【厚生年金】「年間240万円(月額20万円)以上」の人は何割ぐらい?平均支給額とのギャップも注目
「年間240万円以上の年金受給者」は全体の何割?厚生年金の平均月額や年金振込通知書を解説
【厚生年金】「年間240万円(月額20万円)以上」の人は何割ぐらい?平均支給額とのギャップも注目
年金生活に対する不安は、誰にとっても他人事ではありません。「自分はいくらもらえるのか」「老後の生活に足りるのか」といった疑問を抱く方も多いでしょう。
年金額のなかでも、ひとつの目安となるのが「月20万円」というラインです。これを上回って受け取っている人は、実際どのくらいいるのでしょうか。
本記事では、日本の年金制度の概要とともに、年金を20万円以上受け取っている方の割合についてお伝えします。さっそくみていきましょう。
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国民年金と厚生年金のおさらい
国民年金と厚生年金のおさらい
日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金から成る2階建て構造です。国民全員が加入する国民年金を土台として、厚生年金が上乗せされる仕組みです。
それぞれの年金制度について、あらためて確認しましょう。
国民年金
日本に住む20歳から60歳未満、全ての人が加入するのが「国民年金」です。国民年金の被保険者は、職業により第一号被保険者・第二号被保険者・第三号被保険者の3つに分類されます。
第一号被保険者・・・自営業者や学生、無職の方など
第二号被保険者・・・会社員や公務員など
第三号被保険者・・・第二号被保険者に扶養されている配偶者
国民年金保険料は1万7510円(令和7年度)で、毎年変動します。第一号被保険者は自分で納付する必要がありますが、第二号被保険者の保険料は加入の厚生年金から支払うため、国民年金の負担はありません。(厚生年金保険料は支払います)
第三号被保険者も自己負担がなく、第二号被保険者の加入制度が負担します。
厚生年金
会社員や公務員が加入するのが厚生年金です。国民年金は20歳〜60歳未満全員が加入するので、会社員や公務員は国民年金と厚生年金の両方に加入していることになります。
厚生年金の保険料は、給料や賞与の額から標準報酬月額、標準賞与額を決定し、保険料率をかけて計算されます。
保険料の半分は勤め先の会社が負担し、被保険者は残りの半分を給与から天引きして支払います。
シニアの年金受給額、平均はどのくらい?
それでは、シニア世代が受け取っている年金額を確認していきましょう。
令和6年12月に公表された「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、国民年金と厚生年金の平均受給月額を見ていきます。
【国民年金】全体・男女別の平均月額
〈全体〉平均月額:5万7584円
〈男性〉平均月額:5万9965円
〈女性〉平均月額:5万5777円
続いて、厚生年金(第1号)の平均年金額を確認しましょう。
※第1号厚生年金被保険者とは、厚生年金保険の被保険者のうち、民間の事業所に使用される方
【厚生年金】全体・男女別の平均月額
〈全体〉平均月額:14万6429円
〈男性〉平均月額:16万6606円
〈女性〉平均月額:10万7200円
※平均年金月額には、基礎年金月額を含みます。
「年金月額20万円以上」受け取っているのはどれくらい?
国民年金・厚生年金の平均額からもわかるように、年金を月に20万円以上受け取っている方は、全体の半分より少ないことは明らかです。年金受給額の内訳から、その人数と割合を確認してみましょう。
厚生年金の受給額ごとの受給権者数
厚生年金保険(第一号)受給権者数:1605万4729人
うち年金月額20万円以上:261万7157人
【内訳】
20万円以上~21万円未満:80万1770人
21万円以上~22万円未満:62万6732人
22万円以上~23万円未満:43万6137人
23万円以上~24万円未満:28万6572人
24万円以上~25万円未満:18万9132人
25万円以上~26万円未満:11万9942人
26万円以上~27万円未満:7万1648人
27万円以上~28万円未満:4万268人
28万円以上~29万円未満:2万1012人
29万円以上~30万円未満:9652人
30万円以上~:1万4292人
上記の表から計算すると、厚生年金保険(第一号)の受給者で、20万円以上の年金を受け取っている人の割合は約16.3%です。つまり「月額20万円以上」は多数派ではなく、むしろ少数派です。
また、上記の計算では国民年金のみの受給権者数を計算に入れていません。したがって、実際の数はもっと少ないと考えられます。
年金額は「年金振込通知書」で確認を
年金額は毎年改定されており、物価や賃金の動向をもとに調整されます。令和7年度は1.9%の引き上げが行われました。自分が受け取る年金なので、金額については必ず確認しておきましょう。
とくに、口座振り込みで年金を受け取っている方には、毎年6月に「年金振込通知書」が送られてきます。この通知書で、改定後の年金額、特別徴収されている税金や保険料を確認できます。
年金振込通知書
【通知書で確認すべきポイント】
・年金支払い額、控除後振込額
・天引き項目(所得税・住民税、介護保険料など)
・振込先口座
振込額が前年より減っているケースでは、「天引き額の増加」が主な要因であることが多いため、内訳をしっかり見ておくことをおすすめします。
まとめ:月20万円以上の年金は「少数派」
今回の記事では、厚生年金を「月額20万円以上」を受け取っている方の割合を確認しました。
20万円以上を受け取っている割合は決して多くなく、むしろ少数派です。一方で、「20万円」という年金額が大きく、生活するのに十分な額かというと、そうとも言えません。
また、夫婦世帯であれば、1人分の年金が20万円でも、もう1人の年金を合算することができますが、単身世帯の場合は1人分の受給額で家計を支える必要があります。
年金が少ないと、現役時代の給料とのギャップを感じやすく、生活レベルの変更を余儀なくされる場合もあります。自分がいくら受け取れるか、実際の受給金額を早めに確認しておくことが大切です。
自分がどの制度に何年加入しているか、将来の年金見込額はいくらかなどは、「ねんきんネット」などで確認することができます。早めに対策をスタートして、安心の老後につなげていきましょう。
参考資料
・厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします ~年金額は前年度から1.9%の引上げです~」
・厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・日本年金機構「年金振込通知書」
・日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」