日本の税収”72兆円”に対してコロナ予算は”77兆円”…医療業界をボロ儲けさせた「不公平な財政政策」の実態

いま日本で謎の死が増えている――。コロナ禍以降、有名人が癌で亡くなるニュースが相次ぎ、癌の死亡者数が急増しているのはなぜなのか。効果が疑わしいワクチンや無意味な医療を、国や医療界が推奨し続ける背景には何があるのか。日本の医療界に潜む巨大な闇に、地域医療で奮闘する在野の医師がメスを入れる正義の一冊!6月5日発売の新刊『何かがおかしい 「がん急増」の謎』より抜粋・再編集して、内容の一部をお届けする。

『何かがおかしい 「がん急増」の謎』連載第43回

『尾身茂氏に「予算ぼったくり」の指摘…日本のコロナ政策が“利権”に歪められていた可能性』より続く。

財務省によるコロナ政策の反省

政府の中でも、コロナ政策を見直す動きがあります。その動きを進めている筆頭は財務省です。

2022年11月に財務省が財政制度分科会で作成した「社会保障」と題された資料があります。コロナ対策にどれだけ予算が浪費されたのかが、的確に整理されている資料です。この中で、財務省は新型コロナウイルスの重症化率を、インフルエンザの重症化率と比較し、「コロナの被害はインフルよりも軽い」ことを明らかにしています。

『何かがおかしい 「がん急増」の謎』 P.155

『何かがおかしい 「がん急増」の謎』 P.155

『何かがおかしい 「がん急増」の謎』 P.155

同じ資料の10ページ目では、「新型コロナについて、これまで医療提供体制のために主なものだけで17兆円程度の国費による支援が行われてきた」と指摘しています。いわゆる「コロナ予算」のうち、医療業界に直接支払われた金額が、17兆円にものぼるということです。

ちなみに、日本の教育予算は約4兆円、防衛予算は約8兆円、公共事業は約7兆円くらいだと言われていますので、17兆円がいかに巨額かがわかります。しかも、この17兆円は「コロナ病床を確保するために、病院に支払ったお金」なのです。

コロナ病床を設置するだけでお金がもらえる

コロナ病床を提供した病院には、平時の入院費用の2倍~最大12倍もの金額が支払われていました。これは「病床確保料」なので、ベッドが空いていても支払われていたのです。

コロナ病床を設置しておけば、実際に患者さんを入れなくても、毎日7万4,000円~43万6,000円ものお金が病院に入ってきたのです。前述した尾身さんの病院が受け取っていたのはこのお金です。

『何かがおかしい 「がん急増」の謎』 P.156

儲かりすぎて、病院経営者は笑いが止まらなかったはずです。同じ資料で、病院の経営実態についても指摘されています。「令和4年度については、足元の実績から推計した医療費の見込みに、令和3年度の実績から推計した補助金収入見込みを足した計数は49兆円程度と見込まれ、医療機関の経営は近年になく好調となる」とあります。

『何かがおかしい 「がん急増」の謎』 P.158

医療業界がコロナ禍でどれほど大儲けしたかがわかる数字です。

同資料の51ページには、「国立病院機構」「地域医療機能推進機構」「公立病院」の損益も公開されています。

例年、赤字ギリギリで運営されてきた「国立病院」、自治体の補助金などでなんとか経営されてきた「公立病院」、それに尾身氏が理事長だった「地域医療機能推進機構(JCHO)」、いずれも巨額の黒字を計上しています。

これはあくまで、実態を把握しやすい国公立病院を例示したに過ぎません。同じ仕組みを通じて、日本の病床の8割を占める民間病院にも報酬が支払われているからです。民間病院はもっと儲けているかもしれないのです。

税収よりも高いコロナ予算

さらにこの財務省の資料では、ワクチン費用の内訳も指摘されています。

『何かがおかしい 「がん急増」の謎』 P.160

コロナワクチンの接種単価は、人件費や接種会場費込みだと「最大1万円を超える場合もある」と書かれています。多くの人が無料で接種したワクチンですが、実はこんなに高かったのです。

ワクチンが大量に余っていることも指摘されています。政府が各製薬企業と契約したワクチンは合計約8億8000万回分で、日本人がこれまで接種した回数は約3億2000万回、差し引き約5億6000万回分ものワクチンが余っているとあります(いずれも資料作成時点)。日本のコロナ対策、ワクチン政策の出鱈目さがわかります。

コロナ予算の総額は令和2年度だけで77兆円という巨額です。

あまりに巨額すぎてもはや実感がわきませんが、2023年の日本の税収が大体72兆円で、コロナ予算は税収総額を超えています。

ちなみに「東日本大震災の復興予算」が、10年間で計32兆円でしたので、コロナ予算はその倍以上と、まさに異次元の巨額予算だったのです。

巨額の予算だろうが、「政府が支出を拡大したことは経済にプラス」という考え方もあるでしょう。私も同感ではあるのですが、その大半が医療業界に流れていることは問題です。

コロナ予算のうち、医療業界に流れたのは17兆円とされています。ちなみに、令和5年度の所得税の税収は22兆円です。

つまり、コロナ予算を支出しなければ、国民全員の所得税を大幅に軽減できた、ということです。所得税を減らすことができれば、国民の大部分にメリットがあるわけですが、同じ金額を医療業界だけに支払うと、潤うのは一部の人だけです。それだけ不公平な政策だったということがわかるのです。

『日本は医療にお金を遣いすぎている…「医療が病気を作る」“本末転倒”な日本医療の実態』へ続く。