次の支給日は8月15日【生活者支援給付金】「申請しないと1円ももらえない!」《手続きフロー》わかりやすく解説!
要件に該当し続ければ「年金にプラスして月に最大約5千円がもらえる!」2019年にはじまった【生活者支援給付金】をご存じですか?
次の支給日は8月15日【生活者支援給付金】「申請しないと1円ももらえない!」《手続きフロー》わかりやすく解説!
物価上昇が続き《高齢者の家計》への影響は大きくなっています。今月8月15日は年金支給日ですが「家計はこのままで大丈夫なのか?」不安に思う方もいるのではないでしょうか。厚生労働省の調査では、シニア世帯の半数以上が「生活が苦しい」と回答しています。
今回はこの調査結果をふまえ、生活支援として設けられている「老齢年金生活者支援給付金」について、支給条件や金額、手続きの方法などをわかりやすく解説します。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
「シニア世帯はどんな暮らし?」実態と経済的な現状
厚生労働省の「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、生活意識において、高齢者世帯(※)の半数以上(55.8%)が「大変苦しい」「やや苦しい」と回答し、日々の生活に経済的な厳しさを感じています。
※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯
出所:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
半数以上が「生活が苦しい」と回答
・大変苦しい:25.2%
・やや苦しい:30.6%
・普通:40.1%
・ややゆとりがある:3.6%
・大変ゆとりがある:0.6%
また、「公的年金・恩給を受給している世帯」のうち43.4%が、「公的年金・恩給」が唯一の収入源であることも分かっています。
さて、年金暮らしのシニア世代が一定の所得要件を満たすと「老齢年金生活者支援給付金」の支給対象となることをご存じでしょうか。
【制度解説】老齢年金生活者支援給付金とは?
「年金生活者支援給付金」とは、基礎年金を受給中の人が所得などの条件を満たす場合、年金額に上乗せして支給されるお金です。
この給付金には、受け取っている年金に応じて以下の3つの種類があります。
・老齢年金生活者支援給付金
・障害年金生活者支援給付金
・遺族年金生活者支援給付金
今回は、とくにシニア世代の暮らしと関係が深い「老齢年金生活者支援給付金」について、わかりやすく解説します。
出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」について
老齢年金生活者支援給付金 支給要件
出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
以下の3つの要件をすべて満たす場合、老齢年金生活者支援給付金の支給対象となります。
・65歳以上の老齢基礎年金の受給者
・同一世帯の全員が市町村民税非課税
・前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は88万7700円以下(※)
なお、老齢年金生活者支援給付金の判定基準に、障害年金・遺族年金などの非課税収入は含まれません。
※1956(昭和31)年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、1956年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
2025年度の支給額は?月額の基準額をチェック!
2025年度の「年金生活者支援給付金」の給付額は、前年度から2.7%の増額となっています。
出所:日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
2025年度の給付基準額:5450円(月額)
2025年度の老齢年金生活者支援給付金は、月額5450円を基準額とし、保険料納付済期間等に応じて実際の給付額が決まります。
なお、厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2024年3月における老齢年金生活者支援給付金の平均給付月額(※)は4014円でした。
※2024年3月において認定されている平均給付金額
年金生活者支援給付金「支給日はいつ?」
年金生活者支援給付金は、年6回に分けて、偶数月の15日に支払われます。なお、15日が土日または祝日のときは、その直前の金融機関の営業日に支払われます。
年金と同じ口座、同じ日に、年金とは別に振り込まれます。(通帳には2つの振り込みが記載されます)
各支払月には、原則として、その前月までの2カ月分の年金生活者支援給付金が支払われます。例えば、8月には6月・7月分、10月には8月・9月分がそれぞれ給付されます。
「年金月額はいくら?」国民年金と厚生年金の違い
厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金と厚生年金の平均年金月額を見ておきましょう。
【男女別】国民年金・厚生年金《平均月額と個人差》
出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
平均月額は国民年金(老齢基礎年金)が5万円台、厚生年金(国民年金部分も含む)が14万円台です。
国民年金
・〈全体〉平均年金月額:5万7584円
・〈男性〉平均年金月額:5万9965円
・〈女性〉平均年金月額:5万5777円
厚生年金(※国民年金月額を含む)
・〈全体〉平均年金月額:14万6429円
・〈男性〉平均年金月額:16万6606円
・〈女性〉平均年金月額:10万7200円
現役時代の働き方による年金加入状況の差が、グラフのように老後の受給額の個人差として反映されています。
【手続きフロー】請求はいつ・どうやる?
公的年金本体と同様に、老齢年金生活者支援給付金を受け取るためには「請求手続き」が必要です。
今回は、手続きフローを「これから65歳を迎え、老齢年金の受給がスタートする人」と「すでに老齢年金を受給している人」に分けて紹介しておきましょう。
これから65歳を迎え、老齢年金の受給がスタートする人
誕生日の3カ月前に、老齢基礎年金の請求書とともに給付金請求書が郵送されます。
必要事項を記入し、老齢基礎年金の請求書とともに最寄りの年金事務所に提出します。
すでに老齢年金を受給している人
新たに年金生活者支援給付金の対象となった場合、毎年9月1日から順次、年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届きます。
必要事項を記入し、郵便ポストに投函しましょう。
年金生活者支援給付金「要件満たせば、2年目以降の手続きは不要」
年金生活者支援給付金は、一度請求手続きを行えば「支給要件を満たす限り」2年目以降の請求手続きは不要です。
継続支給の判定は前年の所得に基づいておこなわれ、その結果が毎年10月分(12月支給分)から1年間反映されます。
給付額の改定に際しては「年金生活者支援給付金支給金額改定通知書」が届きます。また、支給対象外となった場合には「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届きます。
対象者は忘れずに申請!制度の活用で安心の暮らしを
今回は、厚生労働省の調査結果をもとに、高齢者世帯の生活実態と「老齢年金生活者支援給付金」について解説しました。
まとめると、
・高齢者世帯の半数以上(55.8%)が生活に苦しさを感じている
・年金生活者支援給付金は、月額5450円が基準
・対象になれば、毎年手続き不要で自動支給
今後も制度の変更に注目しながら、自分や家族が該当する可能性を確認して、安心した老後に備えておきたいですね。
参考資料
・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況
・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」用語の説明
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」について
・日本年金機構「年金生活者支援給付金制度について」
・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
・日本年金機構「年金生活者支援給付金の概要」
・日本年金機構「年金生活者支援給付金を請求する方の手続き」
・日本年金機構「年金生活者支援給付金の振り込みはいつですか。」
・日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」