※)から3カ月以内に「年金生活者支援給付金」の認定請求の手続きをおこなうことで、年金の受給権を得た日に「年金生活者支援給付金」の認定請求の手続きもおこなったものとみなされるため、さかのぼって支払われます。
受給権を得た日から3カ月を過ぎた場合は、手続きをおこなった翌月分から支給対象となります。もらいそびれないためにも、申請書類は早めに提出しましょう。
※老齢基礎年金の繰上げ受給中の人は、65歳到達の日。老齢基礎年金の繰下げ受給を選択する人は、繰下げの申出を行った日。
【シニアの平均月額一覧】60歳代《厚生年金と国民年金》の平均額を1歳刻みでチェック
今のシニア世代は、公的年金をどの程度受け取れているのでしょうか。
厚生労働省が公表している資料「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、60歳代・70歳代・80歳代の各年齢における平均年金月額を、1歳刻みで見ていきます。
※以下、厚生年金の月額にはすべて国民年金部分が含まれます。
【60歳代】厚生年金の年金一覧表(60〜69歳)
出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
・60歳:厚生年金9万6492円
・61歳:厚生年金10万317円
・62歳:厚生年金6万3244円
・63歳:厚生年金6万5313円
・64歳:厚生年金8万1700円
・65歳:厚生年金14万5876円
・66歳:厚生年金14万8285円
・67歳:厚生年金14万9205円
・68歳:厚生年金14万7862円
・69歳:厚生年金14万5960円
【60歳代】国民年金の年金一覧表(60〜69歳)
出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
・60歳:国民年金4万3638円
・61歳:国民年金4万4663円
・62歳:国民年金4万3477円
・63歳:国民年金4万5035円
・64歳:国民年金4万6053円
・65歳:国民年金5万9599円
・66歳:国民年金5万9510円
・67歳:国民年金5万9475円
・68歳:国民年金5万9194円
・69歳:国民年金5万8972円
64歳までは繰上げ受給を選択した人のほか、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引上げにより報酬比例部分のみを受け取る人の年金額です。
そのため、65歳以降と比べると低めの金額となっています。
【シニアの平均月額一覧】70歳代《厚生年金と国民年金》の平均額を1歳刻みでチェック
引き続き、70歳~79歳の平均年金月額を確認します。
【70歳代】厚生年金の年金一覧表(70〜79歳)
出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
・70歳:厚生年金14万4773円
・71歳:厚生年金14万3521円
・72歳:厚生年金14万2248円
・73歳:厚生年金14万4251円
・74歳:厚生年金14万7684円
・75歳:厚生年金14万7455円
・76歳:厚生年金14万7152円
・77歳:厚生年金14万7070円
・78歳:厚生年金14万9232円
・79歳:厚生年金14万9883円
【70歳代】国民年金の年金一覧表(70〜79歳)
出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
・70歳:国民年金5万8956円
・71歳:国民年金5万8569円
・72歳:国民年金5万8429円
・73歳:国民年金5万8220円
・74歳:国民年金5万8070円
・75歳:国民年金5万7973円
・76歳:国民年金5万7774円
・77歳:国民年金5万7561円
・78歳:国民年金5万7119円
・79歳:国民年金5万7078円
【シニアの平均月額一覧】80歳代《厚生年金と国民年金》の平均額を1歳刻みでチェック
最後に、80歳代の平均年金月額も1歳刻みで見てみましょう。
【80歳代】厚生年金の年金一覧表(80〜89歳)
出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
・80歳:厚生年金15万1580円
・81歳:厚生年金15万3834円
・82歳:厚生年金15万6103円
・83歳:厚生年金15万8631円
・84歳:厚生年金16万59円
・85歳:厚生年金16万1684円
・86歳:厚生年金16万1870円
・87歳:厚生年金16万2514円
・88歳:厚生年金16万3198円
・89歳:厚生年金16万2841円
【80歳代】国民年金の年金一覧表(80〜89歳)
出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
・80歳:国民年金5万6736円
・81歳:国民年金5万6487円
・82歳:国民年金5万6351円
・83歳:国民年金5万8112円
・84歳:国民年金5万7879円
・85歳:国民年金5万7693円
・86歳:国民年金5万7685円
・87歳:国民年金5万7244円
・88歳:国民年金5万7076円
・89歳:国民年金5万6796円
65歳以降の平均年金月額を見ると、厚生年金は14~16万円台、国民年金は5万円台となっています。ただし、現役時代の年金加入状況によって一人ひとりが受け取る年金額は異なります。
年金には「個人差」がある?男女別の一覧で見る
同資料「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、「年金の個人差」について見ていきます。
60歳以上の全受給権者が受け取る年金額において、男女差・個人差に着目してみてください。
出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
《厚生年金の平均年金月額》
〈全体〉平均年金月額:14万6429円
・〈男性〉平均年金月額:16万6606円
・〈女性〉平均年金月額:10万7200円
《国民年金の平均年金月額》
〈全体〉平均年金月額:5万7584円
・〈男性〉平均年金月額:5万9965円
・〈女性〉平均年金月額:5万5777円
厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額は、全体で14万円。しかし、男女別で見ると男性が16万円台なのに対し女性は10万円台と、大きな開きがあることがわかります。
なお、国民年金のみを受け取る場合は男女ともに平均年金月額は5万円台です。
ただし、グラフを見てみると、厚生年金の受給者でも月額2万円未満となる人から月額30万円を超える人まで、幅広く分布していることがわかります。
【年金制度改正】全体像を把握しておこう《5つのポイント》
2025年6月13日、年金制度改正法が成立しました。働き方や家族構成などの多様化に合わせた年金制度の整備、私的年金制度の拡充などにより、老後の暮らしの安定や、所得保障機能の強化に繋げていくことが主な狙いです。
今回の改正の主な見直しポイントを整理していきましょう。
年金制度改正の全体像
出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
社会保険の加入対象の拡大
・短時間労働者の加入要件(賃金要件・企業規模要件)の見直し(年収「106万円の壁」撤廃へ)
在職老齢年金の見直し
・支給停止調整額「月62万円」へ大幅緩和(2025年度は月51万円)
遺族年金の見直し
・遺族厚生年金の男女差を解消
・子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする
保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ
・標準報酬月額の上限を、月65万円→75万円へ段階的に引き上げ
私的年金制度
・iDeCo加入年齢の上限引き上げ(3年以内に実施)
・企業型DCの拠出限度額の拡充(3年以内に実施)
・企業年金の運用の見える化(5年以内に実施)
こうした内容からも、公的年金制度は現役世代の働き方やライフプランと深い関わりを持っていることがわかります。
将来の年金見込み額を把握し、不安があれば増額方法を検討しよう
年金生活者支援給付金は3種類に分かれており、それぞれの年金に応じた給付金が設けられています。
支給要件や給付額は種類によって異なるため、まずは自身がどの給付金に該当するのかを確認することが大切です。
なお、基礎となる国民年金や厚生年金も、給付金と同様に受給額が人によって異なります。納付保険料や加入期間等によって大きく差が生じるため、現在の見込み額を把握しておくことが重要です。
ご自身の年金額は「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認できます。もし将来の年金額に不安を感じた場合は、繰り下げ受給や付加保険料の納付など、受給額を増やすための方法を検討してみるとよいでしょう。
※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。
参考資料
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・公益財団法人生命保険文化センター「老齢年金生活者支援給付金について知りたい」
・厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
・日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
・日本年金機構 年金Q&A「年金生活者支援給付金を請求した場合は、いつから支給の対象になりますか。」