6.2リッターの大排気量に全長5.4mの巨体…“アメ車はデカい”を体現したラグジュアリーSUVの実力とは? キャデラック新型「エスカレード」は何が進化した?

近未来的な雰囲気のインテリアへと大胆に変貌

 アメリカのトランプ大統領が「日本はアメリカ車を買ってくれない!」と発言して話題となりましたが、実際のところ、日本の道でアメ車に乗るとどうなのか? 先ごろ商品改良が施されたばかりのキャデラックのフラッグシップSUV新型「エスカレード」に乗って確かめてみました。

キャデラック新型「エスカレード」

【画像】「えっ!…」すべてがビッグ! これがキャデラックの旗艦SUV 新型「エスカレード」です(30枚以上)

 今回試乗したのは新型「エスカレード」の「プラチナム」というグレードです。ボディサイズは全長5400mm、全幅2065mm、全高1930mm、車重は2730kg。都市部では停められる駐車場を探すのにひと苦労しそうなサイズ&重量です。

 この巨体を動かすパワートレインもアメリカンサイズで、エンジンは6.2リッターのV型8気筒OHV。最高出力は416ps、最大トルクは624Nmを発生します。このエンジンで生み出された駆動力は、10速ATを介して4輪へと伝えられます(2WDモードあり)。

 今回の商品改良では、エクステリアデザインの変更や24インチ(!)ホイールのオプション設定など、いくつかのトピックがありますが、最大のポイントはインテリアの変更だと思います。

 運転席のドアを開けると、インパネを覆いつくすように湾曲したディスプレイがお出迎えしてくれます。ドライバーの眼前にある画面は8K、助手席側は4Kの高解像度を持つディスプレイはシームレスにつながっており先進的な印象。アメリカンプロダクトらしいテック感に満ちています。

 ちなみに今回の改良では、シフトセレクターがステアリングコラムの右側に配置されるようになり、センターコンソールには新たにディスプレイが鎮座。この画面でエアコンやシート調整をおこなうようになりました。

 筆者(西川昇吾)としては、利用頻度が高い操作もあるので、いくつかは物理スイッチを残しておいて欲しかったと思うのですが、実際にオーナーとなりクルマに慣れれば、さほど気にならなくなるインターフェースなのでしょうか。

キャデラック新型「エスカレード」

 そんな新型「エスカレード」をまずは市街地で試乗します。このようなシチュエーションではやはり大きいな……というレベルを超えて「あれ? ここの道路、こんなに狭かったっけ?」という感覚を覚えます。

 いつもと同じ感覚で車線の中央を走っているつもりが、ドアミラーで確認すると車線ギリギリといった印象。「エスカレード」で市街地を走る際は、ワイドな全幅を常時、意識して走る必要がありそうです。

 また、低速域ではタイヤやサスペンションの振動の収束が遅く、揺れ返しがもう少し早く収まって欲しいと感じました。

 一方、そんなシチュエーションで光る性能を見せてくれたのがパワートレインです。トルクフルなのですが、基本的に走行時のエンジン回転数は1500rpm前後で安定しており、静粛性は良好。大排気量だからこそ実現できる優雅な乗り味です。

 10速という多段式ATもシームレスに変速し、この乗り味に大きく寄与しているのが分かります。

コーナーを曲がるのが想像以上に楽しい

 高速道路に入ると、「エスカレード」の乗り味はより優れたものへと変化します。

キャデラック新型「エスカレード」

 舗装が波打っている路面でも振動がほどよい早さで収まってくれて、コンフォート性能がさらに高まった印象です。快適に移動するには、ある程度、車速の乗った速度域の方がよさそうです。

 一方、いい意味で期待を裏切られたのがワインディングロードでの乗り味でした。「車重は2.7トンもあるし、ボディは大きいし、きっとワインディングでは不満を覚えるんだろうな」と構えていたのですが、想像以上にドライバーの意思にしっかり応えてくれて、気持ちいい走りを楽しむことができました。

 特に、走行モードで「スポーツ」をチョイスすると、ヘビー級の車重を忘れるくらいロールをしっかりと抑えてくれて、コーナーを曲がるのが想像以上に楽しいのです。トルクも必要に応じてしっかりと発生してくれるので、ワインディング走行時はストレスを感じることがありませんでした。

 また、ステアリングもしっかりと剛性感があり、フロントタイヤからのインフォメーションを得やすい印象。想像以上にクルマとの対話を楽しめたのは意外な発見でした。

キャデラック新型「エスカレード」

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 アメリカ車と聞くと、大きなボディサイズでつくりは大雑把、なので、日本の道にはあまりマッチングがよくないと感じる人もいるかもしれません。

 確かに、キャデラック「エスカレード」を乗りこなすにはボディサイズの大きさを頭に入れておく必要がありますが、乗り心地や質感はショーファーカーに匹敵する世界観を漂わせています。実際に乗ってみると、イマドキのアメリカ車は想像以上に洗練されていることに驚きました。