住民税非課税世帯へ支給! どんな人が対象者でいくらもらえるのかなど詳しく解説
住民税非課税世帯への優遇措置の一覧(一例)もご紹介
住民税非課税世帯へ支給! どんな人が対象者でいくらもらえるのかなど詳しく解説
物価上昇の影響を受け、生活費の見直しや資産運用の活用など多くの世帯で今、「お金」について考える機会が増えているかと思います。
実際、日頃ファイナンシャルプランナーとして多くのお客様の「お金」に関する相談を受けている筆者ですが、やはり「家計の見直し」や「資産運用の相談」など物価上昇を踏まえた相談が増えてきています。
そんな中、政府も一部の世帯を対象とした給付金を支給しています。どのような給付金か、どのような方が対象になるのかぜひ確認しましょう。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
住民税非課税世帯・3万円給付金(2024年度補正予算)
住民税非課税世帯などを対象とする「現金給付」により、家計を支援する施策は、コロナ禍以降しばしばおこなわれてきました。
直近では、2024年度補正予算(※2024年12月可決・成立)に盛り込まれた、特に物価高の影響を受けやすい「住民税非課税世帯」を対象とする給付金です。
給付額は「1世帯あたり3万円」を基本とし、支給対象となる世帯のなかでも子育て世帯には、18歳以下の子ども1人につき2万円の「子ども加算」が上乗せされます。
この給付金の支給作業は各自治体が担当しており、給付スケジュールは各自治体により異なります。
2025年1月以降、各自治体で順次給付作業が始まりましたが、6月現在、多くの市区町村ではすでに申請期限を迎えています。
今回の給付金のような各種公的支援の対象基準としてよく挙がるのが「住民税非課税世帯」という区分です。
【ご注意】給付金の申請方法や給付までのスケジュール、細かい支給要件などは市区町村により異なります。お住まいの自治体の最新情報を、ホームページや広報誌などでご確認ください。LIMOでは個別のお問い合わせへのお答えはいたしかねます。
住民税非課税世帯とは?
まずは住民税の仕組みを確認し、住民税非課税世帯となる要件を見ていきましょう。
住民税の基本
住民税は「均等割」と「所得割」の2層構造
住民税は、住んでいる都道府県や市区町村に支払う地方税です。地方自治体の重要な財源であり、公共サービスやインフラ整備に使われます。
個人住民税は、均等割と所得割の2つの部分から成り立っています。
・均等割:所得に関係なく一律に課税される部分
・所得割:所得に応じて税額が決まる部分
均等割・所得割ともに免除になることを「住民税非課税」と言います。「住民税非課税世帯」は、世帯全員が住民税非課税となる世帯を指します。
なお、「住民税の所得割のみ非課税」となる区分もあります。ただし今回の給付金の対象となるかどうかは自治体により異なるため、必ずお住まいの市区町村などの基準をご確認ください。
住民税が非課税となる<3つの要件>
では、住民税が非課税となる要件を詳しく見てみましょう。
以下のいずれかに該当した場合、住民税が非課税となります。
・生活保護を受けている
・障害者、未成年者、寡婦(夫)、ひとり親で、前年の所得が135万円以下である
・前年の所得が各市区町村の基準を下回る
1と2の要件は全ての市区町村で共通ですが、3の所得要件は市区町村ごとに異なる基準があります。
住民税非課税世帯・所得要件【神戸市】
「住民税非課税世帯」となる所得基準を、兵庫県神戸市の例を見てみましょう。
出所:神戸市「住民税(市県民税)が課税されない所得額はいくらですか?」
35万円×(本人+同一生計配偶者(※)+扶養親族数)+10万円+21万円
ただし、21万円は同一生計配偶者(※)または扶養親族がいる場合のみ加算
※同一生計配偶者とは、納税義務者と生計を一にする配偶者で、前年の合計所得金額が48万円以下の人
住民税非課税世帯・収入目安【神戸市】
住民税が非課税となる所得の基準は、上述の「同一生計配偶者や扶養親族数」の他、収入の種類によっても変動します。
所得は収入から各種控除額を差し引いた金額となるため、神戸市の基準を「収入金額に換算」して確認しましょう。
出所:神戸市「住民税(市県民税)が課税されない所得額はいくらですか?」
単身世帯
合計所得金額が45万円以下になる方
・給与収入のみで収入金額が100万円以下
・年金収入のみで収入金額が155万円以下(65歳以上)
・年金収入のみで収入金額が105万円以下(65歳未満)
同一生計配偶者か扶養家族が1名いる場合
合計所得金額が101万円以下になる方
・給与収入のみで収入金額が156万円以下の方
・年金収入のみで収入金額が211万円以下の方(65歳以上)
・年金収入のみで収入金額が171万3333円以下の方(65歳未満)
単身世帯の場合、給与収入のみであれば100万円以下、65歳以上の年金収入のみであれば155万円以下で住民税が非課税となります。
