9月初旬から「年金生活者支援給付金請求書」が送付予定。 2025年度は2.7%増額「対象者の要件は?」「月の基準額はいくら?」疑問を解説
2カ月に一度年金に上乗せで支給される!
9月初旬から「年金生活者支援給付金請求書」が送付予定。 2025年度は2.7%増額「対象者の要件は?」「月の基準額はいくら?」疑問を解説
例年、9月初旬から順次、新たな対象者に「年金生活者支援給付金請求書」が送付されます。
「年金生活者支援給付金」とは、年金を含めた所得が一定以下の方に給付される給付金。年金に上乗せして支払われるので、2カ月に一度支給されます。
年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ
手続き方法は基本的に届いた請求書に必要事項を記入し、同封の目隠しシールを貼って、差出人欄に住所・氏名を記入し切手を貼って郵便ポストへ投函となっています。
申請方法は簡単ですが、申請しないともらえない給付金のため、しっかりと手続きをおこないましょう。
今回はこの「年金生活者支援給付金」についてその内容や基準額、対象など詳しく見ていきます。
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「年金生活者支援給付金」はいつからはじまった?
「年金生活者支援給付金」は、年金収入やその他の所得額が一定基準額以下の年金生活者を支援する目的で、2カ月に一度、年金に上乗せして支給される給付金です。
2019年に始まった比較的新しい制度なので、聞きなれない人もいるかもしれません。受給中の年金に合わせて、以下の3種類の給付金が設定されています。
・老齢年金生活者支援給付金(補足的老齢年金生活者支援給付金)
・障害年金生活者支援給付金
・遺族年金生活者支援給付金
次では年金生活者支援給付金の「給付額」や「支給要件」について見ていきます。
2025年度は2.7%増額【年金生活者支援給付金】月の基準額はいくら?
2025年度の年金生活者支援給付金の給付金額は、前年度から2.7%の引き上げとなっています。
【2024年→2025年】年金生活者支援給付金の支給金額
【2025年度】月の基準額はいくら?
・老齢年金生活者支援給付基準額(月額):5450円
・障害年金生活者支援給付金(月額):1級6813円・2級5450円
・遺族年金生活者支援給付金(月額):5450円
老齢年金生活者支援給付金については、この基準額に基づき保険料納付済期間等に応じて実際の給付額が計算されます。
上記はいずれも「月額」の金額です。支給日には2カ月分まとめて年金に上乗せされます。上記の金額通りを受給できる場合、1回の支給で約1万円、年額にすると約6万円になります。
なお「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2024年3月における平均給付月額(※)は、老齢年金生活者支援給付金4014円、障害年金生活者支援給付金5555円、遺族年金生活者支援給付金5057円でした。
※2024年3月において認定されている平均給付金額です。
【年金生活者支援給付金】の支給対象の要件は?
「年金生活者支援給付金」の支給要件
年金生活者支援給付金の支給対象となる人はどんな人でしょうか。支給要件についても見ていきます。
「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」は、それぞれの年金(障害基礎年金もしくは遺族基礎年金)を受給中で、前年の所得が472万1000円以下の人です。
給付金の判定には、障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれず、扶養親族等の数に応じて所得基準額は変動します。
老齢年金生活者支援給付金のみ、支給要件はやや複雑です。次で解説していきましょう。
「老齢年金生活者支援給付金」対象者
「老齢年金生活者支援給付金」対象となるのはどんな人?
老齢年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、下記の支給要件をすべて満たす人です。
・65歳以上の老齢基礎年金の受給者
・同一世帯の全員が市町村民税非課税
・前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下
老齢年金生活者支援給付金の判定にも、障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
また「基準額ギリギリで給付対象となる人」との間に不公平感が生じないように、「基準額をわずかに超えて給付対象外となる人」は「補足的老齢年金生活者支援給付金(※)」の支給対象となります。
※補足的老齢年金生活者支援給付金
1956(昭和31)年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、1956年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。所得が増えるにつれて、補足的老齢年金生活者支援給付金の給付額は減ります。
申請しないともらえない年金生活者支援給付金。手続き方法は?
公的年金と同じく、年金生活者支援給付金を受け取るためには、請求手続きが必要です。
はがき(年金生活者支援給付金請求書)の記入例
これから65歳を迎える人には、誕生日の3カ月前に、老齢基礎年金の請求書に同封されて給付金請求書が郵送されます。同封の給付金請求書に必要事項を記入し、老齢基礎年金の請求書とともに提出しましょう。
すでに年金を受給中の人で、新たに年金生活者支援給付金の対象となった場合は、毎年9月1日以降、順次年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が郵送されます。必要事項を記入し、郵便ポストに投函しましょう。
なお、繰上げ受給中の場合は書類の様式が異なります。
一度請求書を提出すれば、支給要件を満たす限り2年目以降の手続きなしで継続して受給が可能です。継続支給の判定結果は前年の所得に基づき、毎年10月分(12月支給分)から1年間反映されます。
なお、給付額の改定に際しては「年金生活者支援給付金支給金額改定通知書」が、支給対象外となった場合は「年金生活者支援給付金不該当通知書」が郵送されます。
まとめにかえて
近年は、老齢年金だけで生活を送るのが難しく、定年退職後も働く人が増えています。
厚生労働省「令和7年版厚生労働白書」による、60歳代の就業率は以下の通り。
高齢者の就業率
【2024(令和 6)年】高齢者の就業率
・60~64歳男性:84.0%
・60~64歳女性:65.0%
・65~69歳男性:62.8%
・65~69歳女性:44.7%
しかし、現役時代のような収入を得るのは現実的に難しいでしょう。
また、いつまで健康で働けるかは誰にもわかりません。
年金収入と合わせても一定の収入基準に満たない場合、「年金生活者支援給付金」を受け取れる可能性があります。
受給には申請が必要になるため、気になることがあればお住まいの地域の相談窓口に問い合わせをしてみましょう。
参考資料
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・日本年金機構「年金生活者支援給付金制度について」
・日本年金機構「年金生活者支援給付金の概要」
・厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
・日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」
・厚生労働省「年金生活者支援給付金 よくあるご質問(Q&A)」
・厚生労働省「令和7年版厚生労働白書」