《申請しないともらえない給付金》偶数月に継続的に支給される「年金生活者支援給付金」とは?《誰が・いくら》もらえるのか?
- 【年金生活者支援給付金】「給付額」は毎年度見直し《2025年度》はいくら?
- 年金生活者支援給付金「2025年度の給付額」はいくら?
- 【年金生活者支援給付金】《誰が》もらえるのか?
- 「年金生活者支援給付金は3種類」《誰が》もらえるのか?
- 「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件をチェック
- 「障害年金生活者支援給付金」の支給要件をチェック
- 「遺族年金生活者支援給付金」の支給要件をチェック
- 【年金生活者支援給付金】申請しないともらえない給付金「請求手続き」は?
- 【請求手続き:パターン1】65歳の誕生日を迎え、老齢基礎年金を新規に請求する人
- 【請求手続き:パターン2】基礎年金を受給中で、新たに年金生活者支援給付金を受け取ることができる人
- 【年金生活者支援給付金】偶数月の何日に支給される?
- 《厚生年金+国民年金》《国民年金のみ》全体・男性・女性「平均月額」はいくら?
- 【グラフ】厚生年金+国民年金・国民年金《実際の受給額》個人差・男女差を見る
- 《厚生年金+国民年金》平均年金月額はいくら?
- 《国民年金のみ》平均年金月額はいくら?
- 《年金制度改正法が成立》社会保険・在職老齢年金・遺族年金「主な見直しポイント」は?
- 年金制度改正の全体像《主な見直しポイント》をチェック
- 支給要件を満たしている方は「請求手続き」を忘れずに行いましょう
老齢年金生活者支援給付金・障害年金生活者支援給付金・遺族年金生活者支援給付金の《支給要件》は?
《申請しないともらえない給付金》偶数月に継続的に支給される「年金生活者支援給付金」とは?《誰が・いくら》もらえるのか?
「年金だけでは生活できない」「物価高で生活費が大変」など、日々の生活に不安を抱えていませんか。
2カ月に1度の偶数月に支給される「年金生活者支援給付金」という恒久的な制度があります。
支給要件を満たしている限り継続的に受給できるため、年金生活の助けとなることが期待できます。
しかし、たとえ支給対象になっていたとしても、《申請しないともらえない給付金》なので注意が必要です。
そこで本記事では、偶数月に継続的に支給される「年金生活者支援給付金」について《誰が・いくら》もらえるのか、わかりやすく解説します。
老齢年金生活者支援給付金・障害年金生活者支援給付金・遺族年金生活者支援給付金それぞれの《支給要件》についてもご紹介しますので、年金生活に負担を感じている方はぜひ参考にしてください。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
【年金生活者支援給付金】「給付額」は毎年度見直し《2025年度》はいくら?
「年金生活者支援給付金」は、公的年金等の収入金額やその他の所得が一定基準に満たない場合に受け取れる給付金です。
老齢年金、障害年金、遺族年金のそれぞれの年金に給付金が設けられており、2カ月に一度、公的年金に上乗せして支給されます。
また、給付額は公的年金と同様に、年度ごとに見直しがおこなわれます。
年金生活者支援給付金「2025年度の給付額」はいくら?
年金生活者支援給付金「2025年度の給付額」はいくら?
2025年度の「年金生活者支援給付金」の給付額は、前年度より+2.7%引き上げられており、6月支給分の「4・5月分給付金」から増額率が適用されています。
各給付金の2025年度月額は以下の通りです。
・老齢年金生活者支援給付金(月額):5450円(※基準額)
・障害年金生活者支援給付金(月額):1級6813円・2級5450円
・遺族年金生活者支援給付金(月額):5450円
なお、老齢年金生活者支援給付金については、上記を基準額として、保険料納付済期間などをもとに実際の給付金額が計算されます。
【年金生活者支援給付金】《誰が》もらえるのか?
「老齢」「障害」「遺族」、3種類ある年金生活者支援給付金には、それぞれの支給要件が定められています。
一つひとつ整理していきましょう。
「年金生活者支援給付金は3種類」《誰が》もらえるのか?
「年金生活者支援給付金は3種類」《誰が》もらえるのか?
「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件をチェック
老齢年金生活者支援給付金の対象となるのは、下記の支給要件をすべて満たす方です。
・65歳以上の老齢基礎年金の受給者
・同一世帯の全員が市町村民税非課税
・前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
「障害年金生活者支援給付金」の支給要件をチェック
・障害基礎年金の受給者である
・前年の所得(※)が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 障害年金等の非課税収入は除く
「遺族年金生活者支援給付金」の支給要件をチェック
・遺族基礎年金の受給者である
・前年の所得(※)が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 遺族年金等の非課税収入は除く
いずれの年金生活者支援給付金も、前年の所得額が支給要件に関わっています。
なお、年金生活者支援給付金は、受給要件を満たしても自動では支給されません。受け取るためには、必ず「請求手続き」が必要です。
【年金生活者支援給付金】申請しないともらえない給付金「請求手続き」は?
