【貯蓄】65歳以上「貯蓄4000万円以上」は何割ぐらいいる?【老後の家計収支から見る】現代シニアの生活は赤字?黒字?

なぜ老後が不安?”ゆとりある老後”を実現するためのステップ

高齢世帯の「貯蓄額」の実態〜貯蓄4000万円以上は何割か〜, 65歳以上・無職世帯の家計収支|毎月の生活費は「赤字」に, いまどきシニアの平均年金月額はいくら?男女別の一覧まとめ, 厚生労働省統計による平均年金月額, 毎月の収支が赤字でも、ゆとりある老後は送れる?, 収入と支出のバランス, 貯蓄額による補填, なぜ老後が不安?不安を解消し”ゆとりある老後”を実現するためのステップ, 自身の世帯の収入・支出・貯蓄を知る, 物価上昇に備える, 「老後の不安」の正体を知れば、備えるべきことが見えてくる

【貯蓄】65歳以上「貯蓄4000万円以上」は何割ぐらいいる?【老後の家計収支から見る】現代シニアの生活は赤字?黒字?

近年、日本人の健康寿命は着実に伸び続ける中、リタイア後の生活設計はあらゆる世帯で必要不可欠となっています。

内閣府の最新調査では、60歳以上の実に92.6%が経済的な不安を抱えているという結果が出ています。その原因のトップは「物価上昇(74.5%)」、次いで「収入や貯蓄の少なさ(47.1%)」です。

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60歳以上の実に92.6%が経済的な不安を抱えている

経済的な不安を解消するためには、まずは現在の高齢世帯の現状を知ることが大切です。

そこで本記事では、65歳以上世帯における貯蓄状況や日々の生活費を分析しながら、高齢世帯の「平均」について探っていきます。ぜひご自身の未来と照らし合わせながら、読み進めてみてください。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

高齢世帯の「貯蓄額」の実態〜貯蓄4000万円以上は何割か〜

まずは、世帯主が65歳以上の二人以上世帯がどれくらいの貯蓄を持っているのか、総務省による「家計調査報告(貯蓄・負債編)」のデータをもとに見ていきましょう。

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高齢世帯の「貯蓄額」の実態

・100万円未満:8.1%

・100万円以上1400万円未満:37.8%

・1400万円以上1600万円未満:5.1%

・1600万円以上1800万円未満:3.3%

・1800万円以上2000万円未満:3.3%

・2000万円以上2500万円未満:7.4%

・2500万円以上3000万円未満:5.8%

・3000万円以上4000万円未満:9.4%

・4000万円以上:20.0%

【中央値:1658万円】

【平均値:2509万円】

※ここで言う中央値とは、金融資産非保有(貯蓄現在高が「0円」)の世帯を除いた世帯を、貯蓄現在高の低い方から順番に並べたときに、ちょうど中央に位置する世帯の貯蓄現在高を指します。

統計では、世帯主が65歳以上の二人以上世帯のうち、5世帯に1世帯は4000万円以上の貯蓄があるという結果が出ました。 平均貯蓄額も約2500万円と、以前話題になった「老後2000万円問題」の金額を大きく上回っています。

これだけ見ると、多くの世帯で老後の備えは十分なようにも思えます。しかし、それでも多くの人が老後に「経済的な不安」を感じているのでしょうか。

生活費と収入の実態を確認した上で、その点についても考えてみましょう。

65歳以上・無職世帯の家計収支|毎月の生活費は「赤字」に

ここからは、高齢世帯の老後生活費の実態を見ていきます。

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高齢世帯の「老後生活費」の実態

同じく総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)」によると、世帯主が65歳以上の二人以上世帯の消費支出の平均額は、25万9295円です。

さらに、税金や社会保険料など、消費財以外に支払う費用である非消費支出を加えると、平均支出の合計は「29万2527円」となります。

65歳以降の年代別に見ると平均額は以下のように推移しており、65歳以降、徐々に減っていくことがわかります。

・65歳〜69歳:35万2686円

・70歳〜74歳:30万3839円

・75歳以上:27万3398円

いまどきシニアの平均年金月額はいくら?男女別の一覧まとめ

次に、一般的な夫婦の年金額を見るために、現在の年金受給者の平均的な年金受給額の水準を考えていきます。

厚生労働省統計による平均年金月額

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厚生労働省統計による平均年金月額

2024年度における、厚生年金受給者の平均年金月額は、男子が16万6606円、女子が10万7200円となっています。つまり、夫婦二人世帯を想定した場合、男女一名ずつの平均合計で「27万3806円」が標準的な月の収入額と言うことができます。

毎月の収支が赤字でも、ゆとりある老後は送れる?

