「65歳でリタイアを検討」今の65歳は厚生年金と国民年金をいくら受給している?貯蓄の実態も

リタイヤして悠々自適にorやりがいや経済的な安定を求めて仕事を続けるか…悔いのない選択を

厚生年金と国民年金の平均額, 厚生年金の受給額ごとの割合(男女計), 国民年金の受給額ごとの割合(男女計), 65歳以上「高齢者世帯」の平均貯蓄額, 65歳でリタイアしたときの生活費, (参考)65歳以上の就労について

「65歳でリタイアを検討」今の65歳は厚生年金と国民年金をいくら受給している?貯蓄の実態も

内閣府が公表した「令和7年版高齢社会白書」によると、65歳から69歳までの人の半数以上が就業しており、就業率は上昇傾向にあります。

しかし、長年仕事を続けてきて65歳になったらリタイアしたいと考える人も多いでしょう。

本記事では、リタイアに必要な年金額や貯蓄額の実態について解説します。

リタイヤに必要な貯蓄額や年金額、65歳以降の就労についても紹介しますので、リタイヤ時期を検討するときの参考にしてください。

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厚生年金と国民年金の平均額

厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金と国民年金の受給権者の平均額(月額)は次の通りです。

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厚生年金と国民年金の平均受給額・月額

・男性:厚生年金16万6606円・国民年金5万9965円

・女性:厚生年金10万7200円・国民年金5万5777円

・男女平均:厚生年金14万6429円・国民年金5万7584円

また、年金額の分布状況は次の通りです。

厚生年金の受給額ごとの割合(男女計)

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厚生年金の受給額の分布

・5万円未満:1.9%

・5万円以上10万円未満:19.4%

・10万円以上15万円未満:31.3%

・15万円以上20万円未満:31.4%

・20万円以上25万円未満:14.6%

・25万円以上:1.7%

国民年金の受給額ごとの割合(男女計)

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国民年金の受給額の分布

・3万円未満:3.3%

・3万円以上4万円未満:7.1%

・4万円以上5万円未満:12.9%

・5万円以上6万円未満:22.2%

・6万円以上7万円未満:47.8%

・7万円以上:6.8%

続いて高齢者の貯蓄事情も見ていきましょう。

65歳以上「高齢者世帯」の平均貯蓄額

総務省の家計調査報告(2024年)によると、65歳以上の2人以上世帯の貯蓄額の平均は「2509万円」でした。また、貯蓄額の中央値は「1658万円」です。

貯蓄額の分布状況は次の通りです。

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出所:総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果-(二人以上の世帯)貯蓄の状況」をもとに筆者作成

・100万円未満:8.1%

・100万円以上200万円未満:3.6%

・200万円以上300万円未満:3.1%

・300万円以上400万円未満:3.6%

・400万円以上500万円未満:3.3%

・500万円以上600万円未満:3.3%

・600万円以上700万円未満:2.9%

・700万円以上800万円未満:2.8%

・800万円以上900万円未満:3.3%

・900万円以上1000万円未満:2.5%

・1000万円以上1200万円未満:4.8%

・1200万円以上1400万円未満:4.6%

・1400万円以上1600万円未満:5.1%

・1,600万円以上1800万円未満:3.3%

・1,800万円以上2000万円未満:3.3%

・2000万円以上2500万円未満:7.4%

・2500万円以上3000万円未満:5.8%

・3000万円以上4000万円未満:9.4%

・4000万円以上:20.0%

ここまで厚生年金・国民年金の平均額と65歳以上・2人以上世帯の平均貯蓄額について紹介しました。

次章では、65歳でリタイアしたときの生活費と65歳以上の就労について解説します。

65歳でリタイアしたときの生活費

65歳でリタイアしたとき、老後破綻しないためには生活費はいくらくらいに抑えればいいでしょうか。貯蓄と年金のすべてを生活費に充てると仮定して、シミュレーションしてみます。

【前提条件】

・夫婦2人世帯で65歳以降の生活期間は30年(360ヶ月)

・夫婦2人の年金額は22万円(男性の厚生年金の平均+女性の国民年金の平均)

・世帯の貯蓄額2500万円(65歳以上・2人以上世帯の平均)

貯蓄を30年にわたって均等に取り崩すとすると、1ヶ月あたりの生活費は次の通りです。

・1ヶ月あたりの生活費=22万円+2500万円/360ヶ月=約29万円

生命保険文化センターのアンケート調査結果では「ゆとりある老後生活費は月37万9000円、老後の最低日常生活費は月23万2000円」となっており、両者の中間的な生活費は確保できることになります。

ただし、葬儀費用や病気・介護への備え、家の改修費などの臨時費用を考慮して、一定額の貯蓄を残すことも検討してみましょう。

また、貯蓄額と年金額は世帯によって大きく異なるため、自分の世帯に当てはめて生活費の目安を計算してみましょう。

65歳でリタイアした場合、臨時費用も考慮した1ヶ月あたりの生活費は次の通り概算できます。

・1ヶ月あたりの生活費=年金額+(貯蓄額ー臨時費用)/360ヶ月

シミュレーションの結果を基に、65歳でリタイアしても大丈夫か、仕事を続けた方が安心かを検討してみましょう。リタイア後に負担の少ないアルバイトやパートで家計を補うというのも選択肢です。

(参考)65歳以上の就労について

65歳以上の就労について、参考までに現状を紹介します。

最初は、65歳以上の人の就業率です。内閣府の「令和7年版高齢社会白書」によると、65歳から69歳までの人の就業率は2020年に50%を超えて上昇傾向にあります。2024年度は次の通りです。

・65歳~69歳の就業率:54.9%

・70歳~74歳の就業率:35.6%

・75歳以上の就業率:12.2%

次に、65歳以上の就労に関する国の施策です。

国では2021年4月に「高年齢者雇用安定法」を改正して「70歳までの就業機会確保」を企業の努力義務としました。改正によって「働く意欲がある高年齢者がその能力を十分に発揮できるように高年齢者が活躍できる環境の整備」を目指しています。

少子高齢化による人手不足や国の施策などによって、高齢者が働ける環境が広がりつつあります。

リタイヤして悠々自適に暮らすか、やりがいや経済的な安定を求めて仕事を続けるか、メリットとデメリットをきちんと比較検討し、悔いのない選択をしましょう。

まとめ

厚生年金の平均額は月14万6429円、国民年金は月5万7584円です。また、65歳以上・2人以上世帯の平均貯蓄額は2509万円、中央値は1658万円です。

65歳でリタイアを検討するときは、貯蓄と年金でどれくらいの生活費を賄えるかをシミュレーションすることが重要です。

元気なうちは仕事を続ける、リタイア後に負担の少ないアルバイトを行うなども選択肢として検討し、経済的な見通しを立ててから決断しましょう。

参考資料

・厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

・総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果-(二人以上の世帯)貯蓄の状況」

・内閣府「令和7年版 高齢社会白書」