飛び込みでは不可能…エルメスでバーキンを購入するための5つのポイント

以前エルメスで働いていた筆者は、店を訪れる客たちが同様の過ちを繰り返すのを目の当たりにしていた。
- かつてエルメスの販売員だった筆者は、店舗で買い物をする顧客がやりがちな失敗に共通点があることに気がついた。
- エルメスの店舗を訪れる顧客は、飛び込みで店舗に入ってもバーキンを買うことはできないことを知っておくべきだ。
- 顧客は、担当の販売スタッフと良い関係を築くべきだが、かと言ってしつこく絡むのは禁物だ。
筆者はエルメス(Hermés)で2年間にわたり、リテールマーケティングとビジュアルマーチャンダイジングを担当した経験がある。
フランス発のファッションブランドであるエルメスは、2世紀近くにわたる歴史を誇り、革製品などを手がけている。だが、同ブランドの製品でおそらく最も有名なのは、誰もが憧れるバッグ「バーキン」だろう。
バーキンをはじめとするエルメスのバッグは、定価でも数千ドルするものはざらで、キム・カーダシアン(Kim Kardashian)やジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)といったセレブが愛用していることでも知られる。こうした高価なアイテムは、同ブランドの顧客の中でもごく少数の、選ばれた人にしか販売されない。
エルメスで働いていた時に、私はこのブランドの体質、そして最も人気が高い製品を手に入れるためのテクニックについて多くを学んだ。その後は、高級ブランド品を調達する仕事に鞍替えしたため、自分のクライアントのために、エルメスの有名なバッグが売られている店舗を突き止めるテクニックにも精通している。
以下では、エルメスで買い物をする際に、顧客がやりがちないくつかの過ちについて説明していこう。
その1:多くの顧客は、エルメスの店舗に飛び込みで入って高価なアイテムを購入できると考えている

店舗に飛び込みで立ち寄っても、バーキンやケリーといったバッグを購入することはできない。
ポルシェ(Porsche)などの他の高級ブランドと同様に、エルメスは希少性を売りにしたマーケティング手法を用いている。これは、供給量や入手可能性に制約がある方が、顧客は製品に価値を見いだすという考え方だ。
これは、ブティックに飛び込みで立ち寄る大半の顧客は、ケリーやバーキンなどの最も高価なアイテムを購入できないことを意味する。
なかでもバーキンはあまりに人気で、見かけを似せただけのウォルマートで販売されているコピー商品でさえ売り切れになってしまうほどだ。
本物のバーキンを購入できる可能性を向上させたいのなら、エルメスの店舗を訪れる顧客は「プロフィールを構築」するべきだ。つまり、特定の店舗で着実に購入実績を確立するということだ。
そのためには、ビギナー向けのアイテムを購入し、特定の販売員に自分の担当になってもらい、その人との関係を深めていくのがいいだろう。結局のところ、誰もが欲しがるバッグを手に入れられる顧客が決まる際には、販売員が大きな役割を果たすこともあるからだ。
個人的には、さまざまなカテゴリーのアイテムを取り混ぜて買うことをお勧めする。私の経験で言うと、販売員にとって最も高額の歩合が手にできるカテゴリーは、家庭用品や高級ジュエリー、精巧なテキスタイル製品や、ユニークなデザインのプレタポルテの衣服などだった。これらのアイテムを買うことで、自らのプロフィールをランクアップさせ、販売員から注目を集める顧客となりやすくなるはずだ。
その2:無礼なふるまいや無頓着な態度は禁物。常に大人の態度を貫こう
エルメスでは、尊大で横柄な態度や無作法なふるまいは、最も忌み嫌われる行為だ。私は店員時代に、ある客が、態度の悪さを理由に出禁を言い渡された例を目にしたことがある。
感じの良い態度をキープするとともに、ブティックにいる時は好奇心を発揮し、販売員に対しては、仕事で関わる相手のように礼儀正しく接することをお勧めする。
加えて、販売員は生計を立てるため、そして、その店でしか味わえない、高級感あふれる体験を提供するために売場に立っていることにも気を配るべきだろう。結局のところ、顧客と店員の関係は、双方にメリットをもたらすものであるべきなのだ。
その3:担当販売員に、過度なプレッシャーをかけるのは禁物
エルメスでのショッピング体験を成功に結びつけるための販売員とのやりとりは、ビジネスにおける取引先との関係とよく似ている。多くのブティックでは、販売員は顧客と、自身の連絡先に関する詳細情報を共有している。
とはいえ、連絡先を教えてもらえた顧客は、販売員を質問責めにしていいのだと解釈しがちだ。私としては、そうではなく、自分の都合の良い時にブティックを訪れ、他の商品を購入したついでに、人気アイテムを手に入れるまでのタイムラインについて尋ねる、という方法をお勧めする。
販売員と連絡を取る手段が、テキストメッセージや電話しかない場合は、これらの連絡手段については、「次に店舗を訪れた際に見たいと考えている、より安価なアイテム」について問い合わせる時に使うといいだろう。
その4:非現実的な期待を抱く顧客は多い

筆者は入手困難なアイテムを買うことだけに狙いを定める多くの顧客を見てきた。
顧客のなかには、ソーシャルメディアのあちこちで目にする特定の高額アイテムに狙いを絞り、これをどうしても手に入れたいとアピールすることに夢中な人たちもいる。
しかしながら、エルメスでのショッピング体験を成功に結びつけるには、絶対に外せない2つの重要ポイントがある。1つ目は、販売員が重んじるのは、エルメスというブランドに真摯に関わり、代々受け継がれてきた価値観に心から関心を示している顧客だということだ。
2つ目は、店員はケリーやバーキンのようなバッグでは歩合給を稼いでいないということだ。同じエルメス製品でも、そこまで知名度が高くないカテゴリーを探求するといだろう。具体的には、担当販売員が勧める家庭用品やフレグランス、さらには乗馬関係のアイテムなどだ。
こうしたアイテムを購入することで、担当販売員が歩合給を得るのに貢献することができる。そうすると販売員の側も、その顧客に便宜を図り、誰もが憧れるバッグを手に入れられるように助けようと思う可能性が上がるかもしれない。
その5:販売員や店舗を天秤にかける行為は厳禁
エルメスで人気のバッグを手に入れるまでの道のりは、困難な神経戦のように感じられるかもしれない。顧客は多くの場合、ブティックを何度も訪れなくてはならないため、望みのアイテムを手に入れるまでの過程は、かなりの長期戦を覚悟しなければならない。
残念なことに、顧客が複数のブティックを訪問したり、1つの店舗内で担当販売員を乗り換えたりして、このシステムを悪用しようとする例もあった。
しかし、1人の販売員や1軒のブティックにこだわることが賢明だ。一部の店舗では、最も熱心な顧客を優先する可能性があるからだ。