ここからは、これまで説明してきた数字をもとに、具体的な収支を元に、老後の経済的な余裕について確認していきます。

収入と支出のバランス

男女の平均年金月額から夫婦の年金収入を考えると、月額約27万3000円でした。一方、日々の生活にかかる非消費支出を含めた支出金額は平均で月額約29万3000円です。

これらのことから、月々の家計収支は2万円ほど赤字になることがわかります。

貯蓄額による補填

毎月の不足額が発生する場合、これを貯蓄で補っていくことになります。 ここで、仮に中央値である1658万円の貯蓄がある世帯を考えてみましょう。

この金額があれば、毎月2万円の不足があったとしても、それを補ってもまだ余裕はありそうです。

現役時代から十分に貯蓄で備えておくことで、通常の生活を送るだけではなく、旅行や趣味といった暮らしの楽しみにもお金を使える、「ゆとりある暮らし」が実現できそうです。

なぜ老後が不安?不安を解消し”ゆとりある老後”を実現するためのステップ

冒頭の調査によると、9割以上もの人が「老後は経済的に不安」と感じています。それはなぜなのでしょうか?

統計では、その大きな要素として、「物価が上がることへの不安」と、「自分の貯蓄・収入への不安」が挙げられています。

物価上昇は、私たち個人の力だけではどうにもできません。 そこで今回は、「貯蓄・収入の不安」を解消するために、「自分の経済状況をきちんと把握する」というステップを考えていきます。

自身の世帯の収入・支出・貯蓄を知る

将来の経済的な不安を軽減させるためには、平均値を知ることと同じくらい、「自分自身の状況を把握すること」が重要です。世帯の老後の収支を把握することで、老後のために必要な貯蓄額が見えてきます。

具体的には、以下のようなステップが必要になります。

老後収入(年金)の把握

年金受給前の方は、ねんきん定期便の確認やオンラインシミュレーションツールの活用が将来の収入を知る有効な手段です。先を見据えた計画には、この情報が欠かせません。

毎月の生活費の明確化

まずは月ごとの家計記録をつけ、実際の支出パターンを見える化しましょう。この作業は無駄な出費の発見にもつながり、家計改善の第一歩となります。

貯蓄状況の正確な認識

定年後は収入が大幅に減少するため、それまでに築いた資産が生活の基盤となります。現在の貯蓄残高と老後必要額を比較し、具体的な生活設計を練ることが重要です。

世間一般の平均値や中央値はあくまで参考情報であり、最終的には自分自身の状況を正確に分析することが大切です。自分の世帯の数字を冷静に見つめ、必要な準備を整えることで、安心感を持って老後を迎えることができるでしょう。

物価上昇に備える

次に、もう一つの大きな不安材料である「物価上昇」に備えるためには、どのような対策ができるのかを考えていきましょう。物価上昇という経済現象自体は、個人の力で抑えることはできません。しかし、その影響に備えることは十分に可能です。

効果的な対策の一つとして、積立投資などの金融商品を活用する方法があります。

特に、物価と連動するタイプの資産に投資を行うことで、物価が上がっても資産価値が同じように増える可能性があり、実質的な購買力の維持に役立ちます。

もう一つの現実的な選択肢としては、「働く期間を延ばす」ことが挙げられます。物価が上がる局面では、賃金もある程度上昇する傾向にあります。

そのため、就労期間を延ばし、収入を得る期間を長くすることは、物価上昇による老後不安を軽減するうえで有効な手段となるでしょう。収入を得る期間を延ばすことは、物価上昇の波に対する強力な防波堤となり得るのです。

「老後の不安」の正体を知れば、備えるべきことが見えてくる

本記事では、統計データをもとに、65歳以上の二人以上世帯の貯蓄と収支状況を解説し、多くの人が抱える「老後の不安」の正体に迫りました。

統計では「4000万円以上の貯蓄がある世帯が2割」という驚きの結果もありましたが、他人と比べて一喜一憂する必要は全くありません。

必要な貯蓄額は、家族構成やライフスタイルによって全く異なるからです。

多くの人が感じる経済的な不安は「よく分からない」という感情からきています。大切なのは、まず「平均値」と「自分の家計」を冷静に比較し、自分たちに必要な金額を知ること。

そして、資産運用や長く働くといった備えを検討することで、漠然とした不安は「具体的な対策」へと変わっていきます。この記事が、皆さまの豊かなセカンドライフへの第一歩となれば幸いです。

参考資料

・内閣府「令和6年度 高齢社会対策総合調査(高齢者の経済生活に関する調査)の結果(全体版)」

・統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年平均結果」

・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」