同一生計配偶者や扶養親族がいる場合、非課税となる収入目安は引き上げられます。
とくに65歳以上の年金収入のみの世帯では211万円以下と、単身世帯より大幅に緩和されていることが分かります。
このように、世帯構成や収入源によって、住民税の負担が変わってくるのです。人数の多い世帯やシニア世代への配慮がうかがえますね。
高齢者の年金生活者は住民税非課税世帯になりやすい
厚生労働省の「令和5年国民生活基礎調査」の資料から、年齢層別に住民税が「課税される世帯」の割合を見てみましょう。
出所:厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」をもとにLIMO編集部作成
・30歳代:88.0%
・40歳代:90.0%
・50歳代:86.4%
・60歳代:78.3%
・70歳代:64.1%
・80歳代:47.5%
・65歳以上(再掲):61.9%
・75歳以上(再掲):50.9%
※ 全世帯数には、非課税世帯及び課税の有無不詳の世帯を含む
※ 総数には、年齢不詳の世帯を含む
※ 住民税課税世帯には、住民税額不詳の世帯を含む
住民税が課税される世帯の割合は、30~50歳代では約90%でしたが、60歳代で78.3%となります。その後65歳以上は61.9%、75歳以上は50.9%となっています。
年齢が高くなるにつれて、住民税が課税される世帯の割合は低くなっています。
一般的に年金生活に入ると現役時代よりも収入が減少し、それに加えて65歳以上の方には公的年金に対する所得控除が大きく、また遺族年金が課税対象とはなりません。
そのため、高齢者の年金生活者は「住民税非課税世帯」に該当しやすい傾向があるのでしょう。
続いて、各年代別の貯蓄額に関するデータを紹介します。
20歳代~70歳代の貯蓄額
各年代別に二人以上世帯の貯蓄額について見ていきましょう。
平均と中央値、ならびに「100万円未満の世帯の割合」を、金融経済教育推進機構の「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとに紹介します。
2人以上世帯の貯蓄額《平均・中央値・世帯差》
出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとにLIMO編集部作成
全体
・平均1374万円 中央値350万円
・貯蓄100万円未満の割合33.1%(うち貯蓄ゼロ世帯24.0%)
20歳代
・平均382万円 中央値84万円
・貯蓄100万円未満の割合46.2%(うち貯蓄ゼロ世帯22.8%)
30歳代
・平均677万円 中央値180万円
・貯蓄100万円未満の割合37.6%(うち貯蓄ゼロ世帯24.5%)
40歳代
・平均944万円 中央値250万円
・貯蓄100万円未満の割合36.9%(うち貯蓄ゼロ世帯25.7%)
50歳代
・平均1168万円 中央値250万円
・貯蓄100万円未満の割合37.9%(うち貯蓄ゼロ世帯29.2%)
60歳代
・平均2033万円 中央値650万円
・貯蓄100万円未満の割合27.0%(うち貯蓄ゼロ世帯20.5%)
70歳代
・平均1923万円 中央値800万円
・貯蓄100万円未満の割合26.2%(うち貯蓄ゼロ世帯20.8%)
貯蓄の平均値や中央値を見ると、年齢が上がるほど貯蓄額も増加しています。
しかし、どの年齢層でも、貯蓄額が100万円未満の世帯が30%~40%程度存在しています。特に、中央値が平均値の3分の1から4分の1程度となっており、貯蓄額には大きなばらつきがあることがわかります。
まとめ
今回は「住民税非課税世帯」を対象とする給付金について解説してきました。やはり多くの世帯で「公的年金」だけで老後生活を送ることが苦しくなってきていますね。
しかし今は銀行預金だけではなかなか増えていかない時代です。そこで多くの世帯で「資産運用」の活用が増えてきています。
資産運用は株式投資や投資信託投資、債券投資など様々あります。資産運用には様々なリスクがあります。だからこそ何となく始めるのではなくしっかりと理解した上で活用していくことが大切です。
参考資料
・総務省「2020年基準 消費者物価指数全国 2025年(令和7年)4月分」
・東京都主税局「個人住民税」
・主税局「個人住民税」
・総務省「個人住民税」
・港区「住民税(特別区民税・都民税)はどういう場合に非課税になりますか。」
・厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」
・内閣府「「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」について」
・厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」について