年金生活者支援給付金の支給対象となった人には、日本年金機構からお知らせを兼ねた請求書が郵送されます。
請求書の送付時期や書類形式は、年金の受給状況により異なります。今回は該当する人が多い2つのパターンを見ていきましょう。
【請求手続き:パターン1】65歳の誕生日を迎え、老齢基礎年金を新規に請求する人
【請求手続き:パターン1】65歳の誕生日を迎え、老齢基礎年金を新規に請求する人
・65歳になる3か月前に、年金受給に必要な「年金請求書(事前送付用)」に同封して送付
・必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金の請求書と併せて年金事務所に提出
【請求手続き:パターン2】基礎年金を受給中で、新たに年金生活者支援給付金を受け取ることができる人
【請求手続き:パターン2】基礎年金を受給中で、新たに年金生活者支援給付金を受け取ることができる人
・毎年9月の第1営業日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送される
・必要事項を記載し、切手を貼ってポストに投函
なお、支給要件に当てはまるかどうかが確認できない人には「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」および「所得情報等を確認するための所得状況届」が届きます。
【年金生活者支援給付金】偶数月の何日に支給される?
年金生活者支援給付金は、年6回に分けて、偶数月の15日に支払われます。
なお、15日が土日または祝日のときは、その直前の金融機関の営業日に前倒しとなります。
年金の受取口座と同じ口座に、同日、年金とは別に振り込まれます。(通帳にはそれぞれ別の振込として記載されます)
各支払月には、原則、その前月までの2カ月分の年金生活者支援給付金が支払われます。
例えば、8月に給付されるのは、6月分・7月分の給付金です。
《厚生年金+国民年金》《国民年金のみ》全体・男性・女性「平均月額」はいくら?
今のシニア世代の年金受給事情についても触れていきます。
厚生労働省が公表している「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータをもとに、60歳以上のすべての受給権者の男女差・個人差に着目してみましょう。
【グラフ】厚生年金+国民年金・国民年金《実際の受給額》個人差・男女差を見る
【グラフ】厚生年金+国民年金・国民年金《実際の受給額》個人差・男女差を見る
《厚生年金+国民年金》平均年金月額はいくら?
〈全体〉平均年金月額:14万6429円
・〈男性〉平均年金月額:16万6606円
・〈女性〉平均年金月額:10万7200円
《国民年金のみ》平均年金月額はいくら?
〈全体〉平均年金月額:5万7584円
・〈男性〉平均年金月額:5万9965円
・〈女性〉平均年金月額:5万5777円
厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額は、男性の平均が16万6606円であるのに対し、女性の平均は10万7200円と、約6万円の開きがあります。
この格差が生じる背景には、厚生年金の計算方法があります。
厚生年金は、現役時代の給与や加入期間が年金額に反映されるため、平均勤続年数が長く、生涯賃金が高かった男性の受給額が大きくなる傾向があるのです。
一方で、国民年金は加入月数に応じて受給額が決まる仕組みのため、男女間の受給額に大きな差はありません。
厚生年金受給額が月額2万円未満から30万円超までと幅が広いことからも、一人ひとりの働き方や加入期間が年金額に大きく影響していることがわかります。
《年金制度改正法が成立》社会保険・在職老齢年金・遺族年金「主な見直しポイント」は?
2025年6月13日、年金制度改正法が成立しました。働き方や家族構成などの多様化に合わせた年金制度の整備、私的年金制度の拡充などにより、老後の暮らしの安定や、所得保障機能の強化に繋げていくことが主な狙いです。
今回の改正の主な見直しポイントを整理していきましょう。
年金制度改正の全体像《主な見直しポイント》をチェック
年金制度改正の全体像《主な見直しポイント》をチェック
社会保険の加入対象の拡大
・短時間労働者の加入要件(賃金要件・企業規模要件)の見直し(年収「106万円の壁」撤廃へ)
在職老齢年金の見直し
・支給停止調整額「月62万円」へ大幅緩和(2025年度は月51万円)
遺族年金の見直し
・遺族厚生年金の男女差を解消
・子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする
保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ
・標準報酬月額の上限を、月65万円→75万円へ段階的に引き上げ
私的年金制度
・iDeCo加入年齢の上限引き上げ(3年以内に実施)
・企業型DCの拠出限度額の拡充(3年以内に実施)
・企業年金の運用の見える化(5年以内に実施)
こうした内容からも、公的年金制度はシニアと現役世代、どちらの暮らしにとっても深い関わりがあることが分かります。
支給要件を満たしている方は「請求手続き」を忘れずに行いましょう
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この記事では、偶数月に継続的に支給される「年金生活者支援給付金」について《誰が・いくら》もらえるのか解説しました。
また、3種類ある年金生活者支援給付金の《支給要件》についてもご紹介しました。
年金生活者支援給付金は、現在受給されている基礎年金の種類に応じて「3種類」あります。
老齢年金生活者支援給付金・障害年金生活者支援給付金・遺族年金生活者支援給付金の《支給要件》は、それぞれ異なります。
なお年金生活者支援給付金の給付額は、毎年度見直されていて2025年度は「前年度よりも2.7%増額」されました。
年金生活者支援給付金は、支給要件を満たしている限り、2カ月に1度の偶数月に継続的に支給されます。
ただし、支給対象になっていたとしても「請求手続き」を行わなければ受給できません。
支給要件を満たしている方は、請求手続きを忘れずに行いましょう。
参考資料
・厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
・